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【セミナーレポート】外務省、環境省、NPO ELP 後援  太陽経済の会 セミナー開催されました! ~地球の『変動』に対応する未来と理想の地域創り~

太陽からの恵みによる自然エネルギーや日本の効率化技術により、地球環境に配慮した持続可能な共存共栄モデルを築く経済を目指す一般社団法人 太陽経済の会(所在地:東京都千代田区、代表:山崎 養世)は、外務省およびNPO法人 Earth Literacy Programの後援を受け、2017年11月27日(月)に東京・霞が関でセミナーを開催しました。


本セミナーでは、外務省 国際協力局 気候変動課の石垣 友明氏、太陽経済の会 評議員の人類学者 竹村 真一氏を講師に迎え、地球規模の『変動』に対応する未来を描き、太陽経済による理想の地域創り、イノベーションについて私たちが取り組むべき課題を考えました。


セッション『太陽経済による理想の地域創り』では竹村 真一氏、山崎 養世、サンジーヴ スィンハ 太陽経済の会 インド部会代表の三人が登壇し、意見交換を行いました。太陽経済の理念のもと、インド南東部のアンドラ・プラデシュ州で進行しているプロジェクトと次世代電気自動車社会他、『環東京湾構想』(2009年9月 竹村氏と山崎 養世の共著)で予測していた東京の未来と現在の東京から学ぶ持続可能な都市モデル・インフラ、日印の相互経済発展、雇用、人材教育の重要性等について語りました。登壇者と参加者の交流の時間に新型デジタル地球儀“触れる地球”のポータブル版の実機も紹介されました。参加者からのご関心、ご質問も寄せられ、盛会に終了いたしました。


【セミナー要約】

字数に限りがあり、各内容、要約しています。


■開会の辞

 一般社団法人 太陽経済の会 代表理事 山崎 養世


太陽経済のコンセプトを私が発信してから約10年になります。2009年に一般社団法人 太陽経済の会を創立し、出版しました著書、『日本「復活」の最終シナリオ ~太陽経済を主導せよ!~』をはじめ太陽経済のお話はたくさんして参りました。産業革命以降のイノベーションの連鎖、石炭、石油に依存した経済システムから21世紀に入り、太陽光を中心とした自然エネルギーへの経済システム:太陽経済に移行しており、エネルギー調達コストも技術革新により、コストがかからなくなっていく。そのエネルギー革命で電化社会が進行し、どのように電気を使っていくのか、私たちの生活・環境がどう変わるのか。交通・地域・経済システムにも革命が起こり、アジアの時代、持続可能型経済システムに移行、クリーンな環境、地球温暖化対策、気候変動の緩和・適応が私たちに求められています。

2009年の竹村 真一氏との共著、『環東京湾構想 ~新たな成長と人間本来の生き方のために~』で首都圏のデザインは100年前のもので一極集中と高齢化が進む近年では、限界とし、東京湾を中心とした湾岸エリアの新たなる成長モデルの構想を描きました。竹村氏は、エコロジカルなリサイクル都市モデル、適応する生命都市、環東京湾構想は世界のモデルになる等と『進化する街・東京の未来』を予測しています。

いよいよ、太陽経済実現期に入り、グリーンフィールドのインドで都市開発・地域創りを進めていく段階にもなりました。本日はそのインドでの都市開発・地域創りにも触れ、みなさまと意見交換、交流できればと思います。


■気候変動をめぐる最近の国際動向:COP23及び今後の見通し

 外務省 国際協力局 気候変動課長 石垣 友明氏


気候変動問題は、環境問題と捉えられがちですが、先ほど山崎代表から『太陽経済』のお話があったように、環境にとどまらず、経済成長及び安全保障にも関係し得る重要な課題です。国際社会においてどうやって新しい市場、秩序を創っていくのかを巡り、国際的なリーダーシップの競争が生じます。こうした外交の政策の観点から気候変動問題に外務省は関与しています。先日ドイツ ボンで開催されたCOP23(国連気候変動枠組条約締約国会議)でどのような議論がされたのか、ご報告いたします。

まず、パリ協定は、京都議定書に代わる2020年以降の温室効果ガス排出削減等の新たな国際枠組みで、先進国・途上国の区別なく、温室効果ガスの排出削減※に向けて各国がそれぞれの目標達成に向けた取組を実施すること等を規定した枠組です。COP23は、このパリ協定の実施のために必要な具体的な指針を2018年の期限に向けて交渉する場でした。日本が重視していた課題の3点、すなわち、1. パリ協定の実施指針に関する議論の推進、 2. 2018年に開催される「促進的対話」の基本的な設計の完成、3. グローバルな気候行動の推進、はおおむね達成できたと考えています。

今回のCOPでは、気候変動により大きな影響を受けるといわれる小島嶼国の中から、フィジーがはじめて議長国を務めました。日本は大洋州とは結びつきも強く、会議の成功のためにフィジーを積極的に支援しました。また、中川環境大臣からは、我が国の世界への貢献や国内における取組を発信し、2019年のIPCC総会の誘致の意図表明をしたほか、温室効果ガス観測衛星「いぶき2号」の打ち上げ等を発表するなど、日本の気候変動分野での取り組みをアピールしました。

来年のCOP24において実施指針が策定できるかはまだ予断を許しません。どのような指針とすべきかを巡り、一部途上国と先進国等との間で主張の違いが存在するためです。来年のCOP24において、いかにパリ協定の基本的な枠組を維持しつつ、実施指針をまとめていくかが課題です。


※参考 発効要件上の各国の温室効果ガス(GHG)排出量割合:

中国がトップの20.1%、米国17.9%、EU(28か国)12.1%、ロシア7.5%、インド4.1%、日本3.8%、ブラジル2.5% 出典:2016年1月 COP21報告書



■変動する地球への創造的適応

 NPO法人 Earth Literacy Program 竹村 真一氏


パリ協定の合意を実現した場合とそうでない場合、地球のシナリオが相当変わります。そのような違いを可視化し、啓発するデジタル地球儀を開発し、国連防災世界会議をはじめとした国際会議で展示されました。

北極圏の温度上昇が、氷に覆われていますと太陽の熱は9割反射し、1割しか吸収しないのに対し、氷解した部分が海になると9割の熱を吸収します。極寒の2月で例年から28℃近くも上昇した日もあり、我々の想像を超えた気温上昇が北極で現れて、加速すると言われています。

2010年アラブの春、2011年シリア内戦のトリガーも気候変動でした。ロシアからの熱波・干ばつが滞留し、ロシア・ウクライナの小麦収穫量が半減し、その小麦に輸入で頼っていた中東諸国での食糧危機を招きました。日々の暮らしを支える水や食糧が不足し、戦況の深刻化、ISの台頭を引き起こしました。中東の戦争や難民のニュースのベースに気候変動があり、ロシアの熱波・干ばつは北極の温暖化によると議論されています。北極の温暖化によるジェット気流の停滞は最近のカリフォルニアの山火事の原因ともいわれ、異常気象が長引いた2010年は、ロシアで降るはずの雨がインドやパキスタンに集中し、洪水を引き起こし、大きなニュースでした。

先ほど、外務省の石垣氏のお話にもありましたように、外交、政治、経済、食糧危機の意思決定者は地球の体温・体調に対して刻々と向き合わずには意思決定できるはずありません。食料(穀物)をほぼ自給していた中国でも1割は輸入に頼るようになってきていますが、その1割は日本の人口分であり、中国が世界から食料を爆買いするようになった結果、世界の穀物価格が上昇しました。

地球表面に存在する動物の重量の60%を占めるのは75憶人の人間です。残りの30%は家畜、10%は野生動物です。人間が100年少しでCO2濃度を4割増しにするなど大気の組成を変えてしまったが、これだけ大きくなった力の使い方を反転すれば、人間が地球のシナリオをよくすることもできると言えます。それが太陽経済ではないでしょうか。

CO2排出量世界一の中国はいち早くパリ協定の批准をし、2040年までにガソリン車撤廃というEU諸国より早く EV社会を創ろうとしている。原発を唯一増設している中国が、それを上回る勢いで風力発電を殖やしていまやダントツ世界一となり、2030年を待たず、クリーンエネルギー大国になります。

20世紀文明は人間がガリバー化したが、未熟な文明だった。21世紀はイノベーションによりよい文明になる可能性があります。


■太陽経済による理想の地域創り

 ~インド アンドラ・プラデシュ州の都市開発と新電気自動車社会について

 一般社団法人 太陽経済の会 代表理事/くにうみアセットマネジメント株式会社 代表取締役社長 山崎 養世


太陽経済の理念 “Save Humanity” 人間が自分で自分を救う、人間性を守っていく。これをどうやって位置付けていくか。人類が100憶人になっても平和で共存共栄できる世界をどう創るのか。前提条件として、エネルギー、都市、世界全体のメカニズムを整備していくのか。


先ほど、お話がありましたが、中国は断トツで量・質ともに環境先進国です。中東の石油に依存している中国は危機感があるエネルギー問題を解決すれば、環境、交通、都市、貧富の格差の問題も解決され、ネットワーク化して相互に助け合う中国は完全にその方向に向いていますが、それを抜くかもしれない国がインドです。労働生産人口平均年齢26歳、今後人口が一番増加し、インフラが整備される。これは実質経済成長二大決定要因で2桁成長するであろうと言われています。中国とインド合わせて人口25憶人。両国が2030年までに電気自動車化するのは国家戦略としての意図があります。

2017年9月 安倍首相が訪印し、モデイ首相がアンドラ・プラデシュ州を共同開発地域に指定しました。同じ時にアンドラ・プラデシュ州とくにうみアセットマネジメントが都市開発のMOUを締結しました。アンドラ・プラデシュ州は新都を沿岸部のアマラバティに建設する計画があり、私たちはアマラバティ、ヴィシャーカパトナム、クリシュナパトナムのプロジェクトの具体的なプロジェクトを形成しています。クリシュナパトナムでは自動運転電気自動車システムを開発します。


太陽経済としてのキーポイントは、エネルギー革命が起こり、電力産業が最大の成長産業となり、新しい電気自動車が社会・街のほとんど全てを変えてしまうということです。エネルギーの中で電化は現在、20%だが、2050年には4倍の約80%に増え、電力の消費が2-3倍になり、電力産業が最大の成長産業となる。そのうち、ほとんどが再生可能エネルギーになる。10年で再生可能エネルギーのコストは100分の一になり、タダになり、シェアリングされます。日本の鉄道会社は不動産運用、街づくりを主要事業としました。鉄道会社による街づくりは日本の東急電鉄が二子玉川で成功しているように、電気自動車でも同じ運用、街づくりが起きます。新幹線より便利な高度IT化し、電化、管理されることが可能になります。また、交通事故で毎年亡くなる120万人が自動電気自動車走行で救われることになります。アメリカでは自動走行の義務化を目指す指針も出ています。アンドラ・プラデシュ州で1,000万人が住む安全、自由な最先端の街を目指します。


竹村 真一氏とともに板 茂氏も私たちの都市開発のパートナーです。坂 茂氏は建築界でのノーベル平和賞と言われるプリツカー賞を2014年に受賞、2017年にはマザー・テレサ社会正義賞を日本人初受賞されています。建築のOS、素材、建築の在り方、イノベーションを起こした方です。例えば、阪神大震災で神戸に建てられた紙の教会は台湾で震災があった地域に贈られ、現存しています。

坂 茂氏は建築は人間に愛されるかどうか、とおっしゃっています。被災地の仮設住宅で仕切りを作ったこともそこに住む方たちの気持ちを和らげ、生活の質を上げました。インドでは貧困で難民キャンプのような場所で生活されている方たちもいます。そのような方の人間性を守る“Save Humanity”愛される住宅を一緒に創っていきたいと思います。坂 茂氏と竹村 真一氏は静岡県富士山世界遺産センターでも協業されており、素晴らしい日本の富士山文化を世界に発信する取り組みをされています。



■意見交換

 竹村 真一氏、山崎 養世、サンジーヴ スィンハ


<変動する地球への創造的適応 『水』について 竹村 真一氏>

地球温暖化、気候変動による海面上昇や洪水のリスクある沿岸低地で人口が密集した都市は世界中にあります。東京、大阪、名古屋、上海、ニューヨーク、フロリダ等世界各都市で課題です。東京は400年前から水害に創造的に適応し、進化した街です。近年のイノベーションでは雨水貯留を墨田区のスカイツリーで行い、その水を利用することが可能です。また、無水、無電源のトイレを販売している日本の大手メーカーもあります。水インフラがない世界の25億人に衛生的環境を保つトイレを提供できる可能性もあります。


<インド・アンドラ・プラデシュ州に関するコメント 一般社団法人 太陽経済の会 インド部会代表 サンジーヴ スィンハ>

インドは世界の人口の5分の1、先進国の電力消費量約10分の1です。エネルギー、配送電、IOT、ブロックチェーンが進み、より経済成長の進度が加速します。日本の都市開発技術力、資金力、勤勉な国民性はとても優れています。そして早い決断力を持って、インド都市開発に参入すると両国の相互成長、相乗効果が生まれます。アンドラ・プラデシュ州はインドの中でも土地管理がよく、汚職も少ない恵まれた地域です。


【講師】

■石垣 友明氏 外務省 国際協力局 気候変動課 課長


■竹村 真一氏 一般社団法人 太陽経済の会 評議員

        NPO法人 Earth Literacy Program(ELP)代表

        京都造形芸術大学教授 人類学者 文化人類学 情報環境論


【モデレーター】

■山崎 養世 一般社団法人 太陽経済の会 代表理事

       くにうみアセットマネジメント株式会社 代表取締役社長


【コメンテーター】

■サンジーヴ スィンハ 一般社団法人 太陽経済の会 インド部会代表


【司会・進行】

■田辺希 アナウンサー 気象予報士


【セミナー概要】

日時:2017年11月27日(月) 15:30~18:00

会場:霞が関 プラザホール

主催:一般社団法人 太陽経済の会

後援:外務省、環境省、NPO法人 Earth Literacy Program



【太陽経済の会の活動】

政策提言、セミナー開催、会員交流、趣旨に合致する研究・企業活動への支援等を行っています。2009年に太陽経済の会を設立後、その活動から生まれた再生可能エネルギー・地域創生関連プロジェクトの事業化を目指し、山崎 養世を代表取締役社長として2012年、くにうみアセットマネジメント株式会社が設立されました。

太陽経済の会から発展した日本最大級のメガソーラー(岡山県瀬戸内市)は2019年稼働予定です。また、中国、インドでも活動展開中です。最近では前述のインドプロジェクトの他、2017年6月 中国南部の珠江デルタ地域と香港、マカオの経済圏の一体化を目指す粤港澳大湾区フォーラム(中国最大級IT企業 テンセント社主催)に山崎 養世がBay Area Visionに関する日米中の有識者のパネルディスカッションに登壇し、環東京湾構想について話をしました。

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