社会における発達障がいへの認知や理解に関する全国調査を実施 ...

社会における発達障がいへの認知や理解に関する全国調査を実施  発達障がい当事者のいない家族も、同じ困りごとを抱える傾向あり

発達障がい啓発週間を前に、当事者以外も含めた全国1,304人の調査で明らかに

「発達障がいの目線で、みんなの生きやすさを叶える」を理念とする一般社団法人チャレンジドLIFE(京都市南区、代表:畠中 直美、以下 チャレンジドLIFE)は、厚生労働省が定める「発達障害啓発週間」(4月2日~8日)を前に、発達障がいへの認知や理解についての全国調査を実施しました。



■本調査の目的・特徴

今回初めて、自分自身も家族も発達障がい当事者ではない人を対象に含め、社会全体における発達障がいへの認知や理解に関する調査を行いました。回答者1,304人のうち68.8%(897人)が「自分自身も家族も当事者ではない人」であることが、本調査の特徴です。(図1)

発達障がいの現れ方はグラデーションのように幅が広く、当事者とそうでない人の明確な線引きは困難で、多くの当事者や、診断はなく同様の特性を持つ方が社会の中に存在しています。社会における発達障がいへの認知や理解の状況を知るためには、当事者や関係者(家族、支援者など)だけでなく、当事者とは積極的な関わりがない多数の方も対象として調査を行う必要があると考えました。


図1



■調査結果の概要

(1)発達障がいの認知度は高いが、当事者や家族の多くは十分に理解されているとは感じていない

(2)発達障がいの有無に関わらず、共通する日常の困りごとが存在する

(3)当事者や家族に向けられるネガティブな視線が、「理解されていない」と感じる要因につながる

(4)発達障がいの困りごとを軽減する対処は、多くの人たちの困りごとも軽減する



■調査結果のポイント

(1)発達障がいの認知度は高いが、当事者や家族の多くは十分に理解されているとは感じていない。

1,302人(99.8%)が「発達障がい」という言葉を「知っている」と回答。また1,025名(78.6%)が「どのような障害かをだいたい理解している」と回答。発達障がいの一般的認知度は高いといえる。しかし、当事者・家族208名へのヒアリングによると、188名(90.4%)の人が日常生活で十分に理解されていると感じていない。このギャップが、当事者の困難につながっていると考えられる。



(2)発達障がいの有無に関わらず、共通する日常の困りごとが存在する

一人ひとりが持つ「特性」(個人の中で一貫して出現する行動や態度の傾向)の中でも、発達障がいの困りごととして出現しやすい13の項目について「自分自身に当てはまる」「家族に当てはまる」「知人に当てはまる」ものを複数回答。

その結果、「1.片付けが苦手」「13.集団になじみにくい」「7.コミュニケーションが苦手」「2.こだわりが強い」「9.感情コントロールが苦手」「5.没頭すると切り替えが難しい」「12.興味関心が移り替わりやすい」は、発達障がいの有無に関わらず「自分や身近な人(家族・知人)に当てはまる」という回答が多い。(図2)


図2


さらに、「自分や家族に当てはまる特性」を「当事者家族(本人・又は家族が当事者)」「非当事者家族(家族に当事者はいない)」に分けた結果、回答傾向が類似していることが分かった。発達障がいの有無に関わらず、同じような困りごとが身内の中にあると言える(図3)。


図3


各特性の回答数に占める当事者家族・非当事者家族の割合を見ると、「1.片付けが苦手」「2.こだわりが強い」「5.没頭すると切り替えが難しい」「12.興味関心が移り替わりやすい」「13.集団になじみにくい」が特に一致している。中でも「1.片付けが苦手」は非当事者家族の占める割合のほうが高かった。

逆に「3.手先が極端に不器用」「6.読み書きが極端に苦手」は当事者家族の割合が圧倒的に高く、当事者家族に特有の困りごとと言える(図4)。


図4


(3)当事者と家族に向けられるネガティブな視線が、「理解されていない」と感じる要因

当事者と家族へのヒアリング調査(回答数193)によると、「発達障がいが理由で幼稚園の入園を拒否された」「わがままのような行動や、親の躾が悪いと思われる特徴が多く、ほかの子と同じであることを求められる」「書字障がいのためタブレットの使用を希望したが、却下された」などの体験が寄せられた。当事者は努力や我慢ではカバーできない特性を持つため、適切な環境や配慮を必要とする。しかし、努力によって対応できるか否かの違いが周囲から分かりづらいためネガティブな見方が生まれ、当事者や家族が「十分に理解されているとは言えない」と感じる要因に繋がっていると考えられる。



(4)発達障がいの困りごとを軽減する対処は、多くの人たちの困りごとも軽減する

困りごとやその対処について具体的な内容をヒアリングしたところ(回答数536)、「時間を忘れて熱中しそうなときは、タイマーをかけておく」「不器用でも使いやすい文具を使う」「指示は短い文で、1回に1つの内容にしてもらう」「苦手なことを周りの人に伝えておき、一人で抱えない」などが、当事者や家族から多数寄せられた。これら日常の困りごとへのちょっとした対処は、発達障がいの有無に関わらず、同様の困りごとを抱える多くの人にも効果があると考える。



■考察

発達障がいへの認知度や理解は高まってきているものの、当事者や家族の実感としては、まだまだ十分な理解があるとは言えない現状が明らかになりました。発達障がいによる困りごとの中には、当事者特有のものではなく、多くの人が感じている困りごとと一致しているものがあります。今回の調査結果より、発達障がいへの理解が広がり、困りごとに対する適切な環境や対処がとられることで、当事者だけでなく多くの人にとっても過ごしやすい社会に繋がるのではないか、ということが見えてきました。

チャレンジドLIFEは現在、発達障がい児を育てる目線を活かし、あらゆる子どもの発達を促す玩具商品を生むため、乳幼児玩具メーカー「ピープル株式会社」様( https://www.people-kk.co.jp/ )との共同研究に参画しています。今後も様々な分野で「発達障がいの目線で、みんなの生きやすさを叶える」を目指し、活動して参ります。



■オンライン報告会 2021年4月7日(水) 15時~16時

本調査の報告ならびに、調査結果に基づいたパネルディスカッションを行います

パネラー:小嶋 美代子氏(NPO法人GEWEL代表理事)、

     畠中 直美(チャレンジドLIFE代表)

Zoom ミーティングID:894 9073 8113/パスコード:967656

https://us02web.zoom.us/j/89490738113?pwd=VW52YVpCek53bXdPeWFaNGxRMi9kZz09



■調査概要 ※詳細な報告は https://www.challenged-life.com に公開しています。

調査方法  : インターネット調査、一部Zoomやメール(自由記述)での個別ヒアリングを実施

調査期間  : 2021年3月16日~26日

有効回答者数: 1,304人

<内訳> 割合は四捨五入のため総計が100%にならない場合があります。

属性:自分自身も家族も当事者ではない人:897人(68.8%)、

   当事者の家族:346人(26.5%)

   当事者:61人(4.7%)

性別:男性 130人(10.0%)、女性 1,165人(89.3%)、回答なし9人(0.7%)

年代:10代 15人(1.2%)、20代 63人(4.8%)、30代 394人(30.2%)、

   40代 599人(45.9%)、50代 191人(14.6%)、60代 35人(2.7%)、

   回答なし 7人(0.5%)

地域:北海道 30人(2.3%)、東北 38人(2.9%)、関東 418人(32.1%)、

   中部 169人(13.0%)、近畿 475人(36.4%)、中国 44人(3.4%)、

   四国 30人(2.3%)、九州 83人(6.4%)、海外 17人(1.3%)



■法人概要

商号  : 一般社団法人チャレンジドLIFE(2017年9月設立、京都府京都市南区)

代表者 : 畠中 直美

事業内容: (1)発達障がいに関するワークショップ、セミナー、情報発信

      (2)発達障がいの目線から、多くの人の生きやすさにつながる

       商品・サービス開発

URL   : https://www.challenged-life.com

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