カリウム置き換え調味料の継続的な使用で高血圧予防に効果 6月16日開催の第53回日本循環器病予防学会学術集会で公表
一般社団法人適塩・血圧対策推進協会の学術顧問である人間総合科学大学健康栄養学科の奥田奈賀子教授らの研究グループは、ナト・カリ調味料(ナトリウム/カリウム比が低い塩、醤油、味噌)を調理に使うと、尿中ナトリウム/カリウム比が低下することを明らかにしました。岩手県矢巾町在住の町民の協力を得て実施した実証研究で明らかとなったこの事実は、一般調味料の代わりにナト・カリ調味料を継続的に使用すれば高血圧予防に効果的である可能性を示唆しています。研究グループは、この実証実験の成果を、6月16日開催の第53回日本循環器病予防学会学術集会で公表します。実証研究で効果を確認した商品については一部商品化されており、間もなく全ての商品が実用化される予定でおります。
■ポイント
・日本人高齢者の半数以上が高血圧
・高血圧予防には食塩(塩化ナトリウム)摂取を減らす減塩が必須
・薄味に飽き足らず、減塩は続かない人が多いのが実情
・カリウム摂取には血圧降下の効果があるが、日本人は摂取量が不足
・ナト・カリ調味料(ナトリウム/カリウム比調整調味料)は、ナトリウムをカリウムに置換した調味料で、減塩と増カリウムを同時に実現
・ナト・カリ調味料の塩気は一般調味料と差がなく、料理の味と高血圧予防が両立する
・岩手県矢巾町の住民(33名)を対象に実証研究
・ナト・カリ調味料の塩、醤油、味噌、めんつゆを2週間継続使用
・尿中平均ナトリウム/カリウム比が3.96から3.28に低下
・高血圧の人で最大血圧2.3mmHgの低下、正常血圧の人で1.1mmHgの低下に相当
・ナト・カリ調味料の継続使用で高血圧予防が期待できる
ナト・カリ調味料(ナトリウム/カリウム比調整調味料)の家庭での使用で尿中ナトリウム/カリウム比が低下
-岩手県矢巾町での実証研究結果より-
◎減塩は続かない
日本では30歳以上成人の約4割は高血圧で、高齢者では半数を超えます。脳卒中や心臓病の原因となる高血圧の予防には、食塩(塩化ナトリウム)の摂取量を減らす減塩が重要ですが、醤油や味噌などの高塩分調味料は和食の味付けに欠かせず、薄味で美味しくない減塩食は続かなかったり、我慢して減塩したりしている人が多いのが実情です。
◎血圧降下作用のあるカリウム
一方、野菜や果物に多く含まれるカリウムは、血圧を降下させる効果がありますが、日本人の摂取量は不足しています。世界保健機関(WHO)が推奨する最低摂取量は1日3,500mgですが、日本人成人の平均摂取量は1日2,287g(2012年国民健康栄養調査結果)です。
◎ナトリウムを減らしカリウムを補う、ナト・カリ塩
食塩=塩化ナトリウムの、ナトリウムの一部をカリウムに置換して製造するナト・カリ塩(ナトリウム/カリウム比調整塩)は、一般の食塩と同じように使っても、ナトリウム摂取量を減らし、カリウム摂取量を増やす一挙両得の効果があります。また、カリウムには穏やかな塩味があるため、一部をナトリウムと置換しても、食塩本来の塩味と大きな違いは生じません。つまり、塩味はそのままで、高血圧予防効果が期待できます。
◎地方創生事業に採択されたナト・カリ食品開発
一般社団法人適塩・血圧対策推進協会は岩手県矢巾町と協働して、手軽に減塩し高血圧予防ができる、ナト・カリ塩を用いたナト・カリ調味料やナト・カリ食品の開発と普及に取り組んでいます。矢巾町の取組は政府の地方創生事業に採択され、助成を受けています。奥田ら人間総合科学大学の研究グループは、開発されたナト・カリ食品の減塩効果を学術的に証明するため、矢巾町の取組みに参加・協力しています。
◎尿中ナトリウム/カリウム比で摂取量を測定
今回の実証研究は矢巾町住民の協力で実現しました。一般公募で協力者を募り33人に1カ月に渡りご協力をいただきました。調理法は期間中、同様にしていただくようお願いした上で、最初の2週間にナト・カリ調味料(塩、醤油、味噌、めんつゆ)を使い、次の2週間は一般の調味料に戻していただき、それぞれ後半の1週間に毎日尿検査を実施し、尿中のナトリウム/カリウム比を測定しました(図1参照)。カリウムに対しナトリウムの量が多いほどナトリウム/カリウム比は高く、少ないほど低くなります。ナトリウムとカリウムの摂取量比は、測定値の平均値で評価しています。人体が摂取したナトリウムやカリウムはほぼすべて尿中に排泄されるため、尿中の含有量を測定すると、摂取したナトリウムとカリウムの量を知ることができます。
図1: https://www.atpress.ne.jp/releases/130592/img_130592_1.jpg
◎ナト・カリ調味料の継続使用で高血圧予防効果
尿中ナトリウム/カリウム比(モル数比)は図2の通りです。普通調味料使用中は平均3.96ですが、ナト・カリ調味料使用中は平均3.28に低下しました。協力期間終了後の聞き取り調査では、協力者全員から、ナト・カリ調味料を使った調理に、普段の食事と味が変わるなどの不都合はなかったと回答しています。
図2: https://www.atpress.ne.jp/releases/130592/img_130592_2.jpg
矢巾町住民の特定健康診査(特定健診)結果より、尿中のナトリウム/カリウム比が高い人ほど、血圧値が高いことが既に分かっています(2015年日本循環器病予防学会、奥田奈賀子ら)。今回の尿検査結果の変化は、高血圧の人では最大血圧2.3mmHgの低下、正常血圧の人で1.1mmHgの低下に相当します。ナト・カリ調味料を継続して使用することで、ナトリウム/カリウムの摂取比率を改善すれば、食生活はそのままで高血圧予防ができると期待できます。
(※ この研究はJSPS科研費JP26460759の助成を受けています)
■適塩・血圧対策推進協会とは
国民の食塩摂取量の高さからくる循環器病の高さを改善すべく、医師、大学教授、行政機関、民間事業者によって平成28年7月に設立された協会です。ナトリウムを減らしカリウムを摂取する活動のPRや科学的根拠の研究、商品開発などを行っております。
http://www.lowsalt.or.jp/index.html
■ポイント
・日本人高齢者の半数以上が高血圧
・高血圧予防には食塩(塩化ナトリウム)摂取を減らす減塩が必須
・薄味に飽き足らず、減塩は続かない人が多いのが実情
・カリウム摂取には血圧降下の効果があるが、日本人は摂取量が不足
・ナト・カリ調味料(ナトリウム/カリウム比調整調味料)は、ナトリウムをカリウムに置換した調味料で、減塩と増カリウムを同時に実現
・ナト・カリ調味料の塩気は一般調味料と差がなく、料理の味と高血圧予防が両立する
・岩手県矢巾町の住民(33名)を対象に実証研究
・ナト・カリ調味料の塩、醤油、味噌、めんつゆを2週間継続使用
・尿中平均ナトリウム/カリウム比が3.96から3.28に低下
・高血圧の人で最大血圧2.3mmHgの低下、正常血圧の人で1.1mmHgの低下に相当
・ナト・カリ調味料の継続使用で高血圧予防が期待できる
ナト・カリ調味料(ナトリウム/カリウム比調整調味料)の家庭での使用で尿中ナトリウム/カリウム比が低下
-岩手県矢巾町での実証研究結果より-
◎減塩は続かない
日本では30歳以上成人の約4割は高血圧で、高齢者では半数を超えます。脳卒中や心臓病の原因となる高血圧の予防には、食塩(塩化ナトリウム)の摂取量を減らす減塩が重要ですが、醤油や味噌などの高塩分調味料は和食の味付けに欠かせず、薄味で美味しくない減塩食は続かなかったり、我慢して減塩したりしている人が多いのが実情です。
◎血圧降下作用のあるカリウム
一方、野菜や果物に多く含まれるカリウムは、血圧を降下させる効果がありますが、日本人の摂取量は不足しています。世界保健機関(WHO)が推奨する最低摂取量は1日3,500mgですが、日本人成人の平均摂取量は1日2,287g(2012年国民健康栄養調査結果)です。
◎ナトリウムを減らしカリウムを補う、ナト・カリ塩
食塩=塩化ナトリウムの、ナトリウムの一部をカリウムに置換して製造するナト・カリ塩(ナトリウム/カリウム比調整塩)は、一般の食塩と同じように使っても、ナトリウム摂取量を減らし、カリウム摂取量を増やす一挙両得の効果があります。また、カリウムには穏やかな塩味があるため、一部をナトリウムと置換しても、食塩本来の塩味と大きな違いは生じません。つまり、塩味はそのままで、高血圧予防効果が期待できます。
◎地方創生事業に採択されたナト・カリ食品開発
一般社団法人適塩・血圧対策推進協会は岩手県矢巾町と協働して、手軽に減塩し高血圧予防ができる、ナト・カリ塩を用いたナト・カリ調味料やナト・カリ食品の開発と普及に取り組んでいます。矢巾町の取組は政府の地方創生事業に採択され、助成を受けています。奥田ら人間総合科学大学の研究グループは、開発されたナト・カリ食品の減塩効果を学術的に証明するため、矢巾町の取組みに参加・協力しています。
◎尿中ナトリウム/カリウム比で摂取量を測定
今回の実証研究は矢巾町住民の協力で実現しました。一般公募で協力者を募り33人に1カ月に渡りご協力をいただきました。調理法は期間中、同様にしていただくようお願いした上で、最初の2週間にナト・カリ調味料(塩、醤油、味噌、めんつゆ)を使い、次の2週間は一般の調味料に戻していただき、それぞれ後半の1週間に毎日尿検査を実施し、尿中のナトリウム/カリウム比を測定しました(図1参照)。カリウムに対しナトリウムの量が多いほどナトリウム/カリウム比は高く、少ないほど低くなります。ナトリウムとカリウムの摂取量比は、測定値の平均値で評価しています。人体が摂取したナトリウムやカリウムはほぼすべて尿中に排泄されるため、尿中の含有量を測定すると、摂取したナトリウムとカリウムの量を知ることができます。
図1: https://www.atpress.ne.jp/releases/130592/img_130592_1.jpg
◎ナト・カリ調味料の継続使用で高血圧予防効果
尿中ナトリウム/カリウム比(モル数比)は図2の通りです。普通調味料使用中は平均3.96ですが、ナト・カリ調味料使用中は平均3.28に低下しました。協力期間終了後の聞き取り調査では、協力者全員から、ナト・カリ調味料を使った調理に、普段の食事と味が変わるなどの不都合はなかったと回答しています。
図2: https://www.atpress.ne.jp/releases/130592/img_130592_2.jpg
矢巾町住民の特定健康診査(特定健診)結果より、尿中のナトリウム/カリウム比が高い人ほど、血圧値が高いことが既に分かっています(2015年日本循環器病予防学会、奥田奈賀子ら)。今回の尿検査結果の変化は、高血圧の人では最大血圧2.3mmHgの低下、正常血圧の人で1.1mmHgの低下に相当します。ナト・カリ調味料を継続して使用することで、ナトリウム/カリウムの摂取比率を改善すれば、食生活はそのままで高血圧予防ができると期待できます。
(※ この研究はJSPS科研費JP26460759の助成を受けています)
■適塩・血圧対策推進協会とは
国民の食塩摂取量の高さからくる循環器病の高さを改善すべく、医師、大学教授、行政機関、民間事業者によって平成28年7月に設立された協会です。ナトリウムを減らしカリウムを摂取する活動のPRや科学的根拠の研究、商品開発などを行っております。
http://www.lowsalt.or.jp/index.html
- カテゴリ:
- 調査・報告
- タグ:
- 健康・ヘルスケア フード・飲食 その他ライフスタイル
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