極端な糖質制限は危険!?医療関係者も薦める「朝食に”もち麦”...

極端な糖質制限は危険!?医療関係者も薦める「朝食に”もち麦”」

“糖質カット”でなく“糖質の吸収を抑える”が健康と美容に効く!

 最近、ご飯やパン、麺類、甘いものなどを控える、糖質制限ダイエットの健康効果に大きな波紋が投げかけられています。糖質制限が必ずしも健康を害するとは断言できませんが、糖質制限ダイエットの結果、脂肪分の多い肉食に偏った食生活を続け、脳卒中や心筋梗塞に陥る人がいる可能性は否定できません。
 糖質制限は手軽にできるため、2008年頃から脚光を浴び、何となく方法を知って、気軽に実践する人もいますが、自己流での極端な糖質制限は逆効果かつ危険です。

“糖質カット”でなく“糖質の吸収を抑える”が正解!大麦ごはんが糖質コントロールに有効
“糖質カット”でなく“糖質の吸収を抑える”が正解!大麦ごはんが糖質コントロールに有効

■「糖質は摂るべきではない」という意識は根強い
 一般消費者700人を対象に調査を行ったところ、食事によって積極的に摂るべきであると思う栄養素として、食物繊維(66.4%)やビタミン(65.0%)、ミネラル(49.5%)、カルシウム(63.1%)は日常の食事でも摂りづらいためか、積極的に摂るべきとの意識の高さが分かります。対し糖質に関しては、同じ三大栄養素「たんぱく質」の434人(42.0%)に対し、「糖質(炭水化物)」と応えたのは134人に留まり、全体の19.1%のみであることが分かりました。糖質は日常的に頻繁に口にするため、また、糖質カットで痩せるということが認知された影響もあってか、積極的に摂ろうとの意識は希薄です。 
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■自己流や極端な糖質制限は逆効果に
 糖質制限は、三大栄養素のたんぱく質、脂質、糖質のうち、糖質を制限する食事療法です。糖質制限で血糖値の急上昇を防ぎ、太るホルモン「インスリン」の過剰な分泌を抑えることで痩せやすい身体を作るという原理です。しかしながら、知識なく、ただ闇雲に糖質を制限することが健康に支障をきたすこともあります。

■極端な糖質制限によって起こる弊害
1. 糖質分のエネルギーが不足すると、逆に太ることも
 糖質は身体に必要な栄養源であり、減らした糖質分のカロリーを他のたんぱく質、脂質で置き換えなければエネルギー不足となってしまいます。そのため、糖質のみを知識なく極端に制限して、たんぱく質、脂質をむやみに摂取すると、エネルギー過多となり、逆に太ってしまうこともあります。

2.副腎の疲れが招く、不眠や無気力感などの抑鬱症状
 糖質を制限すると、血糖値を保つため、副腎(腎臓の近くにあり、多くのホルモンを分泌する内分泌臓器)から「コルチゾール」というホルモンが分泌されます。コルチゾールの分泌が絶えず繰り返されると副腎が疲れ、副腎皮質ホルモン「アルドステロン」の分泌にも不調和をきたします。その状態は副腎疲労症候群と言い、不眠や無気力感など、抑鬱症状が出る場合もあります。

3.消化不良で腸内細菌が乱れると、お腹ポッコリのほか様々な弊害が
 血糖値は体内で一定に調整されており、血糖値が下がると、血糖値を上げるホルモン「グルカゴン」が分泌されます。糖質制限によって、グルカゴンが過剰に分泌されると、胃酸の分泌が抑制されるため、消化不良を起こす可能性があります。消化不良は腸内細菌を乱し、便秘や腹部膨満感で下腹がポッコリ見える、身体に必要なミネラルやビタミンなどの栄養素を吸収できないなど、様々な問題を引き起こします。

■「糖質制限を行ないたくない」と考えている人は70%以上!
 同調査にて糖質制限の経験有無について調べたところ、「糖質制限を行ないたくない」と考えている人は499名おり、全体の71.3%にも上りました。この結果から、糖尿病治療やダイエット目的などで食事療法を行う際に日頃から口にする糖質(ごはんやパンなどの主食)は制限したくないと多くの人が考えていることが伺えます。
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■適度な糖質を健康的に摂る方法はないのか?
―その答えは、「糖質の吸収を抑制する」炭水化物を摂ること

朝食をもち性の大麦「もち麦」に置き換える「糖質コントロール」が有効
 極端な糖質制限は逆効果であり危険も。適度な糖質摂取ができ、かつ、肥満や生活習慣病のリスクを低減できると注目されている食事療法が、糖質の吸収を抑制する機能を持つ「もち麦」(大麦)を主食に用いる「糖質コントロール」です。

●医療関係者も注目! 「最も理想の主食はもち性の大麦」
 近年、健康志向の高まりによって食生活の改善や、スーパーフードと呼ばれる栄養・健康成分を豊富に含んだ食品が世界的に注目されています。その中で、かつて多くの日本人が主食としていた「大麦」に改めて医療関係者の期待が集まり、入院患者向けの院内食として用いる病院もあります。もち麦には水溶性食物繊維“大麦β-グルカン“が豊富に含まれています。
 “大麦β-グルカン“の効果は、食物繊維不足の改善のみならず、糖質の吸収抑制、血中コレステロールの正常化、満腹感の持続作用、腸内の善玉菌のエサになるなどにまで及び、偏りがちな現代日本人の食生活に今こそ日常的に採り入れるべき主食として医療関係者の注目を集めています。

●かしこい「大麦」の摂り方は、「主食を置き換える」
 食物繊維量が多い食材として知られている「大麦」は可食部100g当たり大麦の食物繊維量が9.6gもあり、精白米の約20倍、玄米の約3.2倍と群を抜く含有量で、日常的に食べる主食である穀類の中では大麦が1位。また、麺類やパン類の原料である小麦粉も食物繊維を含んでいますが、含有量は大麦のほうが多く、身近な主食に比べて、大麦の食物繊維量、特に水溶性食物繊維の量が多いことが分かります。
 まずは一食の主食を精白米から大麦β-グルカン3,000mgが含まれる「大麦ごはん」に変えるなど、無理なく置き換えることから始めてみるのがおすすめです。
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●朝食に食べるのがおすすめ! 次の食事の糖質も吸収を抑制する「セカンドミール効果」
 近年の研究では、大麦β-グルカンを含む食品の摂取により、糖質の吸収が53%の抑制されることが報告されています。また、朝食に大麦を食べると、朝食の直後だけでなく、昼食や夕食の糖質吸収を抑制することが分かってきました。被験者は朝食として糖質の含有量が50gになるよう調整された大麦、または白小麦パンを摂取。 昼食に全ての被験者が同じ食事(標準昼食)を摂取してその後の血糖を比較したところ、朝食で大麦を食べた場合で昼食後の糖質の吸収が44%抑制されていました。最初に食べたもの(ファーストミール)が、次の食事(セカンドミール)の血糖値にも影響を及ぼすこの持続作用を「セカンドミール効果」と呼びます。朝食の一食を大麦β-グルカンが多く含まれる「もち麦」に置き換えるだけで無理なく「糖質コントロール」ができるのです。
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●手軽に食べられるから朝食でも続けられる! 商品開発が進む「もち麦」の加工食品
 精白の加工技術が進んだことで、従来の炊飯用途に加え、手軽に摂取できるレトルトなどの商品開発が進み、日々の食事で手軽にもち麦を取りいれられる方法が増えています。調理も簡単で、普段の食事に足したり、電子レンジにかけたりするだけで食べられるので、忙しい朝にも手軽に取りいれられます。
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【監修者プロフィール】
濱 裕宣(はま・ひろのぶ)先生
東京慈恵医科大学附属病院 栄養部課長
慈恵医大病院糖尿病教室、「麦ごはんパワーで糖尿病対策」(クックパッド掲載記事)、レシピ本「慈恵大学病院のおいしい大麦レシピ」発刊など、給食栄養管理と臨床栄養管理をバランス良く機能させ、患者さんの治療に寄与する取組をひろく行っている。

解毒女子の会主宰
伊澤花文(いざわ・かふみ)先生
普段は医療接遇コミュニケーション研修講師。医師、看護師、スタッフ、研修医の研修を担当。食とコミュニケーションを深めるライフワーク、解毒女子の会を主宰し、体の仕組み、様々な病気の仕組み、臓器デトックスなどの啓発セミナーを行っている。http://www.gedoku.biz/

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