70歳雇用時代の「定年後」を専門家2人が全予測『再雇用という働き方』8/13発売
株式会社PHP研究所(京都市南区・代表取締役社長 瀬津要)は、2025年8月13日(水)に『再雇用という働き方』(坂本貴志、松雄 茂共著/税込1,100円)を発売します。2021年4月に改正高年齢者雇用安定法が施行され、多くの企業は70歳までの雇用確保措置の義務化に備えた対応を検討しています。本書は、『ほんとうの定年後』がベストセラーとなった坂本貴志氏と、再雇用問題の専門家・松雄茂氏が、フィールドワークとデータ分析を駆使してシニア雇用の最前線を解説。定年制の変遷や人口減少時代における雇用構造の変化、高齢者雇用の人事制度改革を行ったカルビー、サントリーホールディングス、日本航空、ニトリ等の企業事例も豊富に紹介し、70歳雇用時代に向けた処方箋を提示しています。

人口減少時代における雇用構造の変化
2021年の法改正により、65歳から70歳までの就業確保が企業の努力義務となりました。これにより、企業は雇用だけでなく業務委託も含めた対応が求められています。加えて、人手不足が深刻化するなか企業の人材戦略が大きく転換しています。かつては65歳までの雇用確保が義務化されたため、高年齢者の雇用は年金支給開始までの「福祉的」な色合いが強くありました。しかし、人口減少と若手の採用難・早期離職が進む現在、ミドルシニア層の活用が不可欠になっています。本書では、今後ますます深刻になる労働力不足の救世主として高齢者の雇用は中核的な要素になると予測。さらに「労働市場の環境が大きく変わり始めている現代において、経営者としても、個々の労働者としても、継続雇用という選択肢を改めて主体的に検討する必要性が生じている」と指摘しています。
日本経済の持続的発展はミドルシニアの労働力が鍵
高齢化と労働力不足が進む日本では、70歳程度まで社会保険に加入しながら働き続ける環境整備が急務となっています。本書では、「ミドルシニアを最大限に生かすためには働き方や処遇のバリエーションを増やす、キャリアの自己選択を求める、同一労働同一賃金の考え方を貫く、そして多様な働き方を実現できる制度づくりが必要」と指摘。近年、ミドルシニア社員を適切に処遇するための人事制度改革を進める企業が急速に増えており、高齢者雇用における矛盾の解消に向けた人事制度改革を行った代表的な企業として、三菱UFJ銀行、カルビー、サントリーホールディングス、日本航空、クボタ、住友化学、ニトリ、明治安田生命、スズキなどの事例を紹介しています。そして最後に「企業や社会制度の見直しを通じて、多様な働き方を支援し、ミドルシニアが生き生きと暮らせる社会の構築が、日本経済の持続的発展に向けた鍵となる」と企業、労働者ともにミドルシニア期の働き方の見直しを促しています。
『再雇用という働き方』について
目次より
定年後の働き方は「再雇用」が半数以上
定年制の変遷─定年制と厳しい解雇規制
継続雇用の選択は、決して悪い選択ではない
ミドルシニア世代の「転職・起業」のリアルな現実
70歳就業の努力義務化が企業現場に与えた衝撃
年金の給付水準はやや厳しくなっていくことを前提に
企業人事の潮流はペイ・フォー・パフォーマンスへ
リスキリングが特定の世代にだけ求められる謎
実現できていない部長以上のポストオフ
目指すべき方向性は、報酬レンジの拡大と処遇の多様化
70歳雇用時代に向けた処方箋
継続雇用:現役時代と同じように働くか、同じ会社で緩やかに貢献するか
転職・独立:他社で責任あるポジションに就くか、小さな仕事に移るか
著者略歴
坂本貴志(さかもと・たかし)
リクルートワークス研究所研究員・アナリスト。1985年生まれ。一橋大学国際・公共政策大学院公共経済専攻修了。厚生労働省にて社会保障制度の企画立案業務などに従事した後、内閣府で官庁エコノミストとして「経済財政白書」の執筆などを担当。その後三菱総合研究所エコノミストを経て、現職。研究領域はマクロ経済分析、労働経済、財政・社会保障。近年は高齢期の就労、賃金の動向などの研究テーマに取り組んでいる。
著書に『ほんとうの定年後「小さな仕事」が日本社会を救う』『ほんとうの日本経済 データが示す「これから起こること」』(共に、講談社現代新書)などがある。
松雄 茂(まつお・しげる)
1986年リクルート入社。
1988年、現RMS(リクルートマネジメントソリューション)に異動し、人材育成・コンサルティング事業の営業を行う。東海地区の大手企業を担当の後、東京へ異動し中堅中小企業を担当する。93年から企業の役員向けコンサルティングなどを行うRCE(リクルートコミュニケーションエンジニアリング)を経て、首都圏の3000人超の企業を担当する営業部長を経て、営業全体を統括する営業統括部長へ。約160名の営業系従業員のトップとして、経営会議メンバーとなる。2014年から営業支援、トレーナーの育成担当、商品開発支援とともに、営業だけでは応えられないお客様のソリューション支援をする。トップマネジメント、ミドルマネジメント、女性活躍、シニア社員活躍、事業成果支援、理念浸透など。
若手社員からボードメンバーまでの様々なメンバーからいまだに相談の申し出をもらっている。現在、2025年1月より独立をしてRMSビジネスパートナーとして活動している。
書誌情報
書名:再雇用という働き方――ミドルシニアのキャリア戦略
著者:坂本貴志 松雄 茂
定価:1,320円(税込)
判型・製本・頁数:新書判・並製・224ページ
ISBN:978-4-569-85915-6
レーベル:PHP新書
発行:PHP研究所
発売日:2025年8月13日