「人身傷害保険利用時の請求について(最判令和4年3月24日)...

「人身傷害保険利用時の請求について(最判令和4年3月24日)」 交通事故専門の弁護士法人しまかぜ法律事務所が最新コラムを公開

交通事故を専門に取り扱う弁護士法人しまかぜ法律事務所(所在地:愛知県名古屋市、代表弁護士:井上 昌哉)は、交通死亡事故のご遺族や交通事故の被害に遭われた方向けにコラムを連載しており、最新のコラムとして、「人身傷害保険利用時の請求について(最判令和4年3月24日)」を掲載しました。

弁護士法人しまかぜ法律事務所では、交通事故について情報提供するとともに、ご遺族や交通事故の被害に遭った方が適正な賠償額で解決ができるよう全面的にサポートしてまいります。


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代表弁護士 井上 昌哉


■人身傷害保険の利用について

交通事故の被害に遭い、こちらにも過失が大きい場合は、被害者やその家族が加入する人身傷害保険を利用することが多くあります。

人身傷害保険では、被害者に過失がある場合でも、人身傷害保険を利用するときは過失割合にかかわらず定額の補償がされますが、利用後に相手方に請求するときは過失相殺されます。

この際の過失相殺の方法について、過失相殺分は、被害者の請求側で考慮されるのか(絶対説)、人身傷害保険側で考慮されるのか(裁判(訴訟)基準差額説)の2種類があります。



■絶対説と裁判(訴訟)基準差額説の違い

絶対説と裁判(訴訟)基準差額説で、被害者が請求できる金額はどの程度違うでしょうか。


例:弁護士基準での損害が総額1000万円、人身傷害保険での補償額が500万円、過失割合が20:80の場合


1. 絶対説

被害者は、人身傷害保険で補償を受けた差額分(1000万円-500万円=500万円)を請求したいところですが、過失相殺分(1000万円×0.2=200万円)は、被害者の請求側で考慮されるため、被害者が請求できる金額は、300万円となります。(500万円-200万円)。

一方、人身傷害保険から相手方への請求(求償)は500万円です。


2. 裁判(訴訟)基準差額説

過失相殺分(1000万円×0.2=200万円)は、人身傷害保険側で考慮されるので、人身傷害保険から相手方への請求(求償)は300万円になります(500万円-200万円=300万円)。

一方、被害者の請求できる金額は、500万円です。



■絶対説と裁判(訴訟)基準差額説のどちらを採用するのか

この問題については、最高裁判所が、裁判(訴訟)基準差額説を採用するに至っています(最判平成24年2月20日判時2145号103頁)。


その後、人身傷害保険会社が自賠責保険を受領していた場合に、人身傷害保険会社が回収した自賠責保険金額について損益相殺を認めた裁判例が出ました(福岡高判令和2年3月19日、判例タイムズ1478号52頁)。

上記の例でいうと、人身傷害保険会社が自賠責保険から120万円を受領していた場合、被害者の請求額500万円から120万円を控除し、被害者の請求できる金額は380万円となります。

この裁判例は保険会社寄りの内容となっており、裁判(訴訟)基準差額説を主張した際の反論として保険会社が引用することが多くありました。


しかしながら、この裁判の上告審において、最高裁判所は、福岡高判を破棄して、人身傷害保険会社が回収した自賠責保険金額について損益相殺を認めないと判断しました(最判令和4年3月24日)。

上記の例でいうと、人身傷害保険会社が自賠責保険から120万円を受領していた場合でも、被害者の請求できる金額は500万円となります。


今回の最高裁判所の判断は被害者寄りの内容となっています。弁護士法人しまかぜ法律事務所では、これまでも裁判(訴訟)基準差額説で相手方へ損害賠償請求をして解決しています。今後も裁判(訴訟)基準差額説で請求を行い、最判令和4年3月24日のように人身傷害保険金が自賠責保険を受領していた場合において、損益相殺を認めずに相手方へ損害賠償請求していきます。


過失割合がある案件、人身傷害保険利用後の相手方への請求案件でお困りの方は、被害者にとって最も適する解決方法を考えてアドバイスし、交渉ができる、交通事故に強い弁護士にご相談いただくことをお勧めします。



■事務所概要

事務所名: 弁護士法人しまかぜ法律事務所

所在地 : 愛知県名古屋市中区丸の内一丁目4番12号 アレックスビル3階

定休日 : 土曜日・日曜日・祝日

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