新進現代作家のためのスペース「ザ・トライアングル」の名を冠す...

新進現代作家のためのスペース 「ザ・トライアングル」の名を冠する 企画展シリーズがスタート! 京都ゆかりの作家にフォーカスし多彩な表現を紹介

 京都市京セラ美術館では,令和2年3月21日のリニューアルオープンを機に,新設した展示スペース「ザ・トライアングル」(本館地下1階)において新進現代作家の作品を展示するシリーズを開始しますのでお知らせします。

 このプログラムは,シリーズとして開催することで,新進作家の継続的な育成・支援を目指すとともに,無料で観覧できる場所での展示を通して市民や観光客など来館者が気軽に現代美術に触れる機会を創出するものです。作家・美術館・鑑賞者を三角形で結び,つながりを深める企画展となるよう,シリーズの名称は,展示スペース名「ザ・トライアングル」をそのまま冠しました。

 リニューアルオープンの1年目は,今年度の京都市芸術新人賞に選出された鬼頭健吾を皮切りに,木村翔馬,荒木優光,湊茉莉など,京都で学び,育まれた作家にフォーカスし,彼らの最新の取組を紹介します。今後も,京都ゆかりの新進作家を中心に多様な背景を持つ作家の現代美術の実験的な表現を取上げ,意欲的な企画を展開することにより,文化芸術の国内外への発信拠点としての当館の役割を果たしてまいります。


三角形のガラス建築である北西エントランスの直下,本館地下1階に位置する「ザ・トライアングル」。(面積:約60平方メートル,天井高:約3m) 撮影:来田猛

※ 本市の予算の状況等により,事業内容が変更される可能性があります。

 

1 鬼頭(きとう) 健(けん)吾(ご):Full Lightness

(開催期間:令和2年3月21日〜5月31日)

シリーズ初回では,プレオープニングイベントでの広がりや,次世代作家への刺激となることを期待して,豊富な発表経験を持つ鬼頭健吾を取り上げます。日常的な素材を組み合わせてカラフルな空間を構成することで知られる鬼頭は,一貫して色彩の体験や光の考察に基づく「絵画」をテーマに制作を続けてきました。2000年代に若手作家の中から頭角を現して以降も意欲的に作家活動を展開。本展ではキャンバスに様々な画材を用いたペインティングに,生地,シュラフ,透明ビニールなどを接続した平面作品のほか,着彩ガラスを用いたインスタレーションなど近作と新作を発表します。北西エントランスに設置された《ghost flowers》,本館のパブリック・アート《untitled  (hula-hoop)》と併せて,鬼頭作品が鑑賞者を迎えます。

 

1977 年愛知県生まれ,群馬県在住。京都市立芸術大学大学院美術研究科油画修了。京都造形芸術大学大学院芸術研究科教授。2010 年に文化庁新進芸術家海外研修員としてベルリンに滞在。主な個展に 「interstellar」(京都造形芸術大学ギャラリーオーブ,2016年),「鬼頭健吾 Multiple Star」(ハラミュージアムアーク,2017年)など。「六本木アートナイト 2018」では,メインアーティストとして発表した国立新美術館の大型インスタレーションが話題となる。令和元年度京都市芸術新人賞を受賞。

 

鬼頭健吾「cartwheel galaxy 2019」展示風景


2 木村(きむら) 翔(しょう)馬(ま)(開催期間:令和2年6月13日〜9月22日)

1996年生まれの木村翔馬は,学生を対象とする「CAF賞2017」で最優秀賞を受賞した注目の新人作家です。自らがデジタルネイティブ世代の作家であることを強く意識し,油彩絵具やキャンバスといった従来の手法だけでなく,3DCGやVR による最新技術を使用した絵画制作,両者を組み合わせたインスタレーションを発表してきました。VRの普及により起こる身体感覚の変化,デジタル技術が絵画制作に及ぼす影響といった問題に,美術史,モダンアートの文脈で追求されてきた平面性や物質性,幻想,触覚性,手の痕跡など絵画における諸問題を重ね,「デジタル時代」における絵画を模索します。本展で鑑賞者は木村の絵画を観るだけでなく,VR機器を装着し,作家独自の絵画世界を訪れることができるでしょう。


1996年大阪府生まれ。京都市立芸術大学大学院美術研究科修士課程在学中。現在,澤あも愛紅,西原彩香と共同スタジオTERRAINで制作。キャンバスや油絵具とともに,3DCGやVRによる絵画やインスタレーションに取り組む。主な展覧会に,個展「クリスタル☆ポリゴン」(ARTISTS’ FAIR KYOTO 2019: BLOWBALL),グループ展「貫く棒の如きもの」(TALION Gallery,東京),グループ展「紙より薄いが,イメージより厚い。」(児玉画廊|天王洲)がある。

 

木村翔馬

《デジタルワールド》2018

個展「dreamのあとから(浮遊する絵画とVRの不確定)」展示風景

Photo: Kioku Keizo


3 荒木(あらき) 優光(まさみつ)(開催期間:令和2年10月3日〜令和3年1月24日))

音響アーティストの荒木優光は,音楽やフィールドワークを起点とした作品を劇場で上演するほか,インスタレーションとして美術館やギャラリーでも作品を発表しています。近年では,「あいちトリエンナーレ2019」の関連企画として,豊田スタジアムの中継機能を用い,声楽家の音声を一つの合唱へと再構成する大規模な作品も制作しています。ドキュメンタリーやフィールドレコーディングを素材にフィクションの空間を創出してきた荒木は,音響機材の性質を生かし「フィクションが生み出されていく構造」そのものを露わにすることで,「現実」と「創出されているフィクション」の二重性を鮮やかに提示します。本展では,音をめぐる荒木の多角的な活動を紹介するとともに,聞こえくる音と人間の想像力との関係性を,即興性やパフォーマンス的要素を取り入れながら展示します。


1981年山形県生まれ。京都造形芸術大学映像・舞台芸術学科卒業。現在,京都府在住。音楽やフィールドワークを起点として独自の音場空間を構築する。近年はマルチトラックオーディオによるシアターピースやインスタレーションなどを展開。サウンドデザイナーとしてのコラボレーションも多い。音楽グループNEWMANUKEのメンバー。主な上演に「おじさんと海に行く話」(京都芸術センター,2018年),個展に「RECOLLECTION 36°×139° 寿楽荘 その一日の誕生」(浦和ふれあい館,2018年)などがある。

 

荒木優光《Sami Khedi Ra Biot  (microcosm)》

2019

Photo: Hirabayashi Takeshi


4 湊(みなと) 茉莉(まり)(開催期間:令和3年2月9日〜5月16日)

鮮やかな色彩を用い壁面や建築物にモチーフを描く制作手法で知られる湊は,2019年に開催された銀座メゾンエルメスフォーラムでの日本初個展で,綿密なリサーチをもとに光の変化や時間の流れをインスタレーションとして視覚化し,鑑賞者や銀座の街に大きなインパクトを残しました。またしばしば生まれ育った京都をモチーフに作品制作を行っており,同展で発表された《ツキヨミ》は,桂離宮に着想を得て制作されました。渡仏後は,異なる文化への興味から多様な文化のリサーチを続け,太古から続く人間の行為である「描く」こと,またそこから生み出される「イメージ」の普遍性を探っています。24歳まで過ごした京都の地に戻って描き出す作品は,緻密なリサーチと観察を起点に,伸びやかでダイナミックなイメージへと繋がっていくでしょう。


1981年京都府生まれ。京都市立芸術大学大学院美術研究科日本画専攻修了,2009年パリ国立高等美術学校ディプロマ取得。現在パリ在住。主な個展に「うつろひ,たゆたひといとなみ」(銀座メゾンエルメスフォーラム,2019年),「Retours d’Orient」(Galerie Eric Dupont,2019年)。


湊茉莉《方丈・ながれ》

(コピーライト)Mari Minato 2019

Photo : Nacasa & Partners  Inc. / Courtesy of Fondation d'entreprise Hermes


5 問合せ先

京都市美術館総務課

電話:075-771-4107  メール:pr@kyoto-museum.jp

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