<糖尿病の認知度は80%超でも 糖尿病性腎臓病(DKD)など合併症への理解不足が浮き彫りに> イーヘルスクリニック新宿院、世界糖尿病デーに合わせて調査を実施
イーヘルスクリニック新宿院(東京都新宿区)は、2025年11月14日の世界糖尿病デーに合わせて、糖尿病に関する調査を実施しました。その結果、糖尿病の認知度は80%を超えている一方で、糖尿病性腎臓病(DKD:Diabetic Kidney Disease)など合併症の理解は十分に進んでおらず、健康診断後の受診行動にも課題があることが明らかになりました。

アンケート結果(1)
■11月14日は世界糖尿病デー
世界糖尿病デーは、1991年に国際糖尿病連合(IDF)と世界保健機関(WHO)が制定した糖尿病啓発の日で、インスリンを発見したバンティング博士の誕生日である11月14日に定められています。
糖尿病は、インスリンの分泌や働きの異常により、血糖値の高い状態が続く病気です。2022年の国際研究によると、成人における世界の糖尿病患者数は約8億2000万人を超え、1990年の約1億9,800万から4倍以上に増加したと報告されています。2023年に行われた厚生労働省の「国民健康・栄養調査」によると、「糖尿病が強く疑われる者」の割合は男性で16.8%、女性で8.9%でした。「糖尿病が強く疑われる者」と「糖尿病の可能性を否定できない者(糖尿病予備群)」を合計すると、成人の約6人に1人(約2,000万人)と推計されています。
■糖尿病の合併症:糖尿病性腎臓病(DKD)とは?
糖尿病性腎臓病(DKD)とは、糖尿病によって腎臓の機能が徐々に低下していく慢性腎臓病(CKD:Chronic Kidney Disease)の一種です。海外の研究では、糖尿病患者の約40%が発症する結果が出ており、末期腎不全の最も一般的な原因の一つです。
高血糖の状態が続くと、血液をろ過する腎臓の糸球体が傷つき、尿中にタンパク質(特にアルブミン)が漏れ出すようになります。これは「アルブミン尿」と言われ、DKD初期のサインです。初期には自覚症状がほとんどなく、気づかないうちに進行していることも少なくありません。症状が進行するとむくみや高血圧、疲労感などが現れ、最終的には末期腎不全に至り、透析治療や腎移植が必要となる場合があります。
■糖尿病の管理における3つのポイント
糖尿病の管理には、「血糖値のコントロール」と「DKDなど合併症の予防」の両立が欠かせません。糖尿病による合併症の発症や悪化を防ぎ、健康な人と変わらない生活の質(QOL:Quality Of Life)や寿命を維持することが重要です。糖尿病を適切に管理するために、次の3つのポイントを意識しましょう。
● 血糖値のコントロール
薬物治療だけでなく、日々の食事や運動によって血糖値をコントロールする
● 腎臓・血管の定期的な評価
エコー検査、血液・尿検査などで腎臓や血管の状態を定期的に確認する
● 生活習慣・食事の習慣化
管理栄養士による専門的な栄養指導を受け、無理なく継続できる食生活を習慣づける
■当院でのアンケート調査概要
調査名 :糖尿病に関する意識調査
実施日 :2025年10月28日
方法 :インターネットによる匿名調査
対象者数:全国の一般生活者(平均年齢約41歳)の男女305名
■糖尿病の知識があっても予防できていない実態が明らかに
糖尿病そのものについてや、糖尿病と食生活の関連について、80%以上の人が正しく理解していました。一方で、食生活で糖尿病予防を意識できている人は50%未満にとどまり、理解はしていても実践できていない実態が明らかになりました。

アンケート結果(2)
糖尿病がインスリンの分泌や働きの異常によって血糖値の高い状態が続く病気であることを「知っている」人は、全体で87.5%に上りました。年代別に見ると、60代以上では100%、20代以下でも80%が「知っている」と回答しており、糖尿病の知識は十分あることが明らかになりました。

アンケート結果(3)
食生活が糖尿病の発症や悪化に関係することについて、全体で93.1%が「知っている」と回答しました。世代別に見ても、全世代で「知っている」人が80%以上で、世代に関係なく理解が広がっていることがわかりました。

アンケート結果(4)
食生活における「糖尿病予防」について、「意識していない」と回答した人が51.8%でした。特に20代以下は55.6%、30代は55.9%が「意識していない」と回答しており、若年層における糖尿病予防の意識が低いことがわかりました。
■DKDの認知度は30%以下、健康診断で異常でも60%超が受診せず
腎臓の働きを定期的に検査することで、糖尿病の合併症予防や早期発見につながる可能性があります。しかし、腎臓と糖尿病の関連を知っている人は36.8%でした。また、DKDという言葉を聞いたことがある人はわずか27.2%で、DKDの認知は進んでいないことがわかりました。
さらに、健康診断で血糖値などの異常を指摘された場合、「必ず受診する」と回答した人は23.3%にとどまりました。一方で、「症状があれば受診する」または「受診しない」と回答した人は67.6%に上っています。
今回の調査で、「症状が出ていないから大丈夫」と放置してしまう人が多い実態が浮き彫りになりました。DKDなどの合併症リスクが広く知られていないことが、早期受診や予防行動を妨げる要因の一つになっていると考えられます。

アンケート結果(5)
定期的な腎臓検査が糖尿病の早期発見や予防につながることについて、全体で36.8%が「知っている」と回答しました。世代別に見ても大きな違いはなく、腎臓と糖尿病の関連について、全世代で理解が不足していることがわかりました。

アンケート結果(6)
DKDの認知度は全体で27.2%で、腎臓と糖尿病の関連と併せてDKDの認知も広げていく必要性が明らかになりました。世代別に見ても、認知度の低さに大きな違いは見られませんでした。

アンケート結果(7)
健康診断で、血糖値やHbA1cが高いと指摘された場合に受診するかどうかの問いに対して、「必ず受診する」と回答したのはわずか23.3%でした。全体の63.0%が「症状があれば受診する」、4.6%が「受診しない」と回答しており、受診意欲の低さが明らかになりました。
■健康診断で異常を指摘されたら、放置せず早めの受診を
糖尿病は全身の合併症を引き起こす可能性があり、早期発見・早期治療が重要です。特にDKDは初期症状がほとんどなく、気づかないうちに病気が進行するケースも少なくありません。健康診断で異常を指摘された場合は、放置せず早めに医療機関を受診し、治療を受けることが大切です。
イーヘルスクリニック新宿院では、腎臓専門外来を設置し、DKDをはじめとする腎疾患に対応しています。また、知識が豊富な管理栄養士によるオンライン栄養カウンセリングも行っており、より健康的な食生活をサポートしています。詳細は下記URLをご参照ください。
https://ehealthclinic.jp/first/nutrition/
■クリニック概要

イーヘルスクリニック新宿院
イーヘルスクリニック新宿院は、腎臓内科を中心に、内科全般やアレルギー(花粉症)、性感染症、肥満外来(医療ダイエット)、ビタミン点滴・幹細胞上清液・エクソソーム療法など、健康増進と予防医療にも幅広く対応しています。
当院は、腎臓内科を専門とする数少ないクリニックの一つです。血液・尿検査やエコー検査(超音波検査)によって血管の状態を評価したり、動脈硬化や腎機能の変化を早期に発見できる体制を整えています。健康診断で「血糖値が高い」と指摘された方は、早めの受診・治療をおすすめします。ぜひ一度ご相談ください。
クリニック名 : イーヘルスクリニック新宿院
所在地 : 東京都新宿区新宿2丁目6-4 新宿通東洋ビル3F
院長 : 天野 方一
開院 : 2022年4月
電話番号 : 03-5315-0514
公式Webサイト: https://ehealthclinic.jp/
<参考文献>
● https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736%2824%2902317-1/fulltext
● https://seikatsusyukanbyo.com/statistics/2024/010818.php
● Sabrina Scilletta, Maurizio Di Marco, Nicoletta Miano, Agnese Filippello, Stefania Di Mauro, Alessandra Scamporrino, Marco Musmeci, Giuseppe Coppolino, Francesco Di Giacomo Barbagallo, Giosiana Bosco, Roberto Scicali, Salvatore Piro, Francesco Purrello, Antonino Di Pino.Update on Diabetic Kidney Disease (DKD): Focus on Non-Albuminuric DKD and Cardiovascular Risk.Biomolecules,2023,13,5,p.752

















