GfK Japan調べ:2013年 家電・IT市場動向

 ジーエフケー マーケティングサービス ジャパン株式会社(所在地:東京都中野区、代表取締役社長:藤林 義晃)は、2013年の家電およびIT市場の国内販売動向を発表した※1。

図4 タブレット端末 市場規模推移
図4 タブレット端末 市場規模推移

【家電流通概況】
 2013年の家電小売市場規模は約7兆4,400億円となった。白物家電、カメラ関連製品の販売金額は前年を上回ったものの、AV製品、通信関連製品の落ち込みを完全に補うには至らず、前年比1.5%減とわずかに縮小した。一方で、デジタル家電や白物家電の主要製品では平均価格が前年を上回るなど、販売金額面では回復が鮮明になった。2014年は4月の消費増税に向けて、家電においても駆け込み需要が加速すると見込まれるが、その後同程度の反動減も予想されるため、通年でみると消費増税による市場の押し上げ効果は限定的と見られる。


【AV市場】
 2013年の薄型TVは前年比27%減の610万台と、エコポイント制度やアナログ放送停波に伴う特需の反動減が根強く残った。ただ月別動向をみると、数量前年比は1月の36%減から12月には18%減へ改善しており、市場には底打ち感が広がりつつある。2013年の市場の重要なトピックとして「大画面化」と「4K」が挙げられる。50インチ以上製品の数量構成比は前年の5%から9%に拡大し、4KTVの販売台数は31,000台と前年の55倍に達した。結果、薄型TV全体の平均価格は前年から16%上昇の61,500円となり、金額前年比は15%減にとどまった。

 Blu-ray(以下BD)/DVDは前年比16%減の545万台となった。なかでもBDレコーダーは特需の反動減や外付けHDD録画の増加により、前年比25%減の268万台と厳しい状況が続いた。BDレコーダーの平均価格は2007年の本格普及以降、下落が続いていたが、2013年は3%の上昇に転じた。内蔵HDDの大容量化と複数チューナー搭載機の増加が後押しした。また、プレーヤーではDVDからBDへの移行が緩やかに進展しており、BDプレーヤーの販売台数は前年比18%増となった。

 一部AV製品ではスマートフォン普及の影響が強くみられるが、ヘッドホン/ヘッドセットでは通話が可能なモバイル用が2%ポイント構成比を拡大し26%を占めた。モバイル用や高級ヘッドホンの好調によりヘッドホン/ヘッドセットは数量ベースでは前年比2%減となるも、金額ベースでは同7%増となった。また、ポータブルプレーヤーとデジタルビデオカメラは数量前年比23%減、21%減と縮小した。スマートフォンでの代用や、同様の機能を有しているその他製品の影響を受けたといえる。


【テレコム市場】
 2013年の携帯電話は前年比8.5%減の3,460万台と3年振りのマイナス成長となった(図2)。スマートフォン(スマホ)は前年比2%増の2,600万台にとどまり、2012年の同65%増と比べると、伸びに急ブレーキがかかったといえる。キャリア側から、フィーチャーフォンからスマホへの買い替え促進策が打ち出されたが、期待されたほどの効果を得られなかったともいえる。結果、2013年12月時点でのスマホ保有率※2は約46%と、当初の見込みを下回った。
 アクセサリーは、スマホのラインナップ拡充もあり拡大を続けた。家電量販店においては、ケースは数量前年比6%減となったものの、液晶保護フィルムや充電器は2桁成長となった。特に充電器は大容量モデルなどが好調で、前年から60%以上の伸びを見せた。

図2: http://www.atpress.ne.jp/releases/43291/img_43291_2.jpg


【IT・オフィス市場】
 2013年のパソコンは前年比4%増の1,585万台となった。リテール市場はタブレット端末やスマートフォンの市場拡大に伴いパソコンの需要が減少した為、数量前年比20%減となった。特にデスクトップPCの減少が顕著であった。一方、リセラー市場は、これまで企業での稼働率の高かったWindows XPのサポート終了が14年4月に迫ったことを背景に同23%増と好調で、市場拡大を牽引した。これまで下落を続けていたパソコンの平均価格は、12年末からの円安進行も一因となり、2013年は上昇に転じた。リテール市場では前年から13%、リセラー市場では8%上昇した。

 タブレット端末市場は前年比79%増の545万台となった(図4)。リテール市場は家電量販店、携帯電話専門店ともに高い成長率を記録し、数量前年比69%増となった。画面サイズ別にみると、7インチクラスが2012年末から急拡大し、2013年通年の数量構成比は60%に達した。通信方法ではWi-Fiモデルが前年より4%ポイント拡大し60%を占めた。新たな回線契約を避け、既に所有しているモバイルルーターや、テザリングなどで通信対応するケースが増えているとみられる。リセラー市場やその他市場もラインアップの拡充や法人への導入進展により数量が伸びた。

図4: http://www.atpress.ne.jp/releases/43291/img_43291_1.jpg

 パソコンとタブレット端末と合わせて情報デバイスという一括りで捉えると、2013年は数量前年比16%増となった。リテール市場ではパソコンの需要縮小をタブレット端末が補っており、全体に占めるタブレット端末の数量構成比は前年の23%から39%まで拡大した。一方、リセラー市場では好調なパソコンにタブレット端末が積み上がる形となったが、全体に占めるタブレット端末の構成比は6%にとどまった。目下の課題はXPパソコンのリプレースだったため本格的な導入はまだ限定的とみられる。

 プリンター・複合機※3は前年比7%減の633万台となった。タイプ別に見ると、インクジェットは前年比10%減の505万台、レーザーは同4%減の128万台と、いずれも前年を割った。個人向けが大半を占めるインクジェットは、前年までの好調な推移によりある程度一般家庭での普及が進んだ為、2013年はその反動が表れたといえる。


【イメージング市場】
 2013年のデジタルカメラは前年比6%減の846万台と、数量ベースでは3年連続のマイナス成長となった(図5)。一方、金額ベースでは前年比14%増と2年連続のプラス成長となった。スマートフォンでの写真の撮影や共有が増加していることを受け、コンパクトカメラは前年比17%減の606万台となった。市場の8割を占めるコンパクトカメラの縮小が、市場全体の販売台数の縮小につながった。一方、コンパクトカメラからレンズ交換式カメラへステップアップするユーザーが増加したことで、レンズ交換式カメラは前年比41%増の239万台と過去最高の販売台数を記録した。これにより市場全体の販売金額が拡大した。内訳をみると、一眼レフが数量前年比57%増、ミラーレス一眼が同22%増と共に前年を大きく上回った。
 レンズ交換式カメラのユーザー層が拡大したことで、交換レンズ(レンズキット販売分は除く)は前年比23%増の90万本へ拡大した。ミラーレス一眼用レンズの割合は前年から2%ポイント拡大し、数量構成比は28%に達した。

図5: http://www.atpress.ne.jp/releases/43291/img_43291_3.jpg


【生活家電市場】
 2013年の冷蔵庫は前年比3%増の510万台となった。新生活需要期、夏商戦期をはじめ年間を通して堅調な販売となり、エコポイント制度の恩恵を受けた2010年以来3年ぶりに500万台を超えた。数量構成比では、小容量(200L以下)が35%、中容量(201~400L)が22%、大容量(401L以上)が43%を占めた。大容量クラスでは、500L、600L台以上など大容量へのシフトが緩やかに進展した。まとめ買いの増加や断熱材・コンプレッサーの改良に伴うコンパクト化がこの流れを後押ししている。また、デザインや機能で従来モデルと差別化を図ったプレミアムモデルの拡大など、高価格帯製品が好調に推移した。これにより2010年以降下落が続いていた冷蔵庫の平均価格は4年ぶりに上昇に転じた。

 洗濯機は前年比1%増の527万台となった。ドラム式が数量前年比4%減となった一方で、縦型は同2%増と底堅い販売となった。数量構成比は縦型が83%、ドラム式が13%、二槽式が4%を占めた。平均価格はここ数年下降傾向が続いたが、ドラム式のヒートポンプ乾燥搭載モデルや、縦型大容量モデルの販売が伸び、前年を若干上回る59,000円となった。容量別の数量構成比をみると、小容量(5kg以下)が25%、中容量(6~7kg)が37%、大容量(8kg以上)が38%を占め、大容量が前年から4%ポイント拡大した。大容量化を牽引したのは縦型で、縦型における大容量クラスの数量構成比は前年から6%ポイント拡大し32%に増加した。

 エアコンは前年比5%増の915万台と、年間を通し好調な販売となった。夏季(6~9月)は猛暑日が多く、過去5年の中で、猛暑に加えてエコポイントの恩恵を受けた2010年に次ぐ販売を記録した。加えて、暖房シーズンの拡大も市場の後押しとなった。また、消費増税前の買い替え・買い増しの影響も一部みられた。冷房能力クラス別にみると、小部屋用からリビング用まで、各クラスともに前年を上回った。5.0kw(18畳)以上が緩やかではあるが増えており、数量構成比は2010年の8.6%から10.3%に伸長した。リビングダイニングキッチンや大型リビングの増加に伴い、より広い空間に対応した製品へニーズが広がっている。

 掃除機は前年比9%増の877万台で4年連続のプラス成長を記録した(図8)。シリンダタイプ(キャニスタータイプ)が数量前年比5%減で前年を下回るも、買い増し需要を背景にハンディータイプが同56%増、スティックタイプが同22%増、ロボットタイプが同27%増となり市場を押し上げた。シリンダタイプにおいては、小型・軽量モデル(本体質量3kg未満)のサイクロンが好調に推移したが、紙パック式の減少を補いきれなかった。ハンディータイプはふとん用クリーナーが年間を通して好調な販売となった。スティックタイプにおいては、充電式(コードレスタイプ)の割合が拡大し、数量構成比は45%に達した。タイプ別数量構成比は、シリンダタイプが57%、ハンディータイプが20%、スティックタイプが16%、ロボットタイプが5%となった。

図8: http://www.atpress.ne.jp/releases/43291/img_43291_4.jpg

 様々な注目商品が登場した調理家電だが、コーヒーメーカーをみると、エスプレッソマシンやインスタントコーヒーマシンが市場を押し上げ前年比6%増の220万台とプラス成長を維持した。ポーションタイプに代表されるような本格的なコーヒーやラテを一杯から手軽に楽しめる製品が需要を拡大した。また、紅茶専用の製品など、コーヒーにとらわれない商品展開も奏功しユーザー層を広げた。


※1. 全国の有力家電・IT取扱店(家電量販店、地域家電店、総合量販店、カメラ専門店、携帯電話専門店、総合ネット通販等)からPOSデータ等を収集し、統計的な手法に基づき全国市場規模相当に拡大推計した。
※2. スマートフォン保有率:携帯電話所有者に占めるスマートフォン所有者の割合
※3. プリンター:プリント機能のみを有するプリンター、複合機*:スキャンやコピー等プリントに加え複数の機能を有するプリンター


■ジーエフケー マーケティングサービス ジャパン株式会社
URL: https://www.gfk.com/jp

※弊社名を報道にて引用頂く場合は、正式社名のほか、「GfK Japan」、「ジーエフケー ジャパン」、「GfKジャパン」の略記でも結構です。

カテゴリ:
調査・報告
ジャンル:
家電
取材依頼・商品に対するお問い合わせはこちら

プレスリリース配信企業に直接連絡できます。

  • 会社情報