「もしも」のとき、その家は家族を守れますか? 災害時代の新常識『レジリエンス住宅』|property technologies

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    2026年6月12日 11:00

    能登半島地震の甚大な被害、各地で頻発する線状降水帯、毎年大型化する台風――。さらには、今後30年以内に80%程度の確率で発生するとされる「南海トラフ地震」や、同じく約70%とされる「首都直下地震」の予測など、私たちは常に自然災害のリスクと隣り合わせで生きています。

    ニュースを見るたびに、「次に大きな災害が起きたら、うちは大丈夫だろうか?」と不安を感じたこと、ありませんか?

    前回の記事(vol.19)では、「一生住む家」という考え方に縛られず、「いつでも手放せる家(売却・賃貸に出せる家)」を選ぶことが、これからの時代の家選びの基準だとお伝えしました。

    今回はそこからもう一歩踏み込んで考えてみましょう。
    「災害が起きても住み続けられる家」「災害があっても価値が落ちにくい家」――そんな家こそが、これからの時代に“手放しやすい資産”として残せる家ではないでしょうか。

    その答えとして近年注目されているのが、『レジリエンス住宅』です。

    ※参考:内閣府「令和6年版 防災白書」
    https://www.bousai.go.jp/kaigirep/hakusho/r6.html

    ※参考:国土交通省「住宅の耐震化・省エネ化に関する施策」
    https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/

    1.「レジリエンス」って、そもそも何?

    「レジリエンス(Resilience)」とは、もともとは物理学や心理学で使われていた言葉で、「しなやかに立ち直る力(回復力・耐久力・適応力)」を意味します。東日本大震災以降、防災の文脈でもよく使われるようになりました。

    つまり、レジリエンス住宅とは、「災害があっても、家族の命と暮らしを守り、すぐに元の生活に戻れる家」のこと。発災のその瞬間だけを生き延びる単なる「丈夫な家」ではなく、災害後の生活継続まで考えられた家なのです。

    2. レジリエンス住宅が持つ「3つの力」

    レジリエンス住宅は、日常・災害時・その後の復旧期という「全ての時間軸」で力を発揮します。

    平時(日常の快適力)
    高断熱・高気密やバリアフリーにより、いつもの暮らしを心地よく支え、省エネで毎月の光熱費も削減します。

    災害発生(災害時の防御力)
    優れた耐震・制震構造、耐火・耐風性能、浸水対策によって、家族の命と建物を守り抜きます。

    復旧期(復旧期の自立力)
    太陽光発電や蓄電池、雨水利用などを備え、ライフラインが止まっても「在宅避難」で暮らしを継続できます。

    3. 災害時、避難所に行かなくていい家

    レジリエンス住宅の最大の特徴をひと言で表すなら、「避難所に行かなくても、自宅でそのまま暮らせる家」です。

    実は、過去の大震災では、地震そのもので亡くなった方より、避難生活のストレスで亡くなった方(=災害関連死)が非常に多い現実があります。例えば、阪神・淡路大震災では約900人、東日本大震災では約3,800人もの方が災害関連死で亡くなっています。能登半島地震でも、災害関連死が直接の死者数を約2倍上回り、認定された方の約98%が60歳以上を占めました(2025年12月時点・石川県公表分)。慣れない避難所生活が、特に高齢者にとっては命に関わるストレスになるのです。

    また、想定される南海トラフ地震では、最大約235万棟もの全壊・焼失が予測されており(2025年3月・内閣府公表)、避難所自体が圧倒的に不足する事態も懸念されます。

    国も「自宅に倒壊や浸水の危険がなければ、避難所より在宅避難が推奨される」という方針を示しています。レジリエンス住宅は、まさにこの「在宅避難」を可能にする家です。実例として、LIXIL住宅研究所の「レジリエンス住宅CH14」のように、ライフラインが止まっても約1ヶ月間、家族が自宅で暮らせるように設計された住宅も登場しています。

    ※参考:内閣府「災害関連死について」
    https://www.bousai.go.jp/taisaku/saigaikanrenshi/

    ※参考:LIXIL住宅研究所「レジリエンス住宅CH14」
    https://www.homes.co.jp/cont/press/buy/buy_00038/

    「家族と離れず、慣れた環境で、心身の負担なく過ごす」――それだけで、災害後の生存率も、回復スピードも、まったく変わってきます

    4. 後悔しないための、3つのチェックポイント

    「レジリエンス住宅にしたい」と思ったとき、デザインや間取りの前に必ず確認しておきたい3つの構造的要件をご紹介します。

    ①まずは「立地」のハザードリスクから

    どんなに住宅の性能が高くても、立地そのもののリスクを大きく上回ることはできません。まずは購入を検討している土地のハザードマップ(地震・水害・土砂災害など)を必ず確認しましょう。国土交通省の「ハザードマップポータルサイト(https://disaportal.gsi.go.jp/)」で誰でも無料で見られます。

    ② 「住宅性能」の認定をチェック

    特に、耐震等級は「3」を、断熱等級は「5」以上(ZEH水準)を目安にし、長期優良住宅やZEHなどの認定を取得した住宅は、地震保険の割引や住宅ローン金利の優遇、税制優遇などのメリットも受けられます。

    ③ 「エネルギー自立」できる設備があるか

    災害時に命に関わるのが「停電の長期化」です。冷暖房が使えず、夏は熱中症、冬は低体温症に陥る事態を防ぐのが、「太陽光発電+蓄電池(あるいはEV/V2H)」の組み合わせです。

    電気代の高騰が続く今、平時の光熱費削減にも直結するため、「いざという時の備え」と「毎月の家計改善」を同時に叶える一石二鳥の設備といえます。

    まとめ:「災害に強い家」は、いま考えるべき資産戦略

    レジリエンス住宅は、初期費用こそ一般の住宅より高くなりがちです。しかしそれは、「命を守る」「暮らしを守る」「資産を守る」という3つの絶対的な価値への投資ともいえます。

    特に強調したいのは、避難所に行かずに自分の家で家族と過ごせるという価値。災害時、慣れない場所での生活は心身に大きな負担を与えます。レジリエンス住宅なら、「もしもの時もいつもの暮らし」を続けられる――これは、お金には換えられない安心感です。

    前回(vol.19)お伝えした「いつでも手放せる家」という視点でも、レジリエンス住宅は強い味方になります。災害リスクが高まる時代、高性能で災害に強い家は、将来売却や賃貸に出すときも「住みたい」と思ってもらいやすく、手放しやすい資産になるのです。

    家賃が上がり続け、災害リスクも増し、相続や資産承継の課題も身近になる今。家を「何十年も住み続ける箱」ではなく、「家族と資産を守るための戦略的な道具」として見直してみる。その視点こそが、これからの家選びには欠かせないはずです。

    (編集・執筆/property technologies 永江 直人)

    適用に際しての具体的な注意点
    ・上記は令和8年3月末時点の適用法令・通達等に基づき記載しております。
    ・上記事例等は一例であり実際に適用する場合にはご自身が適用要件を満たしているか専門家等にご確認の上適切にご対応頂きますようお願い致します。
    ・本記事の記載内容にあてはめて適用することを保証するものではありませんのでご留意願います。


    監修/大谷 修太(おおたに しゅうた)

    齋藤久誠公認会計士・税理士事務所

    1級ファイナンシャル・プランニング技能士
    宅地建物取引士

    2012年にみずほ銀行へ入社後、2014年みずほ信託銀行へ出向。
    2024年まで相続・事業承継・不動産を専門とするコンサルタントとして毎年100家族以上のご相談に対応。現在は独立し「相続や事業承継で経済的に不幸になるご家族を一人でも減らしたい」という理念のもと、幅広い層の皆さまに最適なソリューションを提供。

    株式会社property technologies(プロパティ・テクノロジーズ)について

    「UNLOCK YOUR POSSIBILITIES. ~テクノロジーで人生の可能性を解き放つ~」というミッションを掲げています。年間36,000件超の不動産価格査定実績やグループ累計約15,000戸の不動産販売で培ったリアルな取引データ・ノウハウを背景に、「リアル(住まい)×テクノロジー」で実現する「誰もが」「いつでも」「何度でも」「気軽に」住み替えることができる未来に向け、手軽でお客様にとって利便性の高い不動産取引を提供しています。

    <会社概要>
    会社名:株式会社property technologies
    代表者:代表取締役社長 濱中 雄大
    URL:https://pptc.co.jp/
    本社:東京都渋谷区本町3-12-1 住友不動産西新宿ビル6号館12階
    設立:2020年11月16日
    上場:東京証券取引所グロース市場(5527)


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