サイバー創研、 「5G-SEPと5G実現特許、5G標準化寄書での新たな動き」の 調査・分析報告を発表 ~5Gの無線基盤の標準はほぼ完了、 5Gの高度化に向けて更なる目標が具体化~
モバイル・ワイヤレスをはじめとしたICT技術の総合的調査を行う株式会社サイバー創研(本社:東京都港区、代表取締役:佐藤 博彦)は、3GPPの5G標準必須特許(5G-SEP)の宣言状況や5G-SEPの規格整合率や5G実現特許などの5G標準化活動状況について、企業や技術・サービスに注目して調査・分析を行っています。
今回の第5版の調査報告では、前回の調査に引き続き、5G-SEP推定保有数(*i)、5G-SEP宣言特許(*ii)、5G実現特許(*iii)、5G標準化寄書(*iv)の4種の調査・分析を行いました。
今回の調査では、5Gの標準化動向に変化が見えてきました。概要は以下の通りです。
各社の5G-SEP宣言特許の規格整合率(*1)が初めて上昇し、特に、宣言特許件数上位の大半の企業が規格整合率を上昇させました。上位企業の上昇の要因には、規格の内容が安定してきたため内容に合致する宣言が増えている、など種々の推測ができます。
5G実現特許は、特定の企業が特許出願件数を飛躍的に増やす一方で、直近の5G実現特許件数が減少に転じた企業が複数社出てきました。5G 標準規格の実装特許出願に注力している企業、サービス開発に注力する企業など、企業毎の技術開発戦略が反映されていると推測されます。
5G-SEP宣言特許の調査では、宣言特許件数が1,000件を超える規格がこれまでの7種から19種に増えました。増加した中には、サービス関係、呼・セッション制御関係の規格等が含まれていますが、注目が必要です。
5G標準化寄書では、今回調査から、3GPP共通の作業課題(Work Item)を用いた分析も実施した結果、5Gならではの近接サービス(ProSe)、メタバースで注目を集めている技術としてXR(クロス・リアリティ)、AIML(人工知能/機械学習)を用いた無線通信の高度化、などの標準化寄書提案が始まっています。
なお、今回の第5版でも前回に引き続き、調査報告書の販売に加え、種々の動きを推定した特許グループのリスト販売も行います。企業や技術区分など、的を絞った効率的で具体的な特許の内容の確認を支援いたします。
また、5G標準化寄書提案分析用のデータベースの運用を開始しておりますので、提案寄書の詳細な分析も合わせて支援いたします。
(*1) (1)項の5G-SEP推定保有数の規格整合率の求め方をご参照ください
【調査結果のポイント】
(1) 5G-SEP推定保有数
SEP宣言は、各社が独自の判断で宣言できます。このため、宣言された5G-SEPが、必ずしも5G規格の実現に必須の5G-SEPとは限らないため、客観的な規格整合判断が必要です。本調査では、3GPPが5G規格と定めた規格に宣言した各社の登録特許から、企業毎の公平性を保って各社ごとに登録特許の10%以上を目標に抽出し、宣言規格の仕様と特許の請求項を比較評価し、一致している特許を規格整合特許としました。
これらの結果、10件以上の特許を判定した企業は36社あり、規格整合率の平均は、36%と、これまでの平均33%から上昇しています。
その要因の分析例として、図1に規格整合率が上昇した上位企業の増減ポイントを示します。上位17社中16社が上昇しており、特に、10位以内の、Huawei、LG Electronics、CATTが規格整合率を大きく高めています。
この結果、5G-SEP推定保有数の勢力図が変わりました。
図2に5G-SEP推定保有数を示します。
Huaweiが1位となり、次いでSamsung、LG Electronicsとなっています。規格整合率の上昇で、10位以内には、中国勢が4社入ってきています。
日本企業では、10位以内はNTT DOCOMOだけで、5位です。15位以内では、Sharp、NECが入っています。
(2) 5G実現特許
5G実現特許の出願動向にも変化が見えてきました。前回調査までは、上位企業のほとんどが毎年出願件数を増加させていましたが、出願された特許がほぼ公開されている2020年の出願件数で分析すると、今回調査では、3極に分かれています(図3)。
A1社は、2年連続で大幅に特許出願を増やしています。
A2社、A5社、A6社は、出願件数が減少に転じています。
A3社、A4社、A7社、A8社、A10社は、従来通りの増加傾向を示しています。
出願対象の技術区分などの分析が企業戦略を推し量る上で重要になってきています。
(3) 5G-SEP宣言特許
5G-SEP宣言特許の宣言動向の分析は、従来までは出願件数が多いTS 38(5G-RAN)の7種の重要規格を対象としていましたが、今回調査では、1,000件以上の宣言がある規格が19種確認できた(図4)ことから、これらを調査対象としました。
追加調査対象となったTS 23(アーキテクチャ系)、TS 24(マルチメディア、呼制御、セッション制御)の規格も注目が必要ですが、TS 38(5G-RAN)で新たに確認できた8種の規格にも注目が必要です。
(4) 5G標準化寄書提案数
Rel毎のWG別の寄書提案数を、図5に示します。
Rel-15、16、17は3GPPにおいて既に検討が完了していることから、この3つのリリースの寄書件数及びTSGごとの寄書件数比率に大きな違いはありません。現在検討中のRel-18では、他のTSGに先だって検討が行われるTSG-SAでの寄書件数が約半数を占めています。
Rel-18では、4Gでも規格があったProSe(近接サービス)の5Gとしての規格化や、メタバースで注目を集めている技術としてXR(クロス・リアリティ)の規格化、AIML(人工知能/機械学習)を用いた無線通信の高度化に向けた規格化、など、サービスやアーキテクチャなどを対象とした標準化寄書提案が始まっています。
※調査報告書の目次構成は下記に掲載しています。
https://www.cybersoken.com/topics/mokuji/
【提供サービス】
今回の第4版の調査では、以下のサービスをご提供いたします
(1) 調査報告書:全体動向調査、技術区分別動向調査、注目企業の出願動向調査、など
(2) 5G実現特許の特許番号一覧:技術区分別・出願人別など指定いただいた条件での特許リスト(オプションで、特許の概要、ETSI宣言の有無、など)
(3) 5G-SEP宣言特許の評価リスト
(4) その他、個別要件はご相談
■サイバー創研 会社概要
(1)商号 :株式会社サイバー創研( http://www.cybersoken.com )
(2)代表者 :代表取締役社長 佐藤 博彦
(3)本店所在地 :東京都港区白金台5-22-12 前田道路白金ビル2階
(4)設立年月日 :2001年4月
(5)主な事業の内容:情報通信関連の以下の事業
1.調査研究事業
2.特許サービス事業
3.エンジニアリング事業
4.環境事業推進
(6)資本金 :3,000万円
(*i) 5G-SEP推定保有数は、各社の5G-SEP宣言特許数に、各社の規格整合率をかけ、各社の推定保有数を算出し、集計した件数です。公平性を保つための判定対象特許の抽出方法は、(1)項を参照ください。
(*ii) 5G-SEP宣言特許は、各企業が標準規格の仕様に関する特許として、各社の独自判断で宣言した特許です。どの規格に対する宣言か、いつ宣言したのか、特許の保有者や宣言人などの公開情報が分析対象となります。
調査対象:ETSIのSEP一覧リスト
https://www.etsi.org/deliver/etsi_sr/000300_000399/000314/02.31.01_60/
分析単位:INPADOCファミリーベース
調査対象リスト収集時期:2021年11月公開分
(*iii) 5G実現特許は、5G標準規格制定に資する特許(5G-SEP)と、SEPではないが標準規格を実施するために有用な特許(各装置で実現処理を行う実装特許など)をできるだけ網羅して収集・抽出を行った特許群です。5Gを特徴付ける技術分類に着目し、5Gの要求条件を満たす技術と判断できる特許だけを抽出し、分析対象としています。
なお、前回の第3版調査報告書では、5G必須特許と定義していましたが、5G標準必須特許(5G-SEP)と混同を招く恐れがあるため、変更しています。
調査対象:5Gならではの15の技術領域の特許から、検索システム:Derwent Innovationを用いて抽出した、5Gの実現に有用と判定した特許
検索対象特許:全世界の特許公開公報
分析単位:INPADOCファミリーベース
調査対象期間:公報発行日2013年1月1日から2022年9月30日(第4版からの12カ月分を追加)
(*iv) 5G標準化寄書は、3GPPの会合に提案された5G規格検討のための寄書です。どの会合への寄書か、どのRelへの寄書か、などの公開情報が分析対象となります。
調査対象:3GPPのHP
https://www.3gpp.org/specifications-groups/specifications-groups
分析単位:提案単位
調査対象リスト収集時期:Rel-15以降
- カテゴリ:
- 調査・報告
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