ZETA準拠IoTタグ「ZETag(R)」による資産管理の実証実験を実施

SC1330A搭載のZETag(R)を使った実証実験で資産管理への応用の有用性を確認

株式会社ソシオネクスト(Socionext Inc.)と株式会社テクサー(Techsor Inc.)は、ZETAアライアンス参画企業連携の取り組みとして、LPWA規格の一つであるZETA規格に準拠したIoTタグ「ZETag(R)」の市場拡大を目的に、現在も各種ユースケースでの実証実験を実施しています。


2022年9月には、ZETAアライアンス参画企業が共同でAdvanced M-FSK対応のタグ評価システムで屋外での通信テストを実施し、従来タグに比べて安定した通信の実現を確認しました。

https://techsor.co.jp/news/202210252969


今回は、屋外と比べてより通信が厳しい屋内環境で、資産管理をユースケースとした実証実験を行いました。

本実証実験では、ソシオネクストが2023年3月より量産開始したAdvanced M-FSK対応のZETag(R)用LSI“SC1330A”を使用してZETAアライアンス参画企業の凸版印刷株式会社にて試作した“SC1330A”初搭載のタグを活用しました。

このタグをソシオネクストの京都事業所オフィス内の管理対象資産一つひとつに取り付け、適切な位置に設置した受信アンテナによりタグが定期的に発信するデータを受信することで資産のエリア内の存在を約2か月にわたり継続して確認するというものです。

その結果、ソシオネクストのAdvanced M-FSK対応LSI“SC1330A”搭載のタグを用いることで、1台のアクセスポイントで2フロアに設置した50個のタグとの通信を実現し、資産管理の自動化が実現できることを確認しました。

また、今回、テクサーがMicrosoftのPower BIを用いて可視化プラットフォームを開発、資産の在庫状況および屋内環境の温度変化の可視化も実現しました。



■ZETag(R)用LSI“SC1330A”の概要

品番   :SC1330A

電波帯域 :418~510MHz、815~930MHz

変調方式 :Advanced M-FSK(2/4/8-(G)FSK)

内蔵CPU  :32bits RISC-V Processor

消費電力 :TX:22mA(送信電力+10dBm時)

電源電圧 :+1.8~+3.6V

動作温度 :-40~+85℃

パッケージ:QFN 4mm x 4mm(24ピン)


SC1330A


■実証実験の概要

目的:

ZETag(R)活用アプリケーションの一つである「資産管理システム」を実際に稼働中の実オフィスで実証実験することで、(1)技術やノウハウの蓄積、(2)実用化に向けての課題抽出とその解決(デバイスやシステムの改善)を図る。


時期:

2023年2月28日~4月28日


場所:

ソシオネクスト京都事業所(京都市下京区)

KRP10号館の6、7階フロア全体 ※フロア面積(各階):約3,700平方メートル


活用したタグ概要:

-設定した周期ごと、または加速度検知(振動検知)するごとにID情報を送信

-ID情報に加えて、タグが検知した温度、GPS情報(屋外用途で活用)を送信

-通信周波数920MHz帯、送信電力10dBm(10mW)


内容:

(1)ソシオネクスト京都事業所内の6、7階フロア全体に配置されたディスプレイモニター背面にタグを設置する。

  (オフィス内で均等となるようにディスプレイモニター50台を選定)

(2)タグは、30分に1度、ID情報を送信する。送信時に合わせて周辺温度も測定して送信する。

  また、タグに内蔵する加速度センサーが反応したときにも送信を行う。

(3)アクセスポイントは7階に1台のみ設置し、フロアを跨いで6、7階両方のタグ通信を確認する。

(4)取得したデータを解析し、資産管理用に適切な通信頻度を見つけ出し、アプリケーションとしてどのようなデータの見せ方をしたら良いかなどの検討も実施する。

(5)タグに内蔵する、温度センサー、加速度センサーの活用についても同様にデータを分析して利用価値を検討する。


実証実験システム:


自動資産管理システムの構成図


■実証結果

電波環境の悪い屋内空間においても、Advanced M-FSK方式の効果による通信感度の向上により、1台のアクセスポイントを適切な位置に配置することで、1フロア約3,700平方メートルの2フロア分に分散した多数の資産の有無を自動で確認できることが実証できました。

さらに、凸版印刷のタグに付属する温度センサー機能のデータ取得により、資産管理以外にも例えばオフィス内の室温のモニタリングに使えることも確認できました。

また、可視化を実現するためにMicrosoft Power BIを用いて、API連携で凸版印刷のZETag(R)DRIVE(TM)からデータを取得し、リアルタイムで可視化するプラットフォームも構築しました。

資産の在庫状況の確認だけではなく、環境センシングも実現し、タグの有効性を確認しました。


Power BIによる各タグの受信状況・温度範囲の可視化

Power BIによる時系列による温度変化の可視化


■今後の取り組み

今回の実証実験で、屋内の資産管理にZETag(R)を十分活用できる結果が得られました。

今まで人手で行っていた「資産管理」作業を自動化でき、さらに温湿度センサーなどを追加することで、オフィス内の環境モニタリングも利用可能ということも分かりました。

多くの規格の存在するRFID(ZETag(R)はその1つ)のグローバル市場規模は2022年149億ドル、2030年に356億ドルまで達すると予測されています(株式会社グローバルインフォメーションの市場調査レポートRFIDの世界市場による)。従来のRFIDに比べて長い通信距離を特長とするZETag(R)を今後色々な分野で活用していき、市場拡大を図っていきます。

今後、ZETAアライアンス企業とさらなる連携を図り、「物流の追跡」や「資産管理」を始め、「スマートビルディング」や「スマート農業」など幅広いアプリケーションでの利用を提案していきます。



■テクサーについて

株式会社テクサー(Techsor Inc.)は、2016年10月に設立したベンチャー企業で、ZETA技術および製品の日本総代理店およびZETAアライアンスの創立メンバーです。アライアンス企業と協力して、IoT技術を活用したスマート展示会、スマートビルディング、スマート農業、スマート物流、スマート介護などのDXソリューションを推進しています。

詳しくは https://techsor.co.jp/ をご覧ください。



■ソシオネクストについて

株式会社ソシオネクスト(Socionext Inc.)は、SoC(System-on-Chip)のグローバルサプライヤーです。長年培った技術と経験をもとに独自の「Solution SoC」ビジネスモデルを確立し、自動車、データセンター、ネットワーク、スマートデバイスを始めとする先進テクノロジー分野におけるシリコンパートナーとして、お客様の製品やサービスを差異化する機能、性能、そして品質を提供することで世界のイノベーションに貢献しています。

ソシオネクストは横浜市に本社を置き、日本国内、アジア、米国およびヨーロッパの各拠点において製品開発および販売活動をグローバルに展開しています。詳しくは https://www.socionext.com/jp/ をご覧ください。



ZETag(R)は、凸版印刷株式会社の登録商標です。


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