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    日本労働組合総連合会(連合)

    連合調べ  「この1年間にフリーランスの仕事で トラブルを経験した」39.7%  経験したトラブルTOP3  「報酬の支払いの遅延」「一方的な仕事内容の変更」 「不当に低い報酬額の決定」

    ~フリーランスとして働く人の意識・実態調査2021~

    調査・報告
    2021年11月18日 16:30

    日本労働組合総連合会(略称:連合、所在地:東京都千代田区、会長:芳野 友子)は、フリーランスの声をあつめて「誰しもがもっと働きやすい環境」「ひとりひとりがもっと自由に輝ける社会」をめざす取り組みの一つとして、フリーランスで働く人の疑問や困りごとの解決をサポートするためのウェブサイト『Wor-Q(ワーク)』を運営しています。

    この度、フリーランスとして働く人の意識と実態を把握するため、「フリーランスとして働く人の意識・実態調査2021」を2021年10月1日~10月5日の5日間でインターネットリサーチにより実施し、全国の20歳~59歳の男女でフリーランスとして働く人1,000名の有効サンプルを集計しました(調査協力機関:ネットエイジア株式会社)。


    [調査結果]

    ≪フリーランスとして働く人の仕事の実態≫

    ◆フリーランスの新規の仕事の取り方

     1位「既存の顧客からの紹介」2位「友人からの紹介」3位「フリーランス仲間からの紹介」

     30代フリーランスの28.9%が「クラウドソーシングを利用する」と回答


    全国の20歳~59歳の男女でフリーランスとして働く人1,000名(全回答者)に、フリーランスとして行っている仕事について質問しました。


    まず、全回答者(1,000名)に、新規の仕事の取り方を聞いたところ、「既存の顧客から紹介してもらう」(32.6%)が最も高くなりました。次いで高くなったのは、「友人(フリーランス仲間除く)に紹介してもらう」(28.8%)、「フリーランス仲間に紹介してもらう」(25.9%)、「以前の勤め先から仕事をもらう」(17.0%)、「以前の勤め先の取引先から紹介してもらう」(13.8%)でした。既存の顧客や友人、フリーランス仲間からの紹介といった方法が上位に挙がり、仕事やプライベートを通じて構築した様々なネットワークを活用することによって、新しい仕事を受注している実態が明らかになりました。

    世代別にみると、20代では「SNS・ブログで募集をかける」(27.3%)、30代では「クラウドソーシングを利用する」(28.9%)が、それぞれ全体と比べて高くなりました。若年層のフリーランスには、インターネット上のネットワークやプラットフォームを利用することによって、仕事を請負う機会を得ている人が多いようです。

    仕事内容別にみると、エンターテイメント関連では「フリーランス仲間に紹介してもらう」(44.9%)や「SNS・ブログで募集をかける」(25.2%)、ものづくり・ものはこび関連では「フリーランス仲間に紹介してもらう」(38.5%)、コミュニケーション関連では「クラウドソーシングを利用する」(23.8%)や「フリーランス向けのエージェントを利用する」(26.2%)が、それぞれ全体と比べて高くなりました。


    ◆主要な取引先事業者からの書面による契約内容明示状況 「必ず明示がある」は29.9%にとどまる

    ◆主要な取引先から受ける仕事の報酬額の決め方

     「双方で協議して決める」56.5%、「取引先が一方的に決める」34.2%


    次に、全回答者(1,000名)に、主要な取引先事業者からは書面(メールを含む)による契約内容の明示があるか聞いたところ、「必ず明示がある」は29.9%、「明示がない時もある」は45.5%、「明示があったことはない」は24.6%となりました。契約関係が曖昧なまま業務が進行しているケースが大半を占めており、取引先事業者とフリーランスの間で認識の齟齬やトラブルが発生しやすい状況となっていることが懸念されます。

    仕事内容別にみると、IT関連とコミュニケーション関連では「必ず明示がある」(順に47.3%、45.2%)が最も高くなり、営業・販売関連とものづくり・ものはこび関連では「明示があったことはない」(40.0%、38.5%)が最も高くなりました。


    また、主要な取引先との仕事はどのように報酬額が決まることが多いか聞いたところ、「取引先と自分の双方で協議し決める」が56.5%で多数派となった一方、「自分が一方的に決める」が8.3%、「取引先が一方的に決める」が34.2%と、協議によらず決まっているケースも少なくないことがわかりました。


    ◆「この1年間にフリーランスの仕事でトラブルを経験した」39.7%

    ◆経験したトラブルTOP3 「報酬の支払いの遅延」「一方的な仕事内容の変更」「不当に低い報酬額の決定」


    続いて、全回答者(1,000名)に、この1年間にフリーランスの仕事でトラブルを経験したか聞いたところ、「経験した」は39.7%、「経験しなかった」は60.3%となりました。契約関係の曖昧さもトラブル遭遇率の高さの一因となっているのではないでしょうか。

    仕事内容別にみると、トラブルを経験した人の割合は、クリエイティブ関連(47.4%)とコミュニケーション関連(47.6%)では半数近くとなりました。


    この1年間にフリーランスの仕事でトラブルを経験した人(397名)に、経験したトラブルの内容を聞いたところ、「報酬の支払いの遅延」と「一方的な仕事内容の変更」(いずれも29.5%)が高く、「不当に低い報酬額の決定」(26.4%)、「一方的な継続案件の打ち切り」(25.7%)、「報酬の不払い・過少払い」(23.4%)が続きました。報酬をめぐるトラブルに遭遇している人が多いようです。また、「納期や技術的になど無理な注文」(22.4%)や「作業開始前の一方的な仕事の取消し」(20.9%)、「一方的な報酬額の引き下げ」(20.2%)などが挙がり、フリーランスとして働く人のトラブルでの苦境や弱い立場に置かれている現実が浮き彫りとなりました。曖昧な契約関係のもとで働くフリーランスを保護するため、契約の締結や契約内容の明示、適正な報酬の支払い、契約内容の変更・終了などに関する法整備が急務ではないでしょうか。そのほか、「不当な修正・やり直しの要求」(18.9%)や「納期の急な前倒し」(13.6%)といったトラブルに遭遇している人もみられました。


    ◆フリーランスの仕事でトラブルが起こった際の対処方法 TOP4

     「発注者と直接交渉」「交渉せず自ら取引を中止」「フリーランス仲間に相談」「友人・知人に相談」

    ◆「フリーランスの仕事でトラブルが起こった際、何もしなかった・できなかった」トラブルに遭遇した人の31.2%

    ◆フリーランスの仕事で起こったトラブルの解決状況 「完全には解決していない」56.6%


    フリーランスの仕事でトラブルが起こった際、どのように対処したか聞いたところ、「発注者と直接交渉」(40.1%)が突出して高くなりました。トラブルに遭遇した際、相手方と直接交渉をして、自力で解決の道を探ろうとした人が多いようです。次いで高くなったのは、「交渉せず自ら取引を中止」(18.1%)、「フリーランス仲間に相談」(17.1%)、「友人・知人(フリーランス仲間除く)に相談」(13.4%)、「仲介業者を通じて交渉」(7.1%)でした。他方、「何もしなかった・できなかった」は31.2%と3割を超え、取引先事業者との取引関係において、一部のフリーランスが交渉できない立場に置かれているという実状が明らかになりました。


    さらに、フリーランスの仕事で起こったトラブルは解決しているか聞いたところ、「全て解決している」が43.3%となった一方、「一部解決している」が38.0%、「全く解決していない」が18.6%で、完全に解決していないのは56.6%と、過半数が未解決のトラブルを抱えているとわかりました。


    ◆「仕事が原因で病気や怪我をしたことがある」19.5%、ものづくり・ものはこび関連のフリーランスでは28.8%

    ◆仕事が原因で病気・怪我をしたときの生活費のまかない方

     1位「貯金の切り崩し」2位「家族の収入」3位「加入していた保険を利用」


    全回答者(1,000名)に、仕事が原因で病気や怪我をしたことがあるか聞いたところ、「したことがある」は19.5%、「したことはない」は80.5%となりました。

    仕事内容別にみると、病気や怪我をしたことがある人の割合は、ものづくり・ものはこび関連(28.8%)が最も高くなりました。


    病気や怪我をしている間、生活費をどのように工面していた人が多いのでしょうか。

    仕事が原因で病気や怪我をしたことがある人(195名)に、病気や怪我の間、どのように生活費をまかなったか聞いたところ、「貯金を切り崩した」(61.0%)が突出して高く、「家族の収入でまかなった」(29.2%)、「加入していた保険を利用した」(19.0%)、「公的な補助金・助成金などでまかなった」(14.9%)が続きました。病気や怪我で収入が途絶えた際に、自身や家族の蓄えでまかなったり、保険や公的制度を活用したりしていた人が多いようです。止む無く働くことができなくなった場合も、フリーランスは労働法の保護を受けにくい環境にあります。多様な働き方に配慮した新たなセーフティネットの枠組みの必要性を検討すべきではないでしょうか。


    ≪フリーランス同士が交流できるコミュニティの必要性≫

    ◆「情報交換や問題点の共有のために集まり・ネットワークに参加している」19.3%にとどまる

     参加している集まり・ネットワーク 1位「フリーランスのコミュニティ」2位「フリーランス同士の勉強会・懇親会」


    全回答者(1,000名)に、情報交換や問題点の共有のために集まり・ネットワークに参加しているか聞いたところ、「参加している」は19.3%、「参加していない」は80.7%となりました。仕事の一環として交流会やネットワークなどに参加している人は少なくないようです。

    仕事内容別にみると、集まり・ネットワークに参加している人の割合は、コミュニケーション関連(33.3%)が最も高くなりました。


    どのような集まり・ネットワークに参加している人が多いのでしょうか。

    情報交換や問題点の共有のために集まり・ネットワークに参加している人(193名)に、参加している集まり・ネットワークを聞いたところ、「フリーランスのコミュニティ」(50.8%)が最も高くなりました。フリーランス同士が交流できる場に参加している人が多いようです。次いで高くなったのは、「フリーランス同士の勉強会・懇親会」(35.8%)、「専門家主催のセミナー・講座」(18.1%)、「業界団体の集まり」(17.1%)、「異業種交流会」(14.0%)でした。


    ◆「フリーランス同士が交流できるコミュニティが必要だと思う」52.0%

    ◆フリーランス同士が交流できるコミュニティが必要だと感じるとき

     1位「仕事の情報交換をしたいとき」2位「仕事上の人脈をひろげたいとき」3位「仕事を増やしたいとき」

     女性では「仕事の悩み・不安を抱えているとき」に必要性を実感する人が多い結果に


    全回答者(1,000名)に、フリーランス同士が交流できるコミュニティをどのくらい必要だと思うか聞いたところ、「非常に必要」が11.6%、「やや必要」が40.4%で、合計した『必要(計)』は52.0%、「全く必要ではない」が14.2%、「あまり必要ではない」が33.8%で、合計した『必要ではない(計)』は48.0%となりました。

    仕事内容別にみると、必要性を感じている人の割合は、コミュニケーション関連(61.9%)が最も高く、エンターテイメント関連(58.3%)、クリエイティブ関連(56.2%)が続きました。


    トラブルの経験や病気・怪我の経験別にみると、必要性を感じている人の割合は、トラブルの経験がある人では62.0%、病気・怪我の経験がある人では63.1%と、トラブルの経験がない人(45.4%)や病気・怪我の経験がない人(49.3%)と比べて10ポイント以上高くなりました。

    また、コミュニティへの参加状況別にみると、必要性を感じている人の割合はコミュニティに参加している人では83.4%となっており、コミュニティへの参加者の大多数がコミュニティの必要性を実感しているようです。他方、コミュニティに参加していない人では44.5%となっており、参加しない人の中にもコミュニティの必要性を感じている人が少なくないとわかりました。


    フリーランス同士が交流できるコミュニティを必要だと思う人(520名)に、どのようなときに必要だと感じるか聞いたところ、「仕事の情報交換をしたいとき」(62.1%)が最も高くなりました。フリーランス同士が自由に交流できるコミュニティがあれば、仕事についての情報交換や意見交換を活発に行うことができ、自身の仕事に有益だと考える人が多いのではないでしょうか。次いで高くなったのは、「仕事上の人脈をひろげたいとき」(50.4%)、「仕事を増やしたいとき」(40.0%)、「仕事のアドバイスをほしいとき」(37.1%)、「仕事の悩み・不安を抱えているとき」(36.3%)でした。

    男女別にみると、女性では「仕事の悩み・不安を抱えているとき」が46.0%と、男性(29.5%)と比べて16.5ポイント高くなりました。


    ≪フリーランスとしての働き方の満足度≫

    ◆フリーランスとしての働き方の満足度 「仕事全体」「仕事内容・質」「就業時間」は5割超が満足と回答、「働きがい」「働きやすさ」「プライベートとの両立」は6割超が満足も、「収入」に対しては僅か2割にとどまる


    全回答者(1,000名)に、フリーランスとしての働き方について、どのくらい満足しているか聞いたところ、【仕事全体的に】では「非常に満足している」が13.3%、「やや満足している」が38.1%で、合計した『満足している(計)』は51.4%、「全く満足していない」が4.3%、「あまり満足していない」が10.1%で、合計した『満足していない(計)』は14.4%となりました。

    仕事内容別にみると、満足している人の割合は、暮らし・学び関連(62.1%)とコミュニケーション関連(64.3%)では6割超となった一方、ものづくり・ものはこび関連(38.5%)では4割未満にとどまりました。仕事内容により、フリーランスとしての働き方の満足度に格差が生じている実態が明らかとなりました。


    コミュニティへの参加状況別にみると、満足している人の割合は、コミュニティへ参加している人では60.6%、コミュニティへ参加していない人では49.2%と、参加している人ほど仕事全体の満足度が高くなりました。フリーランスのコミュニティの有用性が見て取れる結果となりました。


    【仕事内容・質】では『満足している(計)』は53.6%、【就業時間】では『満足している(計)』は55.4%と半数を超えたのに対し、【収入】では『満足している(計)』は20.9%と2割にとどまりました。フリーランスとして働く人の収入満足度は低いことがわかりました。


    また、【働きがい・やりがい】では『満足している(計)』は61.6%、【働きやすさ】では『満足している(計)』は67.5%、【プライベートとの両立】では『満足している(計)』は65.3%と、いずれも6割を超えました。フリーランスとして働く中で、働きがいや働きやすさ、ワークライフバランスに満足感を抱いている人は多いようです。


    ◆フリーランスを続ける上での不安や悩み 1位「収入が不安定・低い」

     30代女性の10人に1人が「出産・育児の支援制度が不十分」と回答


    フリーランスとして働くにあたって、どのようなことが不安要素となっているのでしょうか。


    全回答者(1,000名)に、フリーランスを続ける上での不安や悩みを聞いたところ、「収入が不安定・低い」(56.8%)が最も高くなりました。フリーランスとして仕事を続ける上で、安定した収入や高収入を得られないことに不安を抱いている人が多いようです。次いで高くなったのは、「仕事がなくなったときの保障がない」(49.7%)、「社会保障(医療保険・年金等)が不十分」(25.4%)、「仕事の受注が難しい」(20.4%)、「社会的信用が低い」(19.4%)でした。

    男女・世代別にみると、30代女性では「出産・育児の支援制度が不十分」(9.4%)が全体と比べて高く、出産や育児の際の支援に対し不安を抱いている人が多いとわかりました。


    ◆フリーランスがより働きやすくなるために必要だと思うことTOP4

     「フリーランスが利用できる福利厚生」「所得が補償される制度・仕組み」

     「雇用保険のような制度・仕組み」「フリーランスが団体扱いで加入できる共済・保険」


    最後に、全回答者(1,000名)に、フリーランスがより働きやすくなるために必要だと思うことを聞いたところ、「フリーランスが利用できる福利厚生」(43.6%)が最も高くなり、「所得が補償される制度・仕組み(病気やケガで働けなくなった際の所得補償)」(35.7%)、「雇用保険のような制度・仕組み(失業中の生活の安定を図るための仕組み)」(32.9%)、「フリーランスが団体扱いで加入できる共済・保険」(29.7%)、「確定申告に役立つ情報の提供」(19.3%)が続きました。

    男女・世代別にみると、20代女性では「フリーランスの妊娠・出産・育児に対する制度(給付金や休暇等)」(36.8%)が約4割となりました。


    コロナ禍で日本のセーフティネットの脆弱性がより顕在化しました。フリーランスとして働く多くの人が安心して働き続けることができる環境の整備のために、法的保護の拡充やセーフティネットの機能強化が喫緊の課題ではないでしょうか。


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