時代はオールドメディアからニューメディアへ?メディアの今とこれから。

私たちは、日々「メディア」によって情報を得ています。しかし、「メディア」も時代と共に変化してきており、少し前まではオールドメディアと呼ばれるメディアが主体でしたが、近年ではニューメディアの占める割合が増えてきています。

今回は、オールドメディア・ニューメディアについて説明すると共にメディアの現状と今後について解説します。

オールドメディア・ニューメディアとは

「メディア」と言う言葉に聞き覚えがあっても、「オールドメディア」「ニューメディア」という言葉にはあまり馴染みのない方も多いのではないでしょうか?

私たちの生活の中に当たり前のように存在している「メディア」は、大きく分類すると「オールドメディア」と「ニューメディア」に分けることができます。

オールドメディアの定義

オールドメディアとは、テレビ・新聞・雑誌・ラジオのような古くから存在するメディア、また、それらの報道機関を指し、一般的には4大メディア、4大マス媒体と称されることが多いです。

ニューメディアの定義

ニューメディアとは、オールドメディアに属している既存媒体にとらわれない新たな媒体を指し、普及され始めた1980年代初頭当時の代表的なサービスは、FAX、テレビ電話、パソコン通信などがありました。また、2000年以降にインターネットが急激に普及したことにより、今ではX(Twitter)やInstagram、YouTubeなどのSNSもニューメディアの仲間入りを果たし、その存在感は日を増すごとに大きくなっています。

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オールドメディアの現状と課題

コロナ禍で変化したオールドメディアの在り方

新型コロナウイルス感染症は私たちの生活を一変させただけではなく、メディアの在り方にも影響を与えました。

例を挙げると、コロナ禍初期に「新型コロナウイルスの影響でトイレットペーパーが店舗から無くなる」というデマが拡散されたことがありました。

製紙業界などはすぐさま否定する声明を発表しましたが、「トイレットペーパーが不足する」という情報によりドラッグストアやスーパーなどに人が殺到し、本当に品薄・品切れが発生する事態を招きました。

更に、店舗に人が殺到する様子や空になった商品棚の映像が連日テレビで放送されたことで、更なる品薄・品切れを生むという負のループも発生し、映像が与えるインパクトの大きさを再認識する事例となりました。

本来ネット上で不正確な情報や誤った情報が拡散され、社会に影響を及ぼすことという意味を指す「インフォデミック」をオールドメディアが引き起こした、といったシビアな意見もありました。

オールドメディアの衰退を加速させている若年層の”テレビ離れ”

前述の通り一定の影響力を持つテレビですが、昨今では若年層を中心に深刻なテレビ離れが進んでいると言われています。事実、総務省が発表しているテレビ(リアルタイム)平均視聴時間(平日1日あたり)の推移を見ても、2012年から2021年までの約10年間で増減はあるものの全体的には緩やかに減少傾向が続いているのが分かります。

年代別で見ると、60代は概ね横ばい傾向にありますが、50代以下は減少傾向にあり、10代・20代に至っては2021年時点で平均視聴時間が60分前後にまで減っています。

テレビ視聴時間の変化に見られるようにオールドメディアの接触時間は全体的に減少傾向にあると言われています。インターネットの普及によって、テレビを全く見なくてもX(Twitter)やInstagram、TikTokなどのSNSを通して世の中で今起きていることやトレンド把握が可能になったことが大きな要因になっていると考えられています。

また、若年層はYouTubeやNetflixなどの動画配信サービスを利用することで、動画コンテンツを見たいというニーズを満たすことができるのもテレビ離れの原因の一つになっています。結果としてオールドメディアを牽引してきたテレビ業界は視聴率低下の問題を抱えています。

ニューメディアの躍進で起きているパワーシフト

横ばいのオールドメディア、急成長のニューメディア

2021年に電通が発表した「日本の広告費」によると、2021年の総広告費は6兆7,998億円となっており、新型コロナウイルス感染症が感染拡大した2020年と比較すると、東京オリンピック開催やインターネット広告が更に成長したなどの影響により大きく回復しました。

更に、媒体別の広告費の推移を見るとインターネット広告は2010年に新聞広告を抜いて以降右肩上がりで上昇し続けています。2019年には2兆1,048円となり、テレビ広告の1兆8,612億円をついに上回った結果、オールドメディアを抜いてトップになったことが話題になりました。

その後、2021年にはテレビ広告費が1兆8,393億円と2019年と比べて若干減少したのに対し、インターネット広告費は2兆7,052億円と伸びており、テレビ広告とインターネット広告の市場規模の差は更に広がっています。2021年のインターネット広告費の成長率は前年度比121%と高い成長率を達成しており、今後も成長を続けることが見込まれています。

ニューメディアへ接近するオールドメディア

ニューメディアの勢いに押されテレビ広告費やテレビ視聴時間などが減少傾向にある一方、実はテレビ局の売り上げは僅かながら微増し続けているのはご存じでしょうか?

テレビ広告費が減収している中、テレビ広告だけでは企業の成長が見込めないため、ここ数年デジタル広告に力を入れ始めているからです。

例えば、民放キー局5社で共同運営しているテレビ番組見逃し無料配信サービス「TVer」が挙げられます。昔は見たいテレビ番組があってもリアルタイムで視聴するか、録画をして視聴する方法しかありませんでしたが、ただでさえ若者を中心にテレビ離れが加速する昨今少しでも多くの視聴者に視聴してもらえるよう、インターネット業界と協力して力を入れている事業の代表例と言えます。

また、2022年ワールドカップ開催時には全試合無料放送したことで非常に話題となった、テレビ朝日とサイバーエージェントの共同出資によるインターネットTVプラットフォーム「AbemaTV」などもあるように、テレビ局とインターネット業界が協業するコンテンツ配信は、今後もより一層本格化すると考えられています。

オールドメディアがニューメディアと共に成長していく時代へ

テレビ視聴者は若年層を中心に年々減少しているものの、映像コンテンツを見たいという人は依然として多いです。

2022年10月クールで最大のヒットとなったフジテレビ系ドラマ『silent』がTVerの歴代フジテレビ全番組における最多再生回数記録を塗り替えたというニュースが話題になりました。大変反響を得た作品でしたが、意外にも全話通して視聴率は2桁を超えておらず、いかにTVerで見る視聴者が多かったかが分かります。

『silent』のTVer再生回数記録更新の件を見ても、今後もTVerや各局の配信サービスでドラマを始めテレビ番組を視聴する人は増えていくと予想されており、地上波に限らずインターネットを利用して幅広い視聴者に届けることができれば、テレビ局が作成するコンテンツが視聴される機会は更に増えていく可能性を秘めています。

さいごに

本記事では主にテレビ業界を例にしたオールドメディア・ニューメディアについて解説してきました。時代はインターネットコンテンツを始めとしたニューメディアに風向きが変わりつつありますが、本記事内で紹介したトイレットペーパー不足騒動でも見て取れるように、まだまだテレビが与える影響力はニューメディアを上回るものがあります。

テレビのみならず、雑誌や新聞、ラジオなどのオールドメディアであっても、インターネットコンテンツが持つ手軽さや拡散力の強さなどを利用しオールドメディアとニューメディアを上手く融合していくことで、広報活動の最大化が図れるのではないでしょうか。

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