GfK Japan調べ:2014年上半期 家電・IT市場動向

ジーエフケー マーケティングサービス ジャパン株式会社(所在地:東京都中野区、代表取締役社長:藤林 義晃)は、2014年上半期(1月-6月)の家電およびIT市場の販売動向を発表した(※1)。

図2.携帯電話 市場規模の推移
図2.携帯電話 市場規模の推移

(※1) 全国の有力家電・IT取扱店(家電量販店、地域家電店、総合量販店、カメラ専門店、携帯電話専門店、総合ネット通販等)からPOSデータ等を収集し、統計的な手法に基づき全国市場規模相当に拡大推計した。


【国内家電流通】
 2014年上半期の家電市場は、3月末まで消費増税に伴う駆け込み需要が見られた。家電量販店における2014年3月の販売金額前年比は66%増を記録し、単月の販売金額としては家電エコポイントの付与額が半減される直前の2010年11月に次ぐ過去2番目の規模となった。4月以降は駆け込み需要の反動減が見られているが、上半期としては金額前年比11%増となった。
 家電小売り市場規模はエコポイント制度やアナログ停波で需要が高まった2010年以降、縮小傾向にあったが、2014年通年ではプラス成長に転じると予想する。ただ、3月までの駆け込み需要の多くは実質的に購入タイミングの前倒しであり、その後の反動減を考慮すると、年間での押し上げ効果は限定的であると想定される。しかしながら、増税前、増税後とも主要家電製品の平均販売価格は前年レベルを上回って推移しており、これが金額面で寄与すると見られる。セクター別では通信、イメージング(カメラ関連)は前年をやや下回るが、AV製品はほぼ前年並み、IT製品、白物家電は前年を上回ると見込む。


【AV市場】
 2014年上半期の薄型テレビは前年比6%減の303万台となった(図1)。市場縮小が継続している形ではあるが、その減少幅は緩やかになっている。50インチ以上の大型テレビの販売伸長に加え、各画面サイズにおける平均価格が上昇基調にあることから、薄型テレビ全体の平均価格は63,600円と前年同期から9,800円上昇した。その結果、金額前年比は12%増となった。また、メーカー各社は4Kテレビの強化を進めており、50インチ以上に占める4Kテレビの構成比は数量ベースで14%、金額ベースで28%に達した。上半期における4Kテレビの販売台数は2013年通年の1.4倍に達した。

 Blu-ray Disc(以下BD) / DVDは前年比6%減の257万台となった。数量ベースで市場の約半数を占めるBDレコーダーは同4%減の125万台であったが、金額前年比は3%のプラス成長に転じた。結果、市場全体の金額前年比は2%増となった。プレーヤーではDVDからBDへの移行が緩やかに進行しており、BDプレーヤーは数量前年比7%増とプラス成長を維持した。中でもポータブルタイプは同26%増と好調であった。

 ポータブルメディアプレーヤー、カムコーダーはそれぞれ数量前年比35%減、19%減と大きく縮小した。これら製品の主機能はスマートフォンで代用することができるため、需要の減退につながっていると考えられる。一方で、ヘッドホン / ヘッドセットは安定した買い替え需要が見られ、販売数量は前年並みの942万本となった。これら3つの製品群では、高価格製品の販売比率が高まっており、平均価格はそれぞれ10%前後上昇した。


【テレコム市場】
 2014年上半期の携帯電話は前年比9%減の1,652万台となった(図2)。うち、スマートフォンは1,206万台と前年同期から11%減少した。携帯電話販売におけるスマートフォンの数量構成比は73%と前年同期を1%ポイント下回った。スマートフォンの拡大とともに短期化していた買い替え年数がここにきて長期化していることや第1四半期に加熱したキャッシュバックキャンペーンの反動減などが市場のマイナス成長に影響を及ぼした。

(図2): http://www.atpress.ne.jp/releases/49563/img_49563_1.png

 スマートフォン市場のマイナス成長を受け、カバーや充電器などのアクセサリー関連市場もマイナス成長となった。一方で、データ通信端末は数量前年比14%増と、2013年の同33%減という大幅減から回復した。市場規模の大きかった2012年に端末を購入したユーザーが買い替え時期に入ってきていることなどが背景にはある。


【IT・オフィス市場】
 2014年上半期のパソコンは前年比29%増の1,004万台となった(図3)。リテール市場は数量前年比16%増と消費増税前の駆け込み需要やWindows XP(以下XP)のサポート終了が追い風となり、12年上半期以来のプラス成長となった。タイプ別では、コンバーチブルPCやスレートPCがラインナップの拡充により構成比を拡大した。一方、リセラー市場は13年後半からのXPリプレース需要がさらに高まり、数量前年比は35%増となった。タイプ別では前年同様にデスクトップPCが好調に推移したため、ノートPCへのシフト傾向が一旦押し戻された。平均価格はリテール市場、リセラー市場ともに上昇傾向にあり、いずれも金額前年比が数量前年比を上回った。

(図3): http://www.atpress.ne.jp/releases/49563/img_49563_2.png

 タブレット端末は前年比1%減の280万台と、リテール市場における販売縮小の影響でタブレット端末発売後初めてのマイナス成長となった。リテール市場は3月に若干盛り上がりを見せたが、上半期全体では前年比8%減の159万台となった(図4)。ユーザー層の拡大が鈍化していることが一因と推測される。画面サイズ別数量構成比をみると、スマートフォンの大画面化も一因となり、7インチ(7.0-7.9インチ)が2013年通年から9%ポイント減の51%となる一方で、10インチクラス(9.0-10.9インチ)は7%ポイント増の46%へ拡大した。リセラー市場は数量前年比33%増と、リテール市場とは対極的な動きになった。企業での導入が着実に進んだのに加え、XPサポート終了によるパソコンからの置き換え、もしくは追加購入などが追い風となった。

 パソコンとタブレット端末を情報デバイスという一括りで捉えると前年比21%増の1,285万台となった。増税やXPのサポート終了の特需が大きかったパソコンがけん引した。タブレット端末の数量構成比は22%と2013年通年から減少した。

 プリンター・複合機は前年比3%増の280万台となった。インクジェットが前年比3%増の214万台、レーザーが同2%増の65万台といずれも前年を上回った。パソコンとの同時購入が多いため、パソコンの販売増により市場が盛り上がった。リテール市場ではインターネット販売が数量前年比10%増と伸長し、インターネット販売の割合は数量ベースで17%に達した。


【イメージング市場】
 2014年上半期のデジタルカメラは前年比21%減の347万台となった(図5)。スマートフォンでの写真撮影増加を受けて市場縮小が続くコンパクトカメラは、同28%減の236万台となった。また2013年に過去最高の販売台数を記録したレンズ交換式カメラも同4%減の112万台とマイナス成長に転じた。内訳をみると、一眼レフカメラが数量前年比6%減、ミラーレス一眼カメラが同1%減となっており、レンズ交換式カメラに占めるミラーレス一眼カメラの数量構成比は41%となった。デジタルカメラの平均価格はコンパクトカメラ、レンズ交換式カメラ共にハイエンドモデルの販売が増加した結果、前年同期から25%上昇した。
 市場拡大が続く交換レンズは、前年比10%増の49万台となった。レンズタイプ別では、ミラーレス一眼用レンズが数量前年比40%増を記録し、交換レンズの販売台数に占めるミラーレス一眼用レンズの割合は3割を超えた。

(図5): http://www.atpress.ne.jp/releases/49563/img_49563_3.png


【生活家電市場】
 2014年上半期の冷蔵庫は前年比9%増の270万台となった(図6)。増税の影響を強く受け、第1四半期は数量前年比39%増となるも、第2四半期は同21%減に転じた。駆け込み需要は施行が決定した2013年10月から始まり、ピークの2014年3月には同50%増を記録した。増税前は中容量(201~400L)と大容量(401L以上)の販売が急速に伸びた。中でも高価格製品の販売増加が顕著であった。その結果、上半期の平均価格は前年同期から25%上昇し、金額前年比は36%増と大幅に伸長した。容量クラス別の数量構成比は小容量(200L以下)が38%、中容量が24%、大容量が38%を占め、中容量・大容量がそれぞれ2%ポイントずつ増加した。

 洗濯機は駆け込み需要が販売を後押しし、前年比10%増の305万台となった(図7)。価格が高く、増税に伴う影響が大きい大容量クラスが伸長したことにより、平均価格は17%上昇し、金額前年比は数量を大きく上回る28%増を記録した。タイプ別にみると縦型が数量前年比12%増と伸長した一方、ドラム式は同11%減となった。結果、数量構成比は縦型が前年同期から2%ポイント増の86%、ドラム式が3%ポイント減の10%、二槽式は4%を占めた。「大物洗い」や「まとめ洗い」の習慣化を背景に、洗濯容量10kg以上の販売が縦型、ドラム式双方で拡大した。市場全体に占める10kg以上の数量構成比は前年同期の2%から7%に拡大した。

 エアコンは前年比4%減の370万台となった。1~3月期は増税前の需要増が販売を後押ししたが、4月以降はその反動や気候要因などにより前年を大きく下回った。上半期で最も販売台数の多い6月の販売が縮小した影響は大きく、上半期のマイナス成長につながった。冷房能力クラス別の数量構成比は、小部屋用からリビング用まで前年から大きな変動はみられなかった。ただ、気流コントロールなどの付加価値機能を搭載した製品が増加したことなどにより、平均価格は各クラスで1割程度上昇した。結果、金額前年比は9%増とプラス成長を記録した。

 掃除機は前年比14%増の478万台となった(図8)。市場の主流であるシリンダタイプ(キャニスタータイプ)が数量前年比7%減、拡大を続けていたロボットタイプが同10%減と前年を下回る一方、スティックタイプが同35%増、ハンディータイプが同83%増と拡大し、市場成長をけん引した。スティックタイプにおいては充電式が前年同期から13%ポイント拡大し、数量で約半数を占めた。ハンディータイプではふとんクリーナーが大幅に販売を伸ばした。ふとんクリーナーは売り場の拡大や、メーカーやラインナップの増加などに伴い、前年の4.5倍となる販売台数を記録した。タイプ別数量構成比は、シリンダタイプが49%、スティックタイプが23%、ハンディータイプが23%、ロボットタイプが4%となった。

図8: http://www.atpress.ne.jp/releases/49563/img_49563_4.png

 このほか、いくつかのカテゴリーでは、高価格製品が市場をけん引する動きがみられた。ミキサー・フードプロセッサーは数量前年比が2%減であったのに対し、金額前年比が15%増と金額ベースでの成長が続いた。栄養素をより多く取ることができる製品など、付加価値をプラスした製品が販売を伸ばした。また、デンタルケア(電動歯ブラシ)は数量前年比9%減、金額前年比2%増となった。価格の高い充電式電動歯ブラシが支持を集め、数量構成比を前年同期の35%から46%に拡大した。

調査詳細: http://www.atpress.ne.jp/releases/49563/att_49563_1.pdf


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