欧州血液学会(EHA)で発表された最新データ  第I / II相臨床試験でALXN1210の月1回投与による 治療を受けた全てのPNH患者さんにおいて、 LDHが急速かつ持続的に低下

- 別のLate-Breakingデータでは、ALXN1007による治療を受けた 急性GI-GVHDの患者さんにおいて、高い全般奏効率が認められた -

この資料は、アレクシオン・ファーマシューティカルズ(米国コネチカット州ニューヘイブン)が2016年6月10日(現地時間)に発表したプレスリリースの日本語抄訳で、参考資料として提供するものです。その内容および解釈については英文プレスリリースが優先されます。英文プレスリリースは http://www.alexion.com をご参照ください。

米国コネチカット州ニューヘイブン -- アレクシオン・ファーマシューティカルズは、本日、補体介在性溶血(赤血球の破壊)を特徴とする、消耗性の超希少血液疾患である発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の患者さんを対象とした、極めて革新的な長時間作用型抗C5抗体の治験薬であるALXN1210の第I / II相臨床試験の中間データを発表しました(参考文献1)。本試験では、ALXN1210を月1回投与した患者さんの100%において、溶血マーカーである乳酸脱水素酵素(LDH)の平均値が急速に低下し、月1回投与を5回継続している間LDH値の低下を維持することができました。さらにこの時点で、ALXN1210投与開始前12カ月間で1回以上輸血を要した患者さんの80%は、投与期間中に輸血を必要としなかったことが報告されました(参考文献2)。これらの結果は、デンマーク・コペンハーゲンで開催された第21回欧州血液学会(EHA)年次総会のlate-breakingポスターセッションで発表されました。

EHAの別のlate-breakingポスターセッションにおいて、下部消化管における急性移植片対宿主病(GI-GVHD)の患者さんを対象に、補体蛋白C5aを標的とする新規抗炎症抗体ALXN1007を評価した第II相臨床試験に関する中間結果も発表されました。急性GI-GVHDは、重篤で生命を脅かす稀な自己免疫疾患であり、幹細胞移植や骨髄移植の合併症として発現する可能性があります(参考文献3、4、5)。ALXN1007による治療を受けた患者さんでは、28日目の全般奏効率(いずれかの臓器で診断時より1ステージ以上の改善が認められ、他の臓器への進行がなく、追加治療を要しない状態と定義)が77%であることが、本試験により示されました(参考文献6)。


「アレクシオンは、補体研究の分野で20年以上の経験があり、当社で開発中の2つの極めて革新的な補体阻害剤であるALXN1210とALXN1007の最新データをEHAで発表できたことを嬉しく思います」と、アレクシオンのエグゼクティブ・バイスプレジデント兼グローバル研究開発責任者のマーティン・マッケイは述べています。「PNH患者さんを対象としたALXN1210の第I / II相臨床試験の中間結果では、月1回の投与計画で全ての患者さんのLDH値が低下し、急速で完全かつ持続的な補体阻害効果が示されました。投与間隔をさらに長くした追加コホートを対象に、ALXN1210の安全性と有効性を評価するための第II相臨床試験が現在進められています。」


■長時間作用型C5阻害薬ALXN1210、PNH患者さんへの月1回の投与により急速かつ持続的にLDHを低下:用量漸増試験の中間データ(抄録番号LB2247)(参考文献2)

ポスターセッションでは、PNH患者さんを対象としたALXN1210の第I / II相非盲検24週間用量漸増試験の中間結果が発表されました。有効性の主要評価項目は、ベースラインからのLDH値の変化率であり、その他の有効性評価項目は、輸血必要量の変化およびベースラインからの血液学的パラメーターの変化量などでした。平均LDH値が正常値上限の3倍以上で、かつ補体阻害薬の投与経験がないPNH患者さん(18歳以上、n=13)を、2つの試験コホートに分けました。コホート1の患者さん(n=6)には、ALXN1210を400mgまたは600mgのいずれかの導入投与後、維持投与として900mgを1か月ごとに投与しました。コホート2の患者さん(n=7)は、ALXN1210を600mgまたは900mgのいずれかの導入投与後、1800mgの維持用量を月1回投与しました。

8日目(本試験の最初の評価時点)には、全ての患者さんはLDH平均値の急速な低下を示し、この効果は月1回の間隔で5回投与する間持続されました。直近の評価時点におけるLDH値のベースラインからの平均低下率は、コホート1で85.4%(治療148日目)、コホート2で86.0%でした(治療85日目)。試験開始前1年以内に1回以上輸血を要した5名の患者さんのうち、コホート1の患者さん1名のみが、ALXN1210による治療中に1回の輸血を必要としました。この患者さんは、ALXN1210投与開始前の6ヵ月間には12単位の赤血球濃厚液(RBC)が輸血されていましたが、ALXN1210投与中は2単位のRBCが輸血されました。さらに、ヘモグロビンの平均値は、いずれのコホートでも改善または安定化されました。

「PNHは、制御不能な補体活性化に起因する消耗性の極めて稀な血液疾患であり、患者さんは生命を脅かすような深刻な状態に至るリスクにさらされています」と、主著者である韓国ソウルのカトリック大学聖マリア病院(The Catholic University of Korea, Seoul St. Mary's Hospital, Seoul, Korea)のイ・ジョンウク(Jong-Wook Lee)医師は述べています。「EHAで発表された中間データは、PNH患者さんに対するALXN1210治療の結果、補体介在性溶血が効果的に阻止され、輸血の必要性が低下したことを示しています。全ての患者さんで認められたLDHの急速な低下が月1回の投与間隔による長期の投与期間中にわたり継続したことは、ALXN1210の半減期が長いことと一致しています。」

重篤な有害事象や試験中止例はいずれのコホートにも認められませんでした。最も多くみられた治療関連有害事象は、頭痛と上気道感染(各3名に発現)であり、いずれの患者さんもALXN1210の治療継続中に回復しました。


■下部消化管の急性移植片対宿主病(GVHD)と新規診断された患者さんを対象とした新規C5a阻害薬ALXN1007の第IIA相臨床試験(抄録 LB2269)(参考文献6)

ポスターセッションにて、急性GI-GVHDと新規診断された患者さんを対象とした進行中のALXN1007の第II相非盲検臨床試験の中間結果が発表されました。有効性の主要評価項目は、28日目における急性GVHDの全般奏効率です。その他の有効性評価項目は、28日目および56日目におけるGI-GVHDの完全奏効率などでした。患者さんにALXN1007を10mg / kgの用量で週1回、メチルプレドニゾロンまたは相当する薬剤との併用で8週間投与し、1年間の経過観察を行いました。

28日目および56日目のいずれの時点でも、評価可能な13名の患者さんにおける急性GVHDの全般奏効率は77%でした。28日目および56日目におけるGI-GVHDの完全奏効率は、それぞれ69%および77%でした。さらに、評価可能な13名の患者さんにおいて、180日目における基礎疾患である悪性腫瘍以外を原因とする非再発死亡率は12.5%であり、全生存率は69.2%でした。

さらに本試験では、PKおよび急性GI-GVHDに対する奏効率との比較に基づきC5aの阻害度を評価した結果、C5a阻害効果を最適化し、臨床奏効率を最大化するためには、より高用量、高頻度の投与が必要である可能性が示唆されました。その後、週1回および週2回のALXN1007 20mg / kg投与について評価するために、試験実施計画書が修正されました。

2名の患者さん(13%)が重篤な治療関連の有害事象を呈し、1名にグレード2の注射に伴う反応がみられました。ALXN1007の治療に関連するグレード3以上の非重篤有害事象は認められませんでした。1名の患者さんは、治療中に発現した有害事象(T細胞性リンパ腫の再発)のため本試験を中止しました。6名の死亡が報告されましたが、いずれもALXN1007の治療とは関連がないと判断されました。

■PNHについて
PNHは、正常な免疫系の構成要素である補体の機能のコントロールができなくなり、溶血(赤血球破壊)を引き起こす極めて稀な血液疾患です。PNHはどの年齢の人もかかる病気ですが、平均発症年齢は30代初期です(参考文献1)。患者さん全体の約10%では、21歳以下で初めて症状が現れます(参考文献7)。PNHは前触れもなく進行し、全ての人種、背景または年齢の男女に発症する可能性があります。PHNは気づかないうちに進行し、およそ1~10年以上診断が遅れることがあります(参考文献8)。ソリリスが発売される前は、推定でPNH患者さんの約3分の1は診断後5年以上生存できませんでした(参考文献1)。
PNHは再生不良性貧血(AA)や骨髄異形成症候群(MDS)などの骨髄不全例に一般的に多く認められてきました(参考文献9、10、11)。原因不明の血栓を呈する患者さんは、PNHが根本原因の可能性があります(参考文献1)。


■ALXN1210について
ALXN1210はPNH患者さんの治療薬としてアレクシオンが評価を行っている極めて革新的な長時間作用型C5抗体製剤です。早期の研究で、ALXN1210における遊離C5活性の急速、完全かつ持続的な低下および30日以上の終末半減期により、投与間隔を月1回またはそれ以上にできる可能性があることが明らかにされています(参考文献12)。アレクシオンは現在、PNH患者さんを対象としたALXN1210の2本の臨床試験、第I / II相用量漸増試験および非盲検反復投与第II相臨床試験を実施しています。


■下部消化管の急性移植片対宿主病(GI-GVHD)について
GI-GVHDは、同種造血幹細胞移植を受けた患者さんの10-12%に発現する免疫関連性疾患です(参考文献3、4)。重篤な急性GI-GVHDの患者さんの死亡率は、移植後6カ月以内で30-40%です(参考文献13)。現在、GI-GVHDを適応症として承認された治療薬はありません。

■ALXN1007について
ALXN1007は、補体蛋白C5aを標的とする新規の抗炎症性抗体であり、急性GI-GVHDの患者さんを対象とした第II相臨床試験で評価されています。


■ソリリス(R)(エクリズマブ)について
ソリリスは、アレクシオンが研究開発から当局の承認、上市までを行ったファースト・イン・クラスの終末補体阻害剤です。ソリリスは、米国(2007)、欧州連合(2007)、日本(2010)およびその他の国々の規制当局から、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の患者さんに対する溶血を抑制する最初で唯一の治療薬としての承認を受けています。PNHは、補体介在性溶血(赤血球細胞の破壊)を特徴とする、生命を脅かす超希少かつ消耗性の血液疾患です。ソリリスはまた、米国(2011)、欧州連合(2011)、日本(2013)およびその他の国々において、非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)の患者さんに対する補体介在性血栓性微小血管症、つまりTMA(微小血管の血栓)を抑制する最初で唯一の治療薬としても承認を受けています。このaHUSは補体介在性TMAを特徴とする、超希少かつ致命的な消耗性の遺伝性疾患です。ソリリスは、志賀毒素産生大腸菌由来溶血性尿毒症症候群(STEC-HUS)の患者さんの治療は適応としていません。
補体阻害における画期的な医療革新に対し、アレクシオンとソリリスは2008年度ベストバイオテクノロジー医薬品として米ガリアン賞を受賞したほか、2009年度仏ガリアン賞の希少疾患用医薬品部門を受賞するなど、製薬業界最高の栄誉を受けました。
ソリリスに関する詳細な情報(米国での添付文書情報を含む)は、 http://www.soliris.net. でご覧いただけます。


■アレクシオンについて
アレクシオンは、重篤な希少疾患を抱える患者さんの生活を一変させる治療薬の開発と提供に注力するグローバルなバイオ製薬企業です。アレクシオンは補体阻害におけるグローバルリーダーであり、生命を脅かす2つの超希少疾患である発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)および非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)の治療薬として初めてかつ唯一承認されている補体阻害薬を開発し、製造販売しています。また、アレクシオンの代謝性フランチャイズは、低ホスファターゼ症(HPP)とライソゾーム酸性リパーゼ欠損症(LAL-D)といった生命を脅かす超希少疾患の患者さんに対する2つの非常に革新的な酵素補充療法を有しています。さらに、アレクシオンは、複数の治療領域にわたる極めて革新的な製品候補を擁し、バイオテクノロジー業界において最も強固な希少疾患パイプラインを進展させています。本プレスリリースとアレクシオンに関する詳細については http://www.alexion.com をご覧ください。


■参考文献:
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