池袋ふくろう消化器内科・内視鏡 クリニック東京豊島院

    「便が出口まで来ているのに出ない…」は便秘のサイン? 消化器病専門医が解説する「出口便秘」と今日からできる3つの対策

    「便が出そうなのに、最後のところで止まってしまう」

    「トイレでかなり強くいきまないと出ない」

    「便はそこまで硬くないのに、指で補助したり浣腸を使ったりしないと出せない」

    このような悩みを抱えていませんか?

    便秘というと、「何日も便が出ない」「便が硬い」といったイメージを持つ方が多いかもしれません。しかし、便秘は排便の回数だけで判断するものではありません。

    便が直腸付近まで来ているのに、うまく外へ出せない「排便困難型」の便秘もあります。医学的には、「機能性便排出障害」と呼ばれる状態が関係している場合があります。

    そこで今回は、医療法人社団アイメッド 池袋ふくろう消化器内科・内視鏡クリニック 東京豊島院の院長・柏木宏幸医師(消化器病専門医・消化器内視鏡専門医・総合内科専門医)が解説する「出口でつまずく便秘」について、日常生活で意識したいポイントを紹介します。

    ■元動画はこちら:

    「毎日出ているから便秘ではない」は間違い?

    便秘について考えるとき、「何日出ていないか」を気にする方は少なくありません。

    しかし、便秘では、

    強くいきまないと便が出ない

    便が出ても残っている感じがする

    肛門や直腸のあたりで便が詰まっているように感じる

    指で補助しないと排便できない

    といった症状も重要です。

    つまり、毎日排便があっても、排便することに強い負担がかかっていれば、便秘の可能性があります。

    日本消化管学会の「便通異常症診療ガイドライン2023―慢性便秘症」でも、慢性便秘症は、排便回数が少ない「排便回数減少型」と、便を出しにくい「排便困難型」に分けて考えることが示されています。

    「もっと強くいきめば出る」は逆効果になることも

    便が出口まで来ているのに出ないと、

    「もっと力を入れなければ」

    と思ってしまいがちです。

    ところが、排便には単純に「お腹から押し出す力」だけではなく、便を押し出す力と、肛門周囲の筋肉(骨盤底筋や肛門括約筋)を適切に緩めることの連携が必要です。

    排便時に本来うまく緩むべき筋肉が十分に緩まず、逆に力が入ってしまうと、便を出しにくくなることがあります。

    便排出障害では、こうした排便時の筋肉の協調がうまくいかないケースがあり、専門的な検査や治療が行われることもあります。

    そのため、

    「出ないから、もっと頑張る」

    という発想だけで対処するのではなく、

    「どうすれば出口を緩めて、スムーズに排便できるか」

    という視点も大切です。

    今日からできる「出口便秘」対策3つ

    1.トイレでは足台を使って姿勢を変えてみる

    まず試しやすいのが、トイレでの姿勢です。

    洋式トイレに座ったとき、足元に安定した台を置いて膝を少し高くし、上半身を軽く前に倒します。

    イメージとしては「考える人」のような姿勢です。

    この姿勢によって、股関節が深く曲がり、排便時の直腸・肛門周辺の角度が変化します。実際、「考える人」の姿勢によって排便時の直腸肛門角などが変化した研究があります。

    また、排便姿勢を補助する器具によって、排便時間やいきみ、残便感などに変化がみられた研究(健康な人を対象とした研究)もあります。

    ただし、足台を使えばすべての便秘が改善するわけではありません。2023年のランダム化試験では、便秘患者において足台による姿勢変化は確認されたものの、模擬排便の時間や主観的な排便しやすさに明確な改善は認められませんでした。

    そのため、「必ず効く方法」ではなく、無理のない範囲で試せる排便姿勢の工夫の一つと考えるのがよいでしょう。

    足台を使う場合も、高さを無理に上げる必要はありません。

    膝や関節に痛みがある方、ふらつきがある方などは、転倒しないことを最優先にしてください。

    2.息を止めて全力でいきまない

    便を出そうとすると、知らないうちに息を止めて、

    「うーん!」

    と全身に力を入れていないでしょうか。

    出口便秘が疑われる場合には、息を止めて全力でいきむことだけを繰り返さないこともポイントです。

    鼻から軽く息を吸い、口をすぼめて「ふーっ」とゆっくり吐く。

    その呼吸に合わせて、お腹に適度に力を入れるイメージです。

    大切なのは「10割の力で押し出す」ことではありません。

    肩や首などの余計な力を抜き、便が自然に下へ進むのを邪魔しないように意識してみましょう。

    特に、高血圧や心臓・血管の病気などがある方、高齢の方などは、強く長くいきみ続けることについて注意が必要です。排便時のいきみは血圧変動を伴うことがあるため、無理をしないことが大切です。

    3.「朝食後」を排便の習慣にする

    もう一つ意識したいのが、トイレに行くタイミングです。

    朝食をとると、胃に食べ物が入った刺激によって大腸の動きが促される「胃結腸反射」が起こります。

    そのため、朝食後は排便のタイミングを作りやすい時間帯の一つです。

    「朝は忙しいからトイレを我慢する」

    という生活を続けていると、排便のタイミングを逃してしまうことがあります。

    まずは朝食後に落ち着いてトイレに座る時間を作ってみましょう。

    ただし、出ないのに長時間座り続ける必要はありません。

    「毎朝、排便の時間を作る」ことを習慣にすることがポイントです。

    スマートフォンを持ち込んで長時間トイレに座り続けることも避けましょう。

    「便秘だから食物繊維を増やそう」にも注意

    便秘対策として、まず食物繊維を増やそうと考える方も多いでしょう。

    食物繊維は健康的な食生活において重要な栄養素ですが、便秘のタイプによっては、増やし方に注意が必要です。

    食物繊維には、水に溶けにくい「不溶性食物繊維」と、水に溶けやすい「水溶性食物繊維」があります。

    不溶性食物繊維は便のかさを増やす方向に働き、水溶性食物繊維は水分を含んで便を柔らかくする方向に働きます。

    そのため、すでに便が出口付近で詰まっているような状態で、不溶性食物繊維を中心に食物繊維を急激に増やすと、便のかさばかりが増えて、かえってお腹の張りが強くなる場合があります。

    「便秘だから、とにかく食物繊維を大量に食べる」

    という自己判断ではなく、自分の便秘がどのタイプなのかを考えることが大切です。

    水分についても同様です。

    ただ大量に水を飲めばよいというわけではありません。食事から摂取する水分も含め、無理のない範囲でこまめに水分をとることを意識しましょう。

    なお、心臓や腎臓などの病気で水分摂取量について指示を受けている方は、自己判断で水分量を増やさず、主治医の指示に従ってください。

    市販の便秘薬を使っても「お腹は痛いのに出ない」なら?

    便秘になると、市販の便秘薬を使う方もいるでしょう。

    便秘薬にはさまざまな種類があり、腸を刺激して動かすタイプや、便に水分を含ませて柔らかくするタイプなどがあります。

    しかし、便が出口付近でうまく出せない状態の場合、腸を動かすことだけでは解決しないケースもあります。

    「便秘薬を飲むとお腹は痛くなるのに、肝心の便がうまく出ない」

    という場合は、便秘のタイプを一度見直してみる必要があるかもしれません。

    慢性便秘症では、症状や病態に応じて食事・生活・排便習慣の見直しや薬物療法などを組み合わせ、改善が十分でない場合には専門的な検査や治療が検討されます。

    便秘薬を頻繁に使用している場合も、自己判断で使い続けるのではなく、医師や薬剤師に相談してみましょう。

    「指で補助しないと出ない」は、一度相談してほしいサイン

    特に注意したいのが、

    指で便を押し出さないと出ない

    肛門周辺を押すと排便しやすくなる

    排便後も強い残便感がある

    肛門から何かが出てくるような感覚がある

    といった症状です。

    こうした症状では、単なる便の硬さだけではなく、排便時の筋肉の協調や、直腸瘤・直腸脱など構造的な問題が関係している可能性もあります。

    必要に応じて、専門的な検査によって排便時の筋肉や直腸・肛門の状態を確認し、バイオフィードバック療法などが検討されることもあります。

    「何年もこうだから仕方ない」と諦める必要はありません。

    便秘だと思っていても、別の病気が隠れていることも

    そして、便秘の相談で忘れてはいけないのが、「本当に便秘だけなのか」を確認することです。

    慢性便秘では、排便習慣の急激な変化、血便、意図しない体重減少、発熱、腹部の異常所見などがある場合、器質的な病気が隠れていないかを確認する必要があります。

    例えば、

    こんな変化があれば、自己判断で様子を見続けない

    これまでと違う便通の変化が急に始まった

    血便がある

    意図せず体重が減っている

    貧血を指摘された

    強い腹痛がある

    発熱を伴っている

    お腹の張りが強く、食事がとれない

    便が細くなったなど、排便状態に明らかな変化がある

    こうした症状がある場合は、便秘対策だけを続けるのではなく、医療機関へ相談することが大切です。

    慢性便秘の診療では、こうした警告症状・徴候がある場合、大腸内視鏡検査などによって器質的疾患を評価することが推奨されています。

    もちろん、これらの症状があるからといって、必ず大腸がんなどの病気があるという意味ではありません。

    重要なのは、「いつもの便秘だろう」と決めつけず、必要な検査を受ける機会を逃さないことです。

    便秘は「我慢するもの」ではなく、原因を考えるもの

    便秘は、人に相談するのが恥ずかしい症状の一つかもしれません。

    しかし、毎朝トイレで長時間苦しんだり、外出先で排便のことが気になったり、お腹の張りやガスに悩んだりする状態は、日常生活にも影響します。

    「こんなことで病院に行っていいのかな」

    と思う必要はありません。

    便秘にはさまざまなタイプがあり、排便回数だけでは判断できないケースもあります。

    特に、

    「便は出口まで来ている感じがするのに出ない」

    「毎回かなりいきまないと出ない」

    「指で補助しないと出ない」

    という方は、まず自分の排便の仕方を振り返ってみましょう。

    今日からできることとしては、

    ①足台などを使って排便姿勢を工夫する
    ②息を止めて全力でいきまず、呼吸を意識する
    ③朝食後など、排便しやすい時間にトイレへ行く習慣を作る

    という3つがあります。

    ただし、これらを試しても改善しない場合や、血便・急な便通変化・体重減少・貧血・強い腹痛などがある場合は、自己判断で長期間様子を見ないことが大切です。

    便秘は「恥ずかしいから我慢するもの」ではありません。

    自分の排便の状態を知り、必要なときに医療機関へ相談する。

    それが、お腹の不調を長引かせないための第一歩になります。

    柏木宏幸院長が「出口便秘」を動画で詳しく解説

    今回ご紹介した「出口まで便が来ているのに出ない」という便秘について、池袋ふくろう消化器内科・内視鏡クリニック 東京豊島院の柏木宏幸院長が、排便の仕組みやトイレでの姿勢、呼吸、食物繊維、便秘薬、医療機関へ相談する目安などを動画で詳しく解説しています。

    便秘について「自分も当てはまるかもしれない」と感じた方は、日々の排便習慣を見直すきっかけとしてご覧ください。

    また、便通の変化が長く続いている方や、気になる症状がある方は、一人で抱え込まず医療機関へ相談することも検討しましょう。

    【クリニック概要】

    院名: 医療法人社団アイメッド 池袋ふくろう消化器内科・内視鏡クリニック 東京豊島院
    院長: 柏木 宏幸(かしわぎ ひろゆき)/日本消化器病学会 消化器病専門医・日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医・日本内科学会 総合内科専門医
    所在地: 〒170-0013 東京都豊島区東池袋1-21-1 ラグーン池袋ビル6F
    アクセス: 池袋駅35番出口より徒歩3分/東池袋駅2番出口より徒歩5分
    電話: 03-5992-5577
    公式HP: https://www.ikebukuro-cl.com/
    公式YouTube: https://www.youtube.com/@HKa-wb4jw

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