テレワークと出勤のハイブリッド勤務が広がるも、企業におけるテ...

テレワークと出勤のハイブリッド勤務が広がるも、 企業におけるテレワークに対応した健康管理に課題  -厚生労働科学研究班による全国上場企業への調査結果まとまる-

公益財団法人 明治安田厚生事業団(本部:東京都新宿区、理事長:生井俊夫)は、厚生労働科学研究班による全国の上場企業に対する調査の結果を公表しました。本調査は、テレワークにおける健康課題や健康管理に焦点を当てた初の全国規模での企業調査で、2023年2~3月に実施されました。



【ポイント】

◎テレワーク導入率は70%。中小企業や幅広い業種においてもテレワークが拡大

◎テレワーク頻度は週2~3回が40%と最多。週1回が18%で、出勤と組み合わせるハイブリッド勤務が主流

◎企業側が認識するテレワーク従業員の2大健康課題は「コミュニケーション低下」と「運動不足」

◎テレワークに対応した健康管理や健康教育を実施する企業は限定的で、運動不足対策も「特になし」が62%と最多


調査報告書 全文PDFはこちらから: https://www.my-zaidan.or.jp/pressrelease/detail.php?id=9089c412cc5b79d2c322b9003177de6e&tmp=1693267943

研究報告書(厚生労働科学研究成果データベース): https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/report_pdf/202223016A-buntan2_0.pdf



【研究の背景】

コロナ禍により、企業では急速にテレワークの導入が進みました。3年が経過し、テレワークの長期化により、新たな健康課題の発生が懸念されます。そこで、厚生労働省の厚生労働科学研究費によって立ち上げられた研究班が、全国の上場企業を対象に「テレワーク実施状況」「テレワーク従業員の健康課題」「テレワーク従業員に対する健康管理」等の実態を調査しました。



【対象と方法】

◎調査対象 :全国の上場企業3,794社(有効回答率/数:18.0%/684社)

◎時期と方法:2023年2月~3月に郵送法による質問紙調査を実施

◎回答者  :健康管理や健康づくりの担当者

◎調査項目 :基本属性、テレワーク実施状況、テレワーク従業員の健康課題、

       テレワーク従業員に対する健康管理等



【結果】

<テレワーク実施状況(調査報告書P1)>

■導入率は70%。テレワーク従業員の割合は、1~3割が38%で最多、次が7割以上で28%と、2極化の傾向

■テレワークの実施頻度は週2~3回が40%、週1回が18%で、出勤とテレワークを半々とする働き方が主流


アンケート結果(1)


<テレワーク従業員の健康課題(調査報告書P2)>

■テレワーク従業員の2大健康課題は「コミュニケーション低下」と「運動不足」

■一方、テレワークの健康への好影響を感じている企業も多く、「通勤の負担軽減・疲労軽減」「ワークライフバランス向上」「規則正しい生活」など多様な効果を実感


<テレワーク従業員に対する身体活動促進・運動不足対策の取り組み(調査報告書P4)>

■テレワーク従業員の身体活動促進・運動不足対策について、「特に取り組んでいない」企業が62%と最多

■取り組んでいる企業では、オンライン型ウォーキングイベントやアプリ、動画等、デジタルコンテンツを活用した取り組みが多数

■自宅でのスタンディングデスク購入サポート等、テレワーク時の作業環境に配慮している企業は少数


アンケート結果(2)


<テレワーク従業員に対する健康管理や健康づくり(調査報告書P3)>

■「労働時間の客観的把握」「長時間労働対策」「ストレスチェック」等、法定項目については、テレワーク対応が進む

■一方、テレワークに特化した健康管理や健康教育、作業環境確保等について対応できている企業は、一部にとどまる

■企業規模によって差があり、従業員数50人未満の小規模企業では、特に「長時間労働対策」「健康相談」「長時間労働者の医師の面接指導」についてのテレワーク対応が遅れている現状(厚生労働科学研究費補助金分担研究報告書P30)


アンケート結果(3)


【研究代表者のコメント】

本調査から、テレワークが多様な企業に広がっており、ハイブリッド勤務が主流となっている実態が明らかになりました。テレワーク従業員の健康課題としては、コミュニケーション低下と運動不足が懸念されている一方で、テレワークに対応した健康管理や教育、身体活動を促進する取り組みはあまり実施されていませんでした。今後は、健康に配慮したテレワークの方法を明らかにするとともに、その普及を図っていく必要があると考えられます。

本調査ではテレワーク導入率が70%と、他の調査※1より高値でした。これは、調査対象が上場企業であることと、回答率が低いため、テレワークや健康づくりに積極的な企業がご回答いただいている可能性が高く、やや過大評価しているかもしれません。また、健康課題については、企業側の認識であり、医学的実態や労働者側の意識とは相違があると推察されます。本調査と並行して、労働者への調査分析を進めており、その結果については、厚生労働科学研究費報告書※2をご参照ください。


※1:令和4年通信利用動向調査(総務省)では、企業のテレワーク導入率は51.7%と報告されている

https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/data/230529_1.pdf

※2:厚生労働科学研究成果データベースにおける本研究班の分担研究報告

https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/report_pdf/202223016A-buntan3.pdf

https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/report_pdf/202223016A-buntan7.pdf



【研究班について】

本研究班は、安全衛生に配慮したテレワークを社会で推進することを目的として、厚生労働科学研究費補助金によって立ち上げられました。本補助金は、厚生労働科学研究の振興を促すために、厚生労働省より交付されるものです。研究期間は2022~2024年度で、「テレワーク状況の把握」「テレワークの健康影響」「具体的介入策の検討」の3課題に取り組んでいます。本研究班では、最終年度に研究成果にもとづいて「安全衛生に配慮したテレワークガイド(仮称)」を作成し、公表する予定です。


<厚生労働科学研究費補助金研究事業(労働安全衛生研究事業)>

「テレワークの常態化による労働者の筋骨格系への影響や生活習慣病との関連性を踏まえた具体的方策に資する研究」

研究代表者:

甲斐裕子(公益財団法人 明治安田厚生事業団 体力医学研究所 副所長/上席研究員)

本調査に関する共同研究者・研究協力者:

吉葉かおり、村松祐子、和田彩(公益財団法人 明治安田厚生事業団 体力医学研究所)

金森悟(帝京大学大学院公衆衛生学研究科 講師)

川又華代(中央労働災害防止協会 健康快適推進部 研修支援課 係長)



【利益相反】

開示すべき利益相反はありません。



【財源情報】

本研究は厚生労働科学研究費補助金を受けて実施しました。記して深謝します。

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