ジャーナリズムの必要性とメディアの現在

テレビやスマートフォンが身近になり、私たちは日頃から多くのニュースを見聞きします。その中で、実はニュース報道には2種類あり、「出来事を情報として伝達するもの」「出来事に意見を乗せながら報道するもの」として分けることができます。後者が一般的に「ジャーナリズム」と分類されますが、普段意識している人は少ないでしょう。
この記事では「ジャーナリズム」の意味から役割について、報道の場となるメディアの現在とともに解説していきます。

ジャーナリズムとは

「ジャーナリズム」という言葉の意味と、マスメディアとの違いを解説していきます。

ジャーナリズムの意味

新聞・雑誌・テレビ・ラジオ等、マスメディアが時事的な事実や問題に関する報道・論評を伝達する活動や、そのマスメディア自体を指す言葉として「ジャーナリズム」が使われています。

参考:ジャーナリズムとは(コトバンク)

マスメディアとジャーナリズム

ともにマスメディアを媒体にして情報伝達を行う点は同じですが、双方の違いとして、マスコミは【大量の記号・情報を伝達すること】、ジャーナリズムは【情報を思想・観念的に論評したものを伝達すること】となります。

混同して捉えられていることがよくありますが以下のような違いがあります。

マスコミ

マスメディアによって大量の情報を不特定多数の大衆に対して伝達するコミュニケーション。マスコミュニケーションの略称。和製英語として存在する「マスコミ」は、新聞・雑誌・テレビ・ラジオといった情報伝達を行う機関総称する言葉として用いられています。

参考:マスコミとは(コトバンク)

マスメディア

マスコミュニケーションのための媒体。新聞・雑誌・テレビ・ラジオなどの総称として用いられます。

参考:マスメディアとは(コトバンク)

マスメディアの現状とジャーナリズムへ与える影響

journalism

メディアの種類

メディアは大きく分けて、「マスメディア」「インターネットメディア」の2つに分類することができます。

マスメディア

一般的には4大メディアと称される、新聞・テレビ・雑誌・ラジオを指します。報道から娯楽、広告など複数の役割を果たし、社会的影響力が大きいことが特徴です。

インターネットメディア

インターネットの発展・普及で生まれたマスメディアに次ぐ「第5のメディア」と言われており、「Webメディア」と「ソーシャルメディア」の2つに分類することができます。

Webメディア

インターネット上で情報を発信しているWebサイトのことを指します。情報発信の経路が異なるものとして「一次メディア」と「二次メディア(Yahoo!等のニュースサイト、まとめサイト)」と分類されることもあります。

ソーシャルメディア

個人の情報発信や繋がりなど社会的に交流可能なメディアです。誰もが情報を発信出来るだけでなく、反応することが可能な双方向の繋がりがあることが大きな特徴です。 (例)X(Twitter)、Instagram、Facebook等

メディアの衰退と成長

2022年末に日本新聞協会が発表したデータ(※1)では新聞の年間発行部数は年々減り続け、同様のペースで減り続けると15年後には新聞が消えてしまうと言われております。また、近年では若者のテレビ離れが報じられるなど、マスメディア離れが著しく進んでいる状況にあります。

一方で、Webメディアやソーシャルメディアはマスメディアと同じかそれ以上の影響力をつけており、、2019年にはインターネット広告費がテレビ広告費を初めて超える(※2)など市場としても成長しています。

Webメディアやソーシャルメディアは速報性・拡散性の高さが特徴で、インターネット上の数ある情報から自身の求めている情報を瞬時に検索したり、自身も情報の拡散を行ったりすることができます。その手軽さ、スマートフォンの普及による身近さから、時事的報道から娯楽情報への接触・収集の機会がマスメディアからインターネットメディア上へ移り変わってきました。

※1 出展:一般社団法人日本新聞協会|新聞の発行部数と世帯数の推移

※2 出展:電通│2019年 日本の広告費
インターネット広告費が2兆1048億円(前年比119.6%)、テレビ広告費 1兆8,612億円(前年比97.3%)を初めて抜いた。

ジャーナリズムに与える影響

正確な事実に則った報道・論評であることは前提ですが、報道する媒体の信頼度や接触率はジャーナリズムに大きな影響を与えます。

新聞通信調査会が2022年11月に発表したデータによると(※3)、各メディアの情報信頼度は1位に「NHKテレビ」、そのあとに「新聞」「民放テレビ」「ラジオ」「インターネット」と続く結果となりました。民放テレビ以外いずれのメディアも、この1年間で信頼度が減少し、理由のトップは「特定の勢力に偏った報道をしているから」といった回答でした。

また、ニュースの接触率は1位に「民放テレビ」、そのあとに「インターネット」「NHKテレビ」「新聞」「ラジオ」と続きます。その中でも毎日の接触率ではNHKテレビと新聞の順位が入れ替わる結果となりました。接触率は「インターネット」を除き減少傾向にあります。 信頼度の高いメディアで報道すること、視聴者・読者の数が多いメディアで報道することがジャーナリズムにとって重要なポイントとなるでしょう。

※3 第15回メディアに関する全国世論調査(2022年)プレスリリース

ジャーナリズムの役割

社会的理念を示すためのジャーナリズム

ジャーナリズムの役割の一つは社会的理念を示すことにあり、理念を示すためにジャーナリズムには大きく分けて2つの機能があります。

1.調査報道的機能

言い換えると一般生活者にとっての「情報源」という役割を果たします。私たちはマスメディア、ネットメディアを介して世の中の事件や出来事を知るわけですが、報道する側は信頼のある情報発信のために【情報収集・調査、編集、報道】の一連の工程を行わなければなりません。もし仮に、意図的に機密にされた出来事でも、明らかにすることが社会的に正しいと報道者側が判断すれば、報道する必要があるでしょう。

また、「調査報道的機能」においては新聞・テレビ等従来のマスメディアが強い傾向にあります。人数も要しますし、記者としての教育を受けていない場合なかなか正確に実施することができません。

2.オピニオン的機能

社会需要に対して意見を発信する役割を担い、情報収集・調査した事実の報道に乗せて、各報道者としての諭評や意見を発信します。報道側の立場として何を強調して何を取り上げないか、ここでは一連の報道工程のうち「編集」が大きく関わります。

また、意見を発信する機能は同時に、議論の場をつくり賛否両論がある議論を活性化させる役割も担います。意見は強調されればされるほど多くの関心を集め、社会問題化するケースもあり政策策定に影響を与える可能性もあるとされています。

「オピニオン的機能」は、拡散力があり多面的な視点で意見を発信できる点インターネットメディアが強い傾向にあります。しかし、ネットメディアにおいて主張や諭評の発信は活性化されますが、司会者がいないため議論が破綻している状況が往々にしてあります。

各国のジャーナリズム

ジャーナリズムの果たす役割は同じですが、欧米と日本では考え方に大きな違いがあります。例えば事件被害者の報道において、アメリカやイギリスでは亡くなった被害者の名前まで報道します。被害者および関係者のために行動を起こしたい意識が強い国民性が実名報道に繋がっているのかもしれません。一方、日本では事件被害者および関係者への配慮が大きく、匿名報道が増えている傾向があります。

さいごに

ジャーナリズムは賛否両論の議論を呼び起こしますが、ときに政策に影響を与えるほどの力を持ちます。また、従来のマスメディアは組織としての発信がほとんどであったところ、インターネットメディアの発展により個人でも意見を発信できる場が増え、さらに活性化するでしょう。

また、読者・視聴者からの信頼度や接触率から衰退するメディアと成長するメディアがある中で、適切な報道の場を見極めることはジャーナリズムにおいて養いたいスキルです。 ジャーナリズムのあり方、メディアでの取り上げられ方を理解することで、法人・個人問わず積極的に情報発信、広報活動を行えるのではないでしょうか。

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