“SNS疲れ”、“ソーハラ”に続くSNS事情は“SNS体裁問...|

“SNS疲れ”、“ソーハラ”に続くSNS事情は“SNS体裁問題”  悪い印象を与えたくない、などの理由から6割の人が自由に投稿できない状況  この時代に必要なのは“つながらないSNS”サービス

 生活者の意識・実態に関する調査をおこなうトレンド総研(東京都渋谷区)は、ソーシャルネットワークサービス(以下 SNS)がますます増え、そして多くの人たちの間で普及している一方で、「SNS疲れ」や「ソーシャルハラスメント」といった、SNSによる問題も話題になっている現状を踏まえ、SNSを使用している人たちの現在の意識や実態を探り、どのような問題があり、その上でどのようなサービスが今後のSNSのトレンドとしてありうるのかを伝えていきます。

グラフ
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 そこで、20代~30代の現在もSNSで投稿をしている男女500名に調査を実施し、SNSでの投稿意識や実態を探り、現状の課題点とニーズを明らかにし、精神科医の名越 康文氏に精神科学的な視点から、SNSをなぜ人は利用するのか、つながり続けることでの課題点についてお話をうかがいました。そして、これらの課題やニーズを踏まえて「つながらないSNS」で現在話題になっているサービスを紹介いたします。

■SNS上で体裁を気にして自由に投稿できない「SNS体裁問題」とは
 SNSが多様に増えている現在の状況において、SNSを普段利用している人の利用の実態や投稿する際の意識などを明らかにし、現状のSNSへの課題やニーズを導き出すことを目的に、全国の20代~30代の現在もSNSで投稿をしている男女 500名を対象に「“SNSの利用と投稿の自由性”に関する調査」を実施しました。

[調査概要]
調査対象:20代~30代のSNSで現在も投稿をしている男女 500名
     (男女・世代均等割付)
調査期間:2013年3月8日(金)~2013年3月11日(月)
調査方法:インターネット調査(楽天リサーチ調べ)

◆過半数のユーザーが複数のSNSに投稿している
 まず最初に、「あなたが現在も投稿しているSNSは何ですか?」と聞いたところ、Facebookが68.6%と最も多く、続いてTwitterが52.0%、mixiが31.4%となりました。また、複数のSNSに投稿している人は50.8%と過半数にものぼりました。次に、SNSの利用の実態について詳しく聞いてみました。「この1年でSNSを閲覧する時間は増えましたか?」と聞いたところ、48.8%の人が「増えた」と回答しました。「減った」と答えた人が13.8%であることを考えると、多くの人がSNSを閲覧する時間が増えていることが分かりました。投稿頻度についても聞いてみたところ、「増えた」という人が40.8%で、一方「減った」という人が23.6%という結果からも、SNSへの投稿も増えていることが明らかになりました。そこで、投稿頻度が「増えた」という人に理由を聞いてみたところ、「スマートフォンを使うようになったから」、「友達が増えたから」という意見が多くを占めました。

◆約6割の人が自由に言いたいことを投稿できない
 SNSを使うことが増えている現状が明らかになりましたが、そのような状況においてSNSへの投稿の意識はどのようになっているのでしょうか。そこで、「SNSに投稿する際に、自由に言いたいことを投稿できないと感じますか?」と聞いたところ、58.6%と約6割の人が「自由に言いたいことを投稿できない」と答えました。その理由について聞いたところ、「(SNS上でつながっている人に)悪い印象を与えたくないので」と言う意見が最も多く39.6%、「仕事関係の人に見られているので」が36.2%、「(全然会っていない)昔の知り合いに見られているので」が27.0%という結果になりました。この結果から、今の自分をSNS上で良く見せたい、と体裁を気にしてしまうために自由に意見を投稿できないようです。

◆SNSで仕事の愚痴やネガティブな発言はタブー!?
 次に、どのような投稿内容だと投稿をためらうのかを聞いてみたところ、「仕事の愚痴」が最も多く45.4%、続いて「プライベートのネガティブな発言」が40.0%、「友人・知人に対しての批判・文句」が37.6%となりました。仕事の愚痴やネガティブな発言はSNSではタブーと感じる人が多いようです。またこの結果は、SNSで自由に言いたいことを投稿できない理由ともリンクしていると言えます。
 このように愚痴やネガティブなことは言いにくい現在のSNSの環境から、「ひとり言や愚痴などを気軽にSNSに投稿したいと思いますか?」とニーズを聞いたところ、「投稿したい」という意見が59.8%と約6割の人がこのような欲求を持っていることが明らかになりました。


■精神科医・名越 康文氏に聞く、SNSと心理の関係性
 調査の結果からも、SNSの利用は増えているものの、一方で自由に投稿できないという問題もあることがわかりました。そこで、精神科医の名越 康文氏に、SNSのつながりと心理面では、どのような関係性があるのか専門的なお話をうかがいました。

名越 康文(なこし やすふみ) 精神科医
1960年生まれ。
精神科医。専門は思春期精神医学、精神療法。奈良県生まれ。
大阪府立中宮病院(現:大阪府立精神医療センター)にて精神科緊急救急病棟の設立。責任者を経て、99年 同病院を退職。引き続き臨床に携わる一方で、テレビ・コメンテーター、雑誌連載、映画評論、漫画分析など、様々なメディアで活動している。

◆人はなぜSNSに参加するのか
・つながりたいというのは人間の本質的な欲求
 人類の歴史から人間の根源的な願望を考えると、宗教の考えに辿りつきます。そこで宗教的な世界観から考えると、宗教の世界観の大多数は、死後は天国など“別の世界”で生まれ変わるか、“この世”でまた生まれ変わるという輪廻転生の考えになっています。宗教を人間の潜在的な強い願望を形にしたものと見るならば、このような考えは、死後も広い世界があって、その世界や人とつながりを持ちたいという思いから成り立つのです。従ってつながりたいという思いは人間の根源的な考えです。では、人がなぜつながっていたいのかというと、つながっていると思っている時だけ自分を確認できるからです。

・SNSは人の根源的な欲求を実現させている
 SNSのサービスは、上記の宗教の世界観を例にして考えると、死後の世界を先取りしたサービスと言えるかもしれません。魂だけになれば、瞬時に地球の裏側に行けて、誰とでもつながることが可能になります。SNSというのは、それをこの世で実現化させたものとも言えます。身体から飛び出して、もっと広い世界に出たいという長年の人間の根源的な欲求を満たすことのできるサービスだからです。また、SNSに投稿をすることで、つながりを持ちたいという欲求のさらに次のレベルである、自分が発信したものに他の人から評価をされて価値を確認する承認欲求や、自分に注目を集めてもらえる集中欲求を満たすことができます。だから人はSNSに参加をしようと思うのです。

◆つながり続けることに対しての精神的なつらさ
 しかし、SNSで常時誰かとつながりを持ち続けることは精神的に辛さが出てきます。その理由として、SNSではそこでつけた名前に対して一貫した自己像を保たなくては、と無条件に思うからです。仮にネット上で違う名前をつけたとしても、その名前での人格が一人歩きして、その名前の人格で一貫性を保とうとします。その結果、見ている人を裏切ってはいけない、とか悲観的なことは書けない、といったように自由に表現できなくなります。
 また、一方で、SNS上の他者からの影響もあります。1つは「罪悪感」です。相手がレスポンスをしてくれた際に、それに対してリアクションをしてあげなくてはいけない、とか、相手が発信した内容をきちんと見てあげなくてはいけない、というように、「罪悪感」がつきまとってしまうからです。もう1つは活字の影響力です。自分の発言した内容に対してのレスポンスで批判的な内容があった場合、活字は肉筆と違って相手の特徴や心が読み取れないのと、相手の方が正論だという感覚を持ちやすくなってしまいます。そのため、ネガティブな反応があると傷つきやすくなってしまいます。

◆オープンにつながらないSNSの可能性
 今、世の中に普及しているSNSは、1人の人がいやなことを言って、もしそれを見た100人のうち90人の人がいやな思いをしたら、怒りの総量が見る間に増大してしまう構造になっています。それは日本のためにも世界のためにも絶対に良くないことです。そのため、怒りの増大が大きくならない形になっているならば、オープンにはつながらないSNSの存在は精神的な文化としても悪くないと思います。
 また、オフラインの状態でガス抜きの仕方がわからない人にも、このような場があることは必要かもしれません。


■他人を気にしないで自由に投稿のできる「つながらないSNS」の紹介
 調査の結果からも、自由にひとり言や愚痴をつぶやきたいというニーズがあることと、それを阻害しているのが、他の人に自分を悪い印象に見せないように体裁をつくろおうとするところにありました。名越先生のお話にも、ガス抜きをできる場というのは重要とありました。それを可能とする、知り合いのごく一部の人とだけ、または、誰ともつながらないといった「オープンにつながらないSNS」のサービスに注目しました。

◆サイバーエージェント「きいてよ!ミルチョ」
 「きいてよ!ミルチョ」は2012年8月末のサービス開始から約半年間で会員数が50万人を突破(2013年2月23日(土)時点)、1日に10万件以上のひとりごとがつぶやかれているサービスです。
 どうでもいい30文字以内のひとりごとを、ゆるキャラのミルチョに対して気軽につぶやく新感覚のコミュニティサービスです。ひとりごとをつぶやいたり、他の利用者のひとりごとを聞いて「聞いたよ」とリアクションをすることで、ミルチョが50段階以上にわたり成長・進化するなど、キャラクターの育成を楽しむことができます。ひとりごとをつぶやくと、ミルチョがどうでもいいリアクションをしてくれます。誰ともつながることがないからこそ、自由に愚痴やひとりごとを投稿することができます。

⇒サービス情報URL: http://mirucho.me/dl/index.html

◆Green romp「Arrow」
 「Arrow」は2011年5月にサービスを開始し、登録者数が現在登録者数が現在7万人、投稿数は1,000万件以上のサービスです。「Arrow」の特長は匿名で登録をし、友達登録などもないため誰ともつながることはありません。
 投稿できる文字数は200字までで、発信するとランダムに選んだ世界中のユーザーの誰か1人にすぐ届きます。そして受け取った人は返事を打ち返しますが、返信が難しい内容の時は、別の人に返信を委ねる機能もあり、回答できる人までバトンを順送りできます。
 匿名性であることと特定の人とつながりを持たない上に、自分の発信したメッセージに必ず誰かからリアクションがあるため、SNS疲れの起きないサービスになっています。

⇒サービス情報URL: http://www.arrow-arrow.com

◆REVENTIVE「Close」
 「Close」は2012年9月にサービスを開始し、投稿数が50~60万件のサービスです。自分が大切だと思う人を9人まで登録でき、その9人それぞれとの思い出を共有することができるサービスです。本当に仲の良いユーザーだけのクローズドな関係を築くことができ、“決して誰にも邪魔されない、自分のための世界”が作れます。また、登録の際、基本情報やプロフィールも不要にしています。
 「Close」は自分が相手を友だちに登録しても相手には通知がいかない上に、承認や拒否という機能もありません。さらに友だちに登録しても相手の投稿が自分のタイムラインに流れてくるとも限りません。友だちに登録すると自分の投稿が一方的に相手に発信されますが、相手も自分のことを友だちに登録しなければ、その投稿は相手のタイムラインに表示されません。双方が友だち登録をしていないと互いの投稿は見られることがないシステムになっています。そのため、気心の知れた相手と気軽にコミュニケーションができる場となっています。

⇒サービス情報URL: http://reventive-world.com/Close/

カテゴリ:
調査・報告
ジャンル:
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