「セラミド含有ラメラ製剤」が角層のバリア機能を向上させること...

「セラミド含有ラメラ製剤」が角層のバリア機能を 向上させることを明らかに  ~角層ラメラ構造の規則性が高まることを発見~  第46回日本香粧品学会にて発表

ノエビアグループは、基礎化粧品による皮膚のバリア機能への有用性について研究を重ね、今回、セラミドをラメラ状(層状)に構成した「セラミド含有ラメラ製剤」が、角層の細胞間脂質に存在するラメラ構造を整えることで、バリア機能を向上させることを明らかにしました。この研究成果を2021年6月25日~26日に開催される「第46回日本香粧品学会」にて発表いたします。



【研究背景】

・角層ラメラ構造のバリア機能における役割に着目

角層は乾燥やほこり、紫外線など肌荒れを引き起こす外部からの刺激を防ぎ、体内の水分を保持する皮膚のバリア機能の役割を担っています。特に角層の細胞間脂質に存在するラメラ構造は皮膚バリア機能が低下した肌では規則性が低下することが報告されており、角層ラメラ構造を整え、バリア機能を維持するためには、角層ラメラ構造の主要成分であるセラミドを効果的に補うことが重要と考えられます。しかし、セラミドは難溶解性のため、製剤化には工夫が必要です。今回の研究では、セラミドを安定的に配合した製剤の開発、及び製剤を塗布することによる角層ラメラ構造の変化を調べ、その有用性を研究しました。


角層ラメラ構造のバリア機能における役割


【研究成果】

1. セラミドをラメラ状に構成した「セラミド含有ラメラ製剤」を開発

セラミドを安定的に配合するため、ラメラ状に構成した「セラミド含有ラメラ製剤」を開発しました。ラメラ構造は偏光顕微鏡で観察すると、マルテーゼクロスと呼ばれる十字型の像として確認することができます。


「セラミド含有ラメラ製剤」の偏光顕微鏡画像


2. 「セラミド含有ラメラ製剤」が角層ラメラ構造の規則性を整え、バリア機能を向上させることを確認

「セラミド含有ラメラ製剤」をヒトの肌に2ヵ月間塗布し、塗布部位と未塗布部位の角層を採取して、X線回折測定により、角層ラメラ構造の規則性について評価しました。その結果、回折ピークの半値幅の減少やピーク強度の増加傾向が確認できました。X線回折測定では、構造の規則性が高い方が回折ピークの半値幅が小さく、ピーク強度が大きくなることから、「セラミド含有ラメラ製剤」の塗布により、角層ラメラ構造が整ったことが示唆されました。また、X線回折ピークの半値幅はTEWL(経表皮水分蒸散量)※と正の相関がみられ、ラメラ構造の規則性とバリア機能の関連性が明らかとなりました。

※TEWL(経表皮水分蒸散量):バリア機能の指標。値が小さい程バリア機能が高い。


ラメラ構造とX線回折ピークの形状の関係


セラミド含有ラメラ製剤を塗布した際のX線回折ピークの変化


X線回折ピークの半値幅とTEWL



3. セラミドをラメラ製剤にすることで、バリア機能に対する有用性が高まることを示唆

三次元皮膚モデルにおいて以下(A)~(C)の条件下での角層構造の比較を行いました。

(A):「セラミド含有ラメラ製剤」未塗布

(B):セラミドを同量配合した非ラメラ製剤を14日間塗布

(C):「セラミド含有ラメラ製剤」を14日間塗布

その結果、(C)がヒトの肌と同様に角層ラメラ構造の規則性が最も向上することを確認できました。セラミドをラメラ状に構成することでセラミドのバリア機能に対する有用性が高まることが示唆されました。


「セラミド含有ラメラ製剤」のバリア機能に対する有用性


セラミドをラメラ状に構成した化粧品製剤の塗布により、角層に存在するラメラ構造の規則性が整い、角層バリア機能が向上することを確認しました。



【今後の展開】

今回の研究により、「セラミド含有ラメラ製剤」が角層細胞間脂質のラメラ構造を整えることで、角層のバリア機能を向上させることを見出しました。この研究成果はノエビアグループの基礎化粧品の開発へ応用する予定です。

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