~「仕事」に関する調査~30~40代のサラリーマン、3人に1...

~「仕事」に関する調査~ 30~40代のサラリーマン、3人に1人が“仕事うつ”を自覚  “仕事うつ”を回避するカギは「休憩」にあり!  精神科医・名越康文氏が語る、休憩の“質”の重要性  サラリーマンの定番アイテム「缶コーヒー」も、「質の高い休憩」に有用

生活者の意識・実態に関する調査をおこなうトレンド総研(東京都渋谷区)は、30~40代の男性会社員300名を対象に、「仕事」に関する意識・実態調査をおこないました。その結果、男性会社員の3人に1人が、仕事が原因で気持ちが沈みやすくなる“仕事うつ”を自覚しているほか、“仕事うつ”の男性ほど、仕事中に満足のいく「休憩」がとれていないという実態が明らかになりました。

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そこで今回、トレンド総研では、仕事と休憩の関係性について、精神科医の名越康文先生にインタビューを実施しました。名越先生によると、仕事中のこまめな休憩は、仕事の能率を高めアイデアを湧きやすくさせるほか、うつ状態を回避・解消する上でも重要とのこと。また、休憩は「時間の長さ」よりも「質の高さ」がポイントであり、ちょっとした体操をしたり、缶コーヒーを飲んだりと、仕事中とは異なる刺激を与えることで、気分をしっかり切り替えることが大切なのだそうです。


■Summary
【調査結果】30~40代サラリーマンの「仕事」に関する意識・実態調査
◆ 30~40代サラリーマンの3人に1人は“仕事うつ”
◆ 休憩時間の過ごし方 「飲み物を飲む」が8割、人気は「缶コーヒー」
◆ 休憩時間を過ごす場所、1位は「自分のデスク」・・・「ながら休み」率も6割
◆ 「休憩」に罪悪感をおぼえるサラリーマンたち・・・7割が「日本人は休憩下手だと思う」と回答
◆ 「休憩」と「サボリ」のボーダーラインを調査!「コンビニ」はOK、「ゲーム」・「昼寝」はNG!?
◆ “仕事うつ”を回避している人ほど、「十分な休憩」がとれていた!ポイントは「長さ」ではなく「質」
◆ 「休憩は、仕事の行き詰まりを解消する上で有効」86%が回答、実際に解消できた経験がある人も7割以上


【インタビュー】 精神科医・名越康文氏に聞く「仕事」と「休憩」の関係性
◆ 仕事をやればやるほど、むなしくなる・・・30~40代は、“アイデンティティ障害”に陥りやすい
◆ うつ状態の回避・解消には「気持ちの切り替え」が重要・・・能率があがり、アイデアも湧きやすくなる!
◆ 休憩は「長さ」よりも「質」!「体操」と「飲み物」で気分の切り替えを・・・定番アイテム「缶コーヒー」も有用


1.【調査結果】30~40代サラリーマンの「仕事」に関する意識・実態調査
はじめに、30~40代の男性会社員300名を対象に、「仕事」に関する意識・実態調査をおこないました。

[調査概要]
調査名 :「仕事」に関する意識・実態調査
調査対象:30代~40代 男性会社員 300名(都内勤務、オフィス勤務の方)
     ※年代ごとに均等割付/30代150名、40代150名
調査期間:2013年8月1日(木)~2013年8月5日(月)
調査方法:インターネット調査


◆ 30~40代サラリーマンの3人に1人は“仕事うつ”
はじめに、30~40代のサラリーマンに「普段、仕事が忙しいと感じますか?」と聞いたところ、73%が「そう感じる」と回答。働き盛りの年代だけに、毎日を忙しく過ごしている人が多いようです。
しかし一方で、やりがいや労働時間などを考慮した「仕事満足度」を聞いたところ、仕事に対して「満足している」と答えた人は56%と約半数にとどまりました。満足できている人と、そうでない人で「二極化」している様子がうかがえます。

そこで、仕事に対する意識についてさらに詳しく質問をしたところ、「仕事が楽しくないと感じることがある」という人は68%、「会社に行きたくないと思うことがある」という人は53%という結果に。また、「仕事に行き詰まりを感じることがある」と回答した男性も55%と半数以上にのぼり、30~40代のサラリーマンの多くが、仕事に対してマイナスの気持ちを抱えていることがわかりました。
さらに、「自分が“仕事うつ”だと感じることはありますか?」と聞くと、36%が「ある」と回答。3人に1人のサラリーマンが、自身が“仕事うつ”であると自覚しているようです。

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◆ 休憩時間の過ごし方 「飲み物を飲む」が8割、人気は「缶コーヒー」
続いて、仕事中の「休憩」事情について調査をおこないました。
まず、昼食などの食事時間や生理的欲求によるトイレを除いた「仕事中にとる休憩の回数」を聞いたところ、「3回くらい」(27%)が最も多い結果に。また、「休憩の合計時間」は平均で「36.1分」となりました。ちなみに、理想の「休憩時間」は平均「61.5分」であり、現実とは大きな隔たりがあるようです。

また、「仕事中に休憩としておこなっていること」を複数回答で聞くと、「飲み物を飲む」(80%)が最も多く、次いで「インターネットをする」(60%)、「ガムやあめ、菓子などを食べる」(43%)、「周囲の人と話す」(38%)などが上位に。一方で、「本当は休憩としておこないたい(けれども、できていない)こと」を聞くと、「昼寝をする」が45%と半数近くにのぼりました。
ちなみに、「休憩中に飲む物」を聞くと、「コーヒー」(57%)が最も多く、「緑茶」(31%)、「ミネラルウォーター」(19%)、「炭酸飲料」(15%)を大きく上回る結果に。また、よく飲むコーヒーのタイプとしては「缶コーヒー」(49%)という回答が圧倒的に多く、頻度として「週に3日以上」飲んでいる人も39%と約4割にのぼりました。サラリーマンたちにとって、「缶コーヒー」が休憩中の定番アイテムであることがわかります。
ちなみに、「職場で缶コーヒーを飲む理由」としては、「気分転換のため」(66%)、「眠気覚ましのため」(38%)、「リラックスするため」(34%)、「集中力を回復し、仕事の能率をあげるため」(27%)などが上位となりました。

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◆ 休憩時間を過ごす場所、1位は「自分のデスク」・・・「ながら休み」率も6割
さらに、「休憩することが多い場所」を複数回答で聞いたところ、最も多かったのは「自分のデスク」で69%。一方で「(本音では)休憩をしたい場所」としては、「会社の外(喫茶店など)」(39%)が最多となりました。
また、「『ながら休み(自分のデスクなどで仕事をしながら休憩すること)』と、『休憩に専念した休み』では、どちらのほうが多いですか?」という質問では、「ながら休み」が61%、「休憩に専念した休み」が22%という結果に。休憩に専念した休みがとれているサラリーマンは、わずかしかいないようです。

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◆ 「休憩」に罪悪感をおぼえるサラリーマンたち・・・7割が「日本人は休憩下手だと思う」と回答
そこで、サラリーマンたちが休憩に専念した休みがとれない理由について掘り下げたところ、「仕事中に休憩をとることについて、他の社員の目が気になりますか?」という質問には、36%と4割弱が「気になる」と回答。また、「仕事中に休憩をとることに対して罪悪感がありますか?」という問いに「ある」と答えた人も、27%と5人に1人にのぼりました。
さらに、「日本人は休憩下手だと思いますか?」との質問には、70%ものサラリーマンが「そう思う」と回答。真面目な日本人は、休憩をとりづらいと感じる人が多いのかもしれません。


◆ 「休憩」と「サボリ」のボーダーラインを調査!「コンビニ」はOK、「ゲーム」・「昼寝」はNG!?
 また今回の調査では、「休憩」と「サボリ」のボーダーラインを明らかにするため、下記の行動が「休憩」と「サボリ」のどちらに該当するかを質問しました。

●ゲームをする
「休憩」:7%、「サボリ」:86%、「どちらとも言えない」:7%
●読書をする
「休憩」:21%、「サボリ」:63%、「どちらとも言えない」:16%
●昼寝をする
「休憩」:38%、「サボリ」:48%、「どちらとも言えない」:14%
●仕事に関係のないWEBサイトを見る
「休憩」:35%、「サボリ」:40%、「どちらとも言えない」:25%
●プライベートのメールをチェックする
「休憩」:38%、「サボリ」:34%、「どちらとも言えない」:28%
●コーヒーショップなどに行く
「休憩」:41%、「サボリ」:39%、「どちらとも言えない」:20%
●コンビニなど社外のお店に飲み物や食べ物を買いに行く
「休憩」:53%、「サボリ」:24%、「どちらとも言えない」:23%
●社内の売店・自動販売機に飲み物や食べ物を買いに行く
「休憩」:67%、「サボリ」:13%、「どちらとも言えない」:20%

飲み物や食べ物を買いに行くなどの行為は、「休憩」と捉える人が多い一方で、「ゲーム」や「読書」など趣味に近い行動は「サボリ」と捉える人が過半数にのぼっています。また、「昼寝」についても48%と2人に1人は「サボリ」であると考えているようです。


◆ “仕事うつ”を回避している人ほど、「十分な休憩」がとれていた!ポイントは「長さ」ではなく「質」
こうした状況の中で、果たしてサラリーマンたちは十分な休憩がとれているのでしょうか。

「あなたは十分に休憩がとれていると思いますか?」と質問したところ、前述の“仕事うつ”の自覚の有無で、大きく差が出る結果に。
前問で“仕事うつ”と感じることが「ある」と答えたグループで「十分に休憩がとれている」と回答した人は38%にとどまったのに対し、“仕事うつ”と感じることが「ない」と答えたグループにおいて同じ回答をした人は68%と約7割にのぼりました。
また、職場での「休憩満足度」についても差異が生じ、“仕事うつ”を自覚するグループで「(休憩に)満足している」と回答した人は40%、“仕事うつ”でないグループでは67%という結果になりました。
このことから、“仕事うつ”を回避している人ほど、十分な休憩をとっているということがわかります。

ちなみに、1日あたりの休憩時間としては、“仕事うつ”と回答した人の平均が「37.0分」、そうでない人の平均が「34.7分」であったことから、休憩時間の「長さ」よりも、むしろその「質」のほうが重要であると言えます。


◆ 「休憩は、仕事の行き詰まりを解消する上で有効」86%が回答、実際に解消できた経験がある人も7割以上
なお、休憩をとることの重要性については“仕事うつ”の自覚有無にかかわらず、多くのサラリーマンが認識しているようで、「仕事において休憩は必要だと思いますか?」という質問には、97%が「そう思う」と回答。
また、「休憩をとることは、仕事の能率をあげる上で有効だと思いますか?」の問いに対しては92%が、「休憩をとることは、仕事の行き詰まりを解消する上で有効だと思いますか?」の問いにも、86%が「そう思う」と答えています。また、実際に「休憩をとることで、仕事の行き詰まりを解消した経験」が「ある」と答えた人も73%にのぼりました。

今回の調査からは、仕事の行き詰まりを打破し“仕事うつ”を回避する上で、「休憩」は非常に重要であることが明らかになりました。また、休憩をとる上では、「長さ」よりも、その「質」に注目すべきであるという点がわかりました。


2.【インタビュー】精神科医・名越康文氏に聞く「仕事」と「休憩」の関係性

また今回は、仕事と休憩の関係性について、精神科医の名越康文先生にインタビューを実施しました。

◆ 仕事をやればやるほど、むなしくなる・・・30~40代は、“アイデンティティ障害”に陥りやすい
30~40代は、仕事における責任も大きくなり、「働き盛り」と言われる世代。しかし一方で、目標を見失ったり、行き詰まりを感じやすくなるタイミングでもあります。仕事をバリバリやればやるほどむなしくなり、「こんなに働いて何の意味があるのだろう」、「自分はこの先どうなりたいのだろう」と、“アイデンティティ障害”の状態になってしまうのです。特に、仕事一筋でがんばってきた人ほど、ふと自分を振り返った時に、役職などのポジションでしか自分を認識できず、本当に自分の人生はこれで良いのかと悩んでしまいがちです。

こうした行き詰まりを自覚すると、今まで当たり前のようにやっていた仕事が気乗りしなくなり、強いストレスを感じたり、すぐに気持ちが沈んだりと、うつ状態に陥りやすくなってしまいます。

また、気分の切り替えがうまくいかず、落ち込んだ気分を引きずったままでいると、それは自然と家族にも伝わってしまうもの。実際、周りの人や家族の理解が心のコンディションの回復には是非とも必要です。


◆うつ状態の回避・解消には「気分の切り替え」が重要・・・能率があがり、アイデアも湧きやすくなる!
気分が落ち込んでいる時は、気持ちに余裕がなくなっていることが多いと言えます。そのため、仕事から一時的に離れて、気分を切り替えることが非常に重要になってきます。思い切って長期休暇などをとれれば良いですが、忙しいサラリーマンの方は、思うように休みをとることも難しいでしょう。ですので、そのぶん毎日の仕事中にこまめな休憩をとって、気持ちをリフレッシュさせることが大切です。学校で授業の後に休み時間が設けられているように、50分間思いきり集中して仕事をしたら、その後は5~10分休息をとる、というのが理想的と言えます。

むしろ、いつまでも気分を切り替えずにいると、仕事中も意識が散漫になって、ダラダラしてしまいがち。細かい休息をとったほうが、ずっと仕事の能率があがるのです。また、休憩中にリラックスをして気分が良くなると、アイデアも湧きやすくなります。日本人は、デスクにかじりついている人が仕事熱心だと思いこみがちですが、むしろ効果的に「逃避」ができる人のほうが、能率的でアイデアも出やすいのです。


◆休憩は「長さ」よりも「質」!「体操」と「飲み物」で気分の切り替えを・・・定番アイテム「缶コーヒー」もおすすめ
また、休憩は「長さ」よりも「質」のほうが重要。つまり、「いかに仕事の合間の休憩で、気分をしっかり切り替えられるか」という点がポイントになってきます。

気分を切り替える上では、仕事中とは異なる刺激を与えると良いでしょう。まずおすすめなのが、ちょっとした「体操」。肩甲骨をゆっくりまわして動かしたり、背中に手をまわして合掌をしたり。また、足首を左右に10回まわすだけでも、かなりの筋肉を使ってリフレッシュします。

また、何か「飲み物」を飲むというのも有効です。飲み物の味や香りが気分を切り替えてくれます。例えば、今回の調査で多くのサラリーマンが飲んでいると回答した「缶コーヒー」も、香りが気持ちをリラックスさせてくれるほか、苦味や甘さなどの味覚が、気分の切り替えにつながります。
ちなみに、「苦味」は、味覚の中でも「過去を想起させる」味だと思います。また、コーヒーの場合は「苦味」の中に「甘味」もあります。コーヒーは、「あの時は辛かったけれども、がんばってよかった」という昔の記憶を思い起こさせ、自分の現在と過去をつなげてくれるのです。自分の人生と、自分が好む味というのは必ずリンクしているのです。そのため、調査の通り、缶コーヒーを好んで飲む大人が多いのかもしれません。


<名越康文 (なこし やすふみ)>
― 精神科医 ―
1960年生まれ。精神科医。専門は思春期精神医学、精神療法。奈良県生まれ。
大阪府立中宮病院(現:大阪府立精神医療センター)にて精神科緊急救急病棟の設立、責任者を経て、99年同病院を退職。引き続き臨床に携わる一方で、テレビ・コメンテーター、雑誌連載、映画評論、漫画分析など、様々なメディアで活動している。

株式会社クオリア・マネージメント ホームページ
URL: http://qualia-mg.com/
メルマガ「夜間飛行」
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