うつ病治療に光療法が有効であることが実証された。

現在日本では、自殺者数が10年連続で3万人を超え、その原因の第一位がうつ病です。そして、今や子供から大人まで誰でもうつ病にかかってもおかしくない厳しい社会となり、国家的な問題となっています。国策として実施されている「健康日本21」でも心の健康を重視してきましたが、あまりに厳しい現実社会の前に期待した成果を発揮できていません。
このような厳しい状況の中、高照度光療法(以下、光療法)が、最近の研究によりうつ病に対して有効であることが実証され、近年激増するうつ病患者の新たな治療法として加わりました。

■光療法とは
地球が24時間周期に対して、人間は25時間周期で活動しています。この誤差をリセットするのが朝の太陽光です。しかし、照明器具の発達やサービス業の24時間化などにより、生活パターンが不規則といる現代社会では、太陽とは無関係の生活が当たり前となり、生体リズムが乱れ体調不良を訴える人が増えています。光療法は太陽の代替として2,500ルクス以上の光を目から取り入れることにより、体内時計をリセットし生体リズムを整える治療法です。
この光療法は、「冬季うつ病」や「睡眠障害」の効果的な治療法とされてはいますが非季節性のうつ病の治療効果に関しては古くから意見が分かれていました。

※冬季うつ病
季節の変化に起因する「季節性感情障害」の一つ。秋から冬にかけて症状が現れ、日照時間の減少によりホルモン分泌や体温のリズムに変調が起きるのが原因の一つと考えられています。


■実証まで
これまで、光療法がうつ病に効果があるかどうかは、古くから検討されてきたものの、意見がわかれていました。有効、無効の両方の報告があり、有効であることの決定的な証拠はありませんでした。

ところが、越前屋 勝氏(秋田大学医学部神経運動器学講座 精神科学分野)が、医療雑誌である「睡眠医療 Vol.2 No.1 2007」(株式会社ライフ・サイエンス)の「特集 うつと睡眠をめぐって」のなかで、「8. うつ病の時間生物学的治療」と題して、その有効性の根拠を他の研究者が行った最近の研究結果を整理統合する形で紹介しており、光療法がうつ病治療に有効であることが実証されたことを紹介しました。

科学や医学の新しい発見というものは、一つの実験だけで証明されるわけではなく、別の研究者による追試や、他の角度からの検証等が行われ、その信憑性が徐々に高まってやっと証明されるというプロセスを経ます。
今回の越前屋氏の文献では、他の研究者が行った研究結果を総括することにより、それが実証された要因を紹介するものとなっています。


越前屋氏の総括では、実際には、断眠療法と光療法の2つについて紹介しています。そして光療法のパートの中で、下記の最近行われた研究結果を紹介することにより、光療法のうつ病治療への有効性が実証されたことを紹介しています。

1.Kripke氏とMartiny氏が各々行った研究結果を紹介
2.最近行われた2つのメタアナリシスにおいて、光療法がうつ病治療に有効であることを結論づけていることを紹介。

特に重要なのは、2のメタアナリシスです。
メタアナリシスというのは、ウィキペディアによると、「過去に行なわれた複数の研究結果を統合し、より信頼性の高い結果を求めること、または、そのための手法や統計解析のこと。」と説明されています。
そして、2種類の異なるメタアナリシスにおいて、光療法のうつ病に対する有効性が確認されたことが、実証にいたる大きな決め手となっています。

光療法が優れている点は、それ自体の有効性にとどまらず、抗うつ薬等の他の治療法と併用出来る点にあり、相乗効果を発揮しながら治療出来ることです。うつ病というのは難治性の病気なので、それに対してより効果を発揮できる方法が加わったことは、大変な進歩であり、社会的に大変大きな価値を持っていることは明らかです。

うつ病患者や一般人の方はもとより、医療従事者へ周知徹底することにより、医療現場において推奨・活用されることを願っています。


文献のダウンロード  : http://dl.lighttherapy.jp/
医療雑誌 「睡眠医療」: http://www.lifesci.co.jp/


■光療法推進委員会とは
光療法を啓蒙して知名度を上げ、日本をもっと元気にする、そんな考えに賛同している医師の有志の集まりです。
『光療法の総合サイト( http://portal.lighttherapy.jp/ )』から、不調を訴える方や医療従事者の役に立つ様々な情報を発信しています。

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医療

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