幼少期から「言語が使われる状況と一緒に」包括的な外国語学習が...

幼少期から「言語が使われる状況と一緒に」包括的な外国語学習が大切 オックスフォード大学Hamilton氏へのインタビュー記事公開

「ワールド・ファミリー バイリンガル サイエンス研究所」(※以下、IBS)<東京都新宿区  所長:大井静雄>ではグローバル化社会における幼児期からの英語教育の有効性や重要性に関する情報を定期的に発信しています。

日本では、日本語以外の言語を知らなくても社会の一員として生活することができる一方で、このような環境で第二言語を学習するとなると多くの障壁があります。

そこでIBSでは、現在イギリスのオックスフォード大学にて、歌を使って外国語を学習することの効果を研究しているCate Hamilton(ケイト・ハミルトン)氏にインタビューを行い、記事として公開しました。


<インタビューサマリー>

●Hamilton氏はマルチリンガル体験を提供する「Babel Babies」で成功を収めた後、オックスフォード大学で歌と言語学習の関わりを証明する研究を行っている。

●外国語を学ぶモチベーションを向上させるには「家庭でも学校でも、外国語への好奇心を高めること」「言語が使われる状況と一緒に、包括的に教えること」が大切だということ。

  ●日本の環境下では常に日本語が強化されている状態なので、早くから外国語に触れさせることが子どもの言語発達にとって悪い影響にならないかと心配する必要はない。

●早くから第二言語を学ぶことで、メタ言語意識が発達し、第一言語の発達にとってもメリットがあり、思春期を迎える前に外国語に触れることは言語学習に対する積極的な姿勢を育てることにもなる。

 

                                                                         

息子が生まれたときがすべての出発点

Hamilton氏は自身が立ち上げた「Babel Babies(バベル・ベイビーズ)」というビジネスですでに成功を収めた人物でもあります。もとはオックスフォード大学で英語とフランス語を学び、その後、教職課程を経て、中学校の教師として英語とフランス語を教えており、その時点では第二言語習得については何も学んでいなかったHamilton氏。そんな彼女が第二言語習得やマルチリンガリズム(多言語使用)の分野の研究を始めたきっかけは第一子を授かったことだという。

 


Cate Hamilton氏


「息子とは英語とフランス語の両方でコミュニケーションをとりたいと思いました。でも、私は外国語の教師でありながら、バイリンガリズム(二言語使用)について何も知りませんでした。二つの言語を使って息子に話しかけるのは私だけになるので、息子が混乱するのではないかと思いました。同じ時期に、三か国語の通訳をしている親友のルースにも赤ちゃんが生まれ、互いに話すうちに私たちは自分の子どもたちに「すべての」言語を使えるようになってほしいと考えました。そこで、さまざまな国から歌や童謡を集めて、子どもたちに歌って聞かせました。それが私たちのビジネスである「Babel Babies」の始まりです。」とHamilton氏。

経営者として成功したのち、再びオックスフォード大学に戻り研究者の道へ

「Babel Babies」は歌や物語、体を使ったアクティビティを使い、幼い子どもたちにさまざまな言語を紹介し、言語とその文化や人々とのつながりを感じられるようなマルチリンガル体験を提供しています。Hamilton氏は「私たちが大切にしていることは、個々の言語を学ぶことよりも、異なる言語同士のつながりを学ぶことなのです。家庭でほかの言語を学ぶ理由のない2、3歳の子どもたちにとって、フランス語で40単語を学ぶのと、4つの言語で10単語を学ぶのとでは、大きな違いがあるとは思いません。私たちは、一つの言語に焦点を当てるのではなく、言語全般に対するスキルや態度を育てることに焦点を当てています。」と言います。


オックスフォード大学卒業後、中学校の教師、そしてBabel Babiesのビジネスを経験。現在は再び同大学に戻り、どのように歌が子どもの言語発達に役立つかということ研究しているHamilton氏。

「Babel Babiesの試みは成功して、歌を通して多くの親子の言語学習を手助けしてきましたが、歌と言語学習の関わりを証明した研究があるのか知りたいと思いました。」さらに続けて「ビジネスの世界から学術の世界に移ることを選んだもう一つの理由は、日本でもそうかもしれませんが、イギリスでは、言語や音楽、芸術といった教科への予算が減らされていて、代わりに科学や数学ばかりが重視されるようになっていることです。でも実際には、音楽や言語、芸術は、人間の本質の核となるものです。もし、音楽や言語が子どもたちのためになることを示す強力な証拠があれば、数学や科学を重視する社会の目的を達成するために音楽を活用することができる、ということを提唱することができます。」とHamilton氏。


経営者と研究者の両面を持つHamilton氏からのアドバイス

日本の子どもたちが外国語を学ぶモチベーションを向上させるためのアドバイスをHamilton氏にうかがいました。ポイントは「家庭でも学校でも、外国語への好奇心を高めること」「その言語が使われる状況と一緒に、包括的に教えること」と言います。具体的には「幼い子どもは、周りの世界すべてに自然と好奇心をもつので、周りの世界を探検する道のりの一つとして外国語を紹介してあげればいいのではないでしょうか。」とHamilton氏は言います。また「教師のみなさんは、外国語を教えるとなると、何かテーマ(色の名前や動物の名前など)に沿っていくつかの単語を単独で教えようとしますが、その考え方からは脱却してほしいです。歌や物語は文法をしっかり学ぶことができますし、語彙がもつ本来の概念を表現していますから、ぜひ活用してください。そうすれば、子どもたちは単語や文法を個々に覚えるのではなく、実際に使われる状況と一緒に学ぶことができます。」とのことです。

 

また早くから子どもに外国語に触れさせたりすることは、子どもの言語発達にとって悪い影響を与えるのではないか、と心配するご家庭に対しては「日本では、両親が日本人であれば、家庭で使われている言語は社会で使われている言語と同じですから、少しくらいほかの言語に触れても、日本語がダメになることはありません。なぜなら、日本語力は常に強化されているからです。」とHamilton氏。つづけて「その一方で、幼いころからほかの言語に触れることには、素晴らしい利点があります。 第二言語を学ぶことで、メタ言語意識(言語の性質について意識的によく考える能力)が発達し、第一言語の発達にとってもメリットがあります。また思春期に入ると子どもたちは新しいことにチャレンジするのが恥ずかしいと感じるようになってしまうので、幼いうちから外国語にふれることで言語学習に対する積極的な姿勢を育てることができます。」と言います。

 

今回、幼いころから言語に対する意識を高め、言語を楽しむことの良さについて、Hamilton氏にお話を伺い、外国語教育においては、歌や物語を活用すること、言語が使われる状況と一緒に学ぶこと、幼いころから言語を楽しむ方法を提供することが重要だとわかりました。そして、親や教師の外国語に対する姿勢も重要です。これらは、文化の違いや地理的な距離はありますが、日本の環境でも言えることです。

 

詳しい内容はIBS研究所で公開中の下記記事をご覧ください。

■オックスフォード大学Hamilton氏へのインタビュー  

https://bit.ly/3DP1t4x


■ワールド・ファミリーバイリンガル サイエンス研究所

(World Family's Institute Of Bilingual Science)

事業内容:教育に関する研究機関(https://bilingualscience.com/

所   長:大井静雄(東京慈恵医科大学脳神経外科教授/医学博士)

所 在 地:〒160-0023 東京都新宿区西新宿4-15-7 

    パシフィックマークス新宿パークサイド1階

設   立:2016年10 月

取材依頼・商品に対するお問い合わせはこちら

プレスリリース配信企業に直接連絡できます。