ビジネスパーソンの“今”をデータで読み解く 第9回「ビジネス...

ビジネスパーソンの“今”をデータで読み解く  第9回「ビジネスパーソン1000人調査」【働き方改革と副業編】

働き方改革「実感している」3割に。2017年比10ポイント増  「ムダな業務・会議の削減」が働き方改革の実感のポイントに  副業に関しては、やってみたい人4割、 一方、経験者は2割。理想と現実ギャップも

一般社団法人日本能率協会(JMA、会長:中村 正己)は、2013年より全国のビジネスパーソン1000人に対し、職場や仕事に対する考えについて意識調査を行っています。この調査は、働く人びとに焦点を当て、その時々の旬の話題をデータで紹介するシリーズです。

今回は、「働き方改革」と「副業」について取りあげました。


図表1 あなたは、職場での「働き方改革」が進んでいると実感していますか。(単一回答)


■トピックス

<働き方改革>

1. 働き方改革「実感している」、約3割。前回(2017年)調査に比べ、10ポイント以上増加。20代は約4割が実感していると回答するも、50代、60代では3割を切る結果に。


2. 「働き方改革」実感の理由は、「有休取得」「残業減」「ムダな業務・会議減」がトップ3に。前回(2017年)に比べ、「女性活用」は大きく後退。


3. 「働き方改革」実感していない理由は、「ムダな業務・会議が減らない」が他を引き離してトップに。次いで「給与格差がなくならない」「有休が取得できない」が続く。


<副業>

4. 現在の職場で「副業をやってみたい」と考えている人は全体で4割、一方、経験者は約2割とギャップあり。20代では「副業をやってみたい」人が6割を超える。


5. 副業の理由は「収入増」が9割と圧倒的多数。一方副業をしたくない理由は「時間に余裕がない」が6割でトップに。副業にあてる理想的時間は、本業の「1割以上2割未満」が約6割に。



■調査概要

調査名称:第9回「ビジネスパーソン1000人調査」【働き方改革と副業編】

調査期間:2018年9月28日~2018年10月9日

調査対象:株式会社日本能率協会総合研究所「JMARリサーチモニター」のうち、

     全国の20歳~69歳までの正規・非正規雇用の就業者

     (企業や団体で働く正社員、役員、経営者、契約・嘱託社員、派遣社員。

      ただしパート・アルバイト、医師・弁護士などの

      専門職業、自由業を除く)

調査方法:インターネット調査

回答数 :1,000人

属性  :[性別]男性559人、女性441人

     [年代]20代156人、30代236人、40代239人、50代212人、60代157人

     [雇用形態]男性(正規447人、非正規112人)

           女性(正規191人、非正規250人)

     [勤務先従業員数]5,000人以上158人、1,000~5,000人未満167人、

              300~1,000人未満157人、100~300人未満174人、

              100人未満344人



■調査結果 ※回答は%表記とし、小数点第2位を四捨五入

1. 働き方改革「実感している」、約3割。前回(2017年)調査に比べ、10ポイント以上増加。20代は約4割が実感していると回答するも、50代、60代では3割を切る結果に。


・職場で「働き方改革」が進んでいると実感しているか聞いたところ、「とても実感している」(4.4%)、「やや実感している」(26.8%)と、3割が実感している一方、「あまり実感していない」(39.6%)、「まったく実感していない」(29.2%)と、7割近くは実感していないと回答しました。(図表1)


・前回(2017年)調査との比較では、「実感している」(「とても実感している」+「やや実感している」の計)が11.9ポイント増加しています。(図表2)


・年代別では、20代で「実感している」が38.5%と約4割に達しているのに対し、年代が高まるにつれ、実感している人の割合は低下し、50代は25.0%、60代は28.0%と3割に達していません。若者層では、人事部や上司から残業削減や有休取得を強く推奨されていることが実感につながっていることが推察されます。一方、50代以上では、長時間働くことが会社への貢献につながるといった従来の価値観もあり、変化へのとまどいがあるのかもしれません。(図表1)


・雇用形態別では、正規職員では、「実感している」人が35.1%、非正規職員では、24.3%と、10.8ポイントの開きがみられます。給与の格差是正がなかなか進みにくい現状がこうした結果にあらわれていると思われます。(図表1)


図表1 あなたは、職場での「働き方改革」が進んでいると実感していますか。(単一回答)


図表2 前回調査(2017年)との比較



2. 「働き方改革」実感の理由は、「有休取得」「残業減」「ムダな業務・会議減」がトップ3に。前回(2017年)に比べ、「女性活用」は大きく後退。

・働き方改革を「実感している」と回答した人(312人)に、具体的にどのようなことを実感しているか聞いたところ、全体では、「有給休暇が取りやすくなった」(32.4%)がもっとも多く、次いで「残業が減った」(31.1%)、「ムダな業務・会議が減った」(23.4%)が続きました。

・前回(2017年)調査と比較すると、「女性活用が進んだ」については、2017年調査では24.1%で第3位につけているのに対し、2018年調査では11.2%で第8位に後退しています。(以上 図表3)


図表3 「働き方改革」として、具体的にどのようなことを実感していますか。(複数回答)



3. 「働き方改革」実感していない理由は、「ムダな業務・会議が減らない」が他を引き離してトップに。次いで「給与格差がなくならない」「有休が取得できない」が続く。

・働き方改革を「実感していない」と回答した人(688人)に、その理由を聞いたところ、全体では、「ムダな業務・会議が減らないから」(29.2%)がもっとも多く、次いで「正社員と非正規社員の給料の格差がなくならないから」(22.7%)、「有給休暇がとりにくいから」(21.1%)が続きました。残業時間削減や休暇取得推奨だけではなく、会議などのコミュニケーションを含めた業務そのものの見直しが重要であることが示唆されます。

・前回(2017年)調査と比較すると、「有給休暇がとりにくいから」は7.1ポイント減、「残業が減らないから」は5.5ポイント減と、5ポイント以上減少しています。(以上 図表4)


図表4 「働き方改革」を実感していない理由は何ですか。(複数回答)



4. 現在の職場で「副業をやってみたい」と考えている人は全体で4割、一方、経験者は約2割とギャップあり。20代では「副業をやってみたい」人が6割を超える。

・職場で副業が認められているか聞いたところ、「認められている」(16.9%)、「認められていない」(48.4%)、「分からない」(34.7%)となり、「認められている」と回答した人は2割に届きませんでした。(図表5)

・現在の職場での副業の経験を聞いたところ、「ある」と回答した人は18.1%、「ない」と回答した人は81.9%でした。(図表6)

・現在の職場に勤務しながら副業することに対しては、「やってみたい」(「ぜひやってみたい」+「どちらかというとやってみたい」の計)は41.5%と、4割近くにのぼりました。(図表7)

・年代別でみると、20代では「やってみたい」と回答した人が60.2%と6割にのぼり、年代が高まるにつれ、関心度合いは低下する結果になりました。(図表7)


図表5 あなたの会社では副業が認められていますか。(単一回答)


図表6 あなたは現在の職場に勤務しながら副業をしたことがありますか。(単一回答)


図表7 現在の職場に勤務しながら副業することについて、関心はどの程度ですか。(単数回答)



4. 副業の理由は「収入増」が9割と圧倒的多数。一方副業をしたくない理由は「時間に余裕がない」が6割でトップに。副業にあてる理想的時間は、本業の「1割以上2割未満」が約6割に。

・副業をやってみたいと回答した人(340人)に、その理由を聞いたところ、「収入を増やしたいから」が90.0%と他を大きく引き離しました。また、副業にあてる理想的な時間を聞いたところ、「1割以上2割未満」(58.5%)がもっとも多く、次いで、「2割以上3割未満」(23.2%)、「1割未満」(22.6%)が続き、2割未満にしたいと考える人が8割を超えました。(以上 図表8、9)


・一方、副業をやりたくないと回答した人(262人)に、その理由を聞いたところ、「時間に余裕がないから」が59.9%と、こちらも他を大きく引き離しました。次いで「本業がおろそかになるから」「会社が許可していないから」(ともに20.2%)が続きました。(以上 図表10)


図表8 副業をやってみたい理由は何ですか。(複数回答)


図表9 副業にあてる理想的な時間(単一回答)


図表10 副業をやりたくない理由は何ですか。(複数回答)



■結果を受けてコメント(一般社団法人日本能率協会 KAIKA研究所 所長 近田 高志)

・今回の調査からは、「働き方改革」の実感が、前年(2017年)より10ポイント以上高まっているという結果がみられました。多くの企業で有休取得、残業削減をはじめさまざまな取り組みが進められている成果が表れているようです。中でも「ムダな業務・会議」を減らせているかどうかが、働き方改革の実感に大きな影響があることが分かりました。働き方改革の真の目的は、創造的な仕事の比率を増やすことで働き甲斐や生産性を高めることにありますが、本質的な業務の見直しが重要であることがあらためて示されたと言えるでしょう。


・副業については、2018年1月に厚生労働省が『副業・兼業の促進に関するガイドライン』を示すなど、政府が後押ししていることもあり、若い層を中心に関心が高まっています。一方で、小会が経営者を対象に実施した調査において、副業を奨励していない企業が9割に達するなど、企業側としては積極的容認には至っていません。上記ガイドラインにおいても労働者と企業の双方にとってのメリット・留意点が挙げられていますが、「人生100年時代」を見据えた働き方を考えていくために、副業の意義や課題をあらためて議論する必要があるようです。

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