【もうすぐ台風シーズン】ZIP!気象キャスターが教える台風の豆知識と台風からの身の守り方

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    2022年7月29日 12:00

    日本に、年に何回もやってくる台風。

    冬にも発生しているけれど、日本に接近するのはだいたい7~10月。

    今年も、もうすぐ台風シーズンに入るとみられることが天気予報で伝えられています。

    でも、「台風って何?」と聞かれて正確に答えられる人は少ないのではないでしょうか。

    そんな、知っているようで案外知らない台風についての豆知識と、台風からの身の守り方を、気象予報士のくぼてんき氏 著『くぼてんきの「天気のナンデ?」がわかる本 』http://www.asa21.com/book/b584255.html より抜粋してお届けします。

    始まりは水蒸気

    ひとことで言えば、台風とは、「暖かい海上で発生した最大風速17.2メートル以上の暴風を吹かせるほどに発達した熱帯低気圧」のこと。

    激しい雨や風=台風というわけではないんです。

    台風の元となる「熱帯低気圧」は、暖かい海の上で発生した低気圧の呼び名。

    普通の低気圧は寒気と暖気の両方がないとできないのですが、熱帯のほうの低気圧は寒気がなくてもできます。

    なぜなら、熱帯の強い日差しに暖められ、海からたくさんの水蒸気が上昇して、どんどん雲ができるから。

    その雲の周りに暖かい湿った空気が集まってきて、さらにそこに地球の自転による回転が起こると、まれに大きな渦になって熱帯低気圧から、台風へと成長していきます。

    つまり、熱帯の暖かい海で発生する水蒸気が、台風の始まりとなるのです。

    台風のエネルギー源は、水蒸気が水に変わるときに発生する熱なので、陸地ではできず、たくさんの水蒸気が放出される海の上でだけできます。

    日本にやってくる台風は、ほとんどが日本のはるか南にある熱帯や亜熱帯地方の海からやってくるものです。

    台風は何日前から予想できるのか?

    台風の予想は、昔にくらべるとより詳しく、より早くできるようになっています。

    気象庁はこれまで、台風が発生してからしか「こんなふうに台風が進みますよ」という発表をしていなかったのですが、2020年からは台風の卵(まだ台風の強さに成長していない熱帯低気圧)の段階から、発達しそうな場合は発表をするようになりました。

    とはいえ、予想できるのは5日先まで。

    台風が日本の南にあると、どんなルートで近づいてくるかがわかります。
      
    でも精度が高くなるのは、やっぱり2~3日くらい前からですね。

    ただ、最近は日本の近くの海が暖かいから、日本のすぐ近くの海の上で台風が発生して、すぐ日本にやってくるというパターンもあります。

    ときには昨日発生して今日やってくる……なんてことも!

    台風の風で人が飛んでしまう?

    さすがに人が空に向かって飛ばされることはないと思うけれど、強い風(風速15メートル以上)だと、傘が壊れたり、風に向かって歩けずよろけてしまう人が出たりします。

    非常に強い風(風速20メートル以上)になると、飛んできたもので窓ガラスが割れてしまったりしますし、めったにないけれど、猛烈な風(風速30メートル以上)になると、人が転がされてしまったり、トラックなどが横転してしまったりするんです。

    台風ではどんな被害に気をつけるといい?

    大きな台風は雨雲の範囲が大きいので、大雨や強風の影響を広い範囲で長時間受けることになってしまいます。

    まず考えられるのは、大雨による土砂災害、河川の増水・はん濫、低い土地の浸水など。

    さらに、強い風により電線が切れて停電したり、電車や飛行機が止まって交通機関に影響が出たりすることが考えられます。

    電車が止まるのは、強風による脱線や転覆、強風で何かが飛んできて線路をふさいだりするのを防ぐため。

    風速25メートル以上だと運転中止となる鉄道会社が多いようです。

    飛行機が止まるのは、強い風にあおられると安全に離着陸するのが難しくなるため。

    横風か追い風かなどで基準が違うけれど、風が強いときや台風が近づいているときは、前もって運航を止めるようになっています。

    何かが飛んでくる可能性があるので、車での移動も安全ではありません。

    風が強まってからの外出はリスクが高くなるので、避難は早めにするのが肝心です。

    台風上陸の3日前からの「行動の時間割」

    同じ災害でも台風が地震などと違うのは、前もって予測できるということ。

    まずは天気予報を見て、自分の住んでいるところにはいつ台風が一番近づいて雨や風が強まるのかを知っておくことが大切です。

    そして、台風に備えて何をしておくかという、「行動の時間割」を、早めに考えておきましょう。

    普段から家族と防災の話をして、自分の家族に合った時間割と役割分担を決めておくと安心です。

    台風はたいてい一日で抜けていくので、危険や被害が長引く地震に比べたら、食料などの備蓄は少なくても大丈夫でしょう。

    ただ、はん濫しやすい川が近くにあると、冠水して家から外に出られなくなったり、マンションのエレベーターが動かなくなったりして孤立する可能性があるので、そういう場合は多めの備えが必要。

    最低でも3日分、可能なら一週間分くらい備蓄してあるといいですね。

    家のまわりに飛ばされやすいものがないか確認しておくことも、近隣の人たちの安全のために大切なことなので、絶対に忘れないで。

    とくに見落とさないでほしいのが、自転車。

    家の前にとめておいた自転車が倒れたり飛んでいったりして、通行人にケガをさせたりよその家や車に当たって傷つけてしまったりすることがありますから。

    家の中に入れるスペースがなくても、できるだけ奥のほうに置いて倒しておくようにしましょう。

    台風が来る3日前からの「行動の時間割」例

    3日前

    ・食料や防災グッズを確認して、足りないものがあったら買い出しに行く
    ・自分や家族が普段から飲んでいる薬があれば、不足しそうな分を病院に取りに行く
    ・ハザードマップで避難する場所や移動手段をあらためて確認しておく

    2日前

    ・家の周りに飛ばされやすいものはないか確認しておく
    ・家族の今後の予定を確認し、いざというときのそれぞれの避難場所を決めておく

    1日前

    ・スマートフォンを充電しておく
    ・車で避難をする場合はガソリンを入れておく
    ・断水や停電に備え、お風呂に水を張っておく
    ・大きな災害が予想されたときは天気が荒れる前に、知人宅やホテルに避難

    半日前

    ・テレビやインターネットで雨や川の様子をチェックしておく
    ・いつでも避難できるよう動きやすい服装に着替えておく
    ・避難指示が発表されたときは、ただちに避難所や安全な場所へ避難を開始する

    著者プロフィール

    くぼてんき

    著者:くぼてんき
    著者:くぼてんき

    気象予報士、防災士、子ども環境管理士、紙芝居師
    1983年生まれ、大阪府出身。 気象予報士と防災士の資格に加え、東京都が認定する大道芸人ヘブンアーティストのライセンスも持っている。 小学校、商業施設、さまざまなイベントなどで「天気」「環境」「防災」をテーマにした講演、ワークショップなどを行う。 2018年4月2019年3月、テレビ神奈川の気象キャスター。 2019年4月、日本テレビ朝の情報番組の人気気象キャスターとして活躍中。

    書籍情報

    表紙
    表紙

    タイトル:くぼてんきの「天気のナンデ?」がわかる本
    著者:くぼてんき
    ページ数:264ページ 
    価格:1,430円(10%税込) 
    発行日:2021年7月18日
    ISBN:978-4-86667-292-2
    書籍紹介ページ:http://www.asa21.com/book/b584255.html

    amazon:https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4866672927/asapublcoltd-22/
    楽天:https://books.rakuten.co.jp/rb/16758515/?l-id=search-c-item-text-01

    目次

    気象写真(カラー) 
    第1章 空と雲のナンデ
    第2章 雨と雪のナンデ
    第3章 風と台風と雷のナンデ
    第4章 気温のナンデ
    第5章 天気予報のナンデ
    コラム

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