「中途入社後活躍調査」第1弾、中途入社者の定着・活躍には定期...

「中途入社後活躍調査」第1弾、中途入社者の定着・活躍には定期的な面談が最も有効

研修以上に面談が有効。上司との面談だけでなく、人事との面談も非常に効果的

株式会社リクルートキャリア(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:小林 大三)は、従業員300名以上の企業に中途入社して5年未満の方を対象にアンケート調査を行い、5,378名から回答を得ました。当該結果を「中途入社後活躍調査」として取りまとめましたので、ご報告いたします。


 ▼詳細はこちら(PDF)

 https://www.recruitcareer.co.jp/news/20181009_02.pdf



■調査実施の背景・調査の目的

昨今の求人意欲の高まりや働き方改革の機運の高まりを受け、企業の採用にはじまり人事部の活動はますます重要になっています。そうした状況を受けて、中途入社者が入社後に高い成果を出したり、長く働き続けたいと思うようになるにはどのような人事施策が有効なのか明らかにすることを目的に、調査を行いました。



■調査の全体像

本調査は、学習院大学の守島基博教授に分析と分析の解釈に対する助言を頂き、取りまとめています。分析については第2弾までを予定しており、今回は第1弾をご報告いたします。


・第1弾 「入社後の受入れ施策」は、パフォーマンス・離職意向度に影響するか?

・第2弾 どのような「入社後のコミュニケーション」が、パフォーマンス・離職意向度に影響するか?



■第1弾調査結果のポイント

中途入社者の「パフォーマンスの向上」には「人事との定期面談」、「離職意向度の低減」には「上司との定期面談」が有効


・「入社後の受入れ施策の有無」は、中途入社者の「パフォーマンス」と「離職意向度」に影響することが確認できた


・特に、「パフォーマンス向上」には「定期的な人事との面談」、「離職意向度の低減」には「定期的な上司との面談」が最も好影響だった


・一方で、人事との面談実施率は低い結果となった



■調査の詳細1:受入れ施策の効果

パフォーマンスへの影響

様々な施策の中で、「定期的な人事との面談」が最もパフォーマンスに好影響を与える結果となった。また、どのような施策もパフォーマンスにマイナスに働くことはない結果となった。


離職意向度への影響

「定期的な上司との面談」が離職意向度を最も低減させる結果となった。一方で、 「中途入社者同士のコミュニティづくり」 や「定期的な入社後アンケート」は離職意向度を高める結果となった。



■調査の詳細2:中途入社者の受入れ施策の有無

「歓迎会など非公式イベント」および「導入研修」は4割を超える実施率。「定期的な上司との面談」、「入社数か月後の集合研修」がそれに続き実施率が高いが、「定期的な人事との面談」は実施率が低い。


中途入社者向けの支援策(施策毎の実施率※複数選択可)



■結果が示唆していること

調査実施者からのコメント

企業は即戦力として活躍してもらうことを期待して中途採用を行うことが多いですが、中途入社者の誰もが転職先ですぐに活躍できるわけではありません。

 

本調査では中途入社者の「パフォーマンスの向上」には「人事との定期面談」、「離職意向度の低減」には「上司との定期面談」が有効であることが明らかになりました。


その一方で施策の実施率は「人事との定期面談」が14.6%、「上司との定期面談」は27.1%にとどまっています。これは、大手企業であってもこれまで中途入社者はそれほど多くなかったこと、また中途入社者には十分な経験・スキルがあるため教育は必要でないと考えられていたこと、等が要因と考えられます。


企業の中には、こうした支援策を複数組み合わせ、中途入社者のパフォーマンス向上や離職意向度の低減に向けた試行錯誤を始められている企業も出始めています。本調査は個別の企業単体ではなかなか蓄積できない数の中途入社者のデータから示唆が導き出されていますので、本調査結果を今後の施策検討に有効活用頂ければ幸甚です。


高森 純 氏(たかもり じゅん)

株式会社リクルートキャリア 事業開発室 インキュベーション部 新領域基盤グループ マネジャー


外資系コンサルティング会社を経て2012年に当社に入社。以降グローバル人事、ピープルアナリティクス、入社後活躍、社員紹介等の新領域の事業開発に一貫して従事



守島教授からのコメント

これまで、中途入社者の定着や期待されるパフォーマンスの発揮は、研究面、実務面ともにあまり注目されていませんでした。また例えば、新卒入社者の離職を説明する時に使われるリアリティ・ショックという説明も、経験の深い即戦力採用者には当てはまりがよくありません。


本調査は、中途入社者の定着やパフォーマンスの向上のために人事部門や現場が何をすべきかを明らかにした点で意義があるものです。中でも重要なのは、たとえ中途入社者であっても、入社直後に人事部門や現場リーダーから受けた支援が大きな意味をもつということです。初期のオンボーディング活動が極めて重要であるということでもあります。


また人事部門の支援は仕事面での成果に、現場上司の支援は離職意向という心理的な面にそれぞれ統計的に有意な影響があるというのは重要な発見です。恐らく入社者がこれまで培った経験や能力を新たな組織で発揮できるように助けるのが人事部門の役割であり、また上司は中途入社者に心理的安全を提供し、定着を促進するエージェントであるという位置の違いが明らかになったと思われます。ただ、こうした活動の実施率は低いという発見も得られ、中途採用が戦略採用になればなるほど、人事部門や現場リーダーには採用直後の支援を行うことが求められます。


守島 基博 氏 (もりしま もとひろ)

学習院大学経済学部経営学科 教授


80年慶應義塾大学文学部社会学専攻卒業。86年米国イリノイ大学産業労使関係研究所博士課程修了。人的資源管理論でPh.D.を取得後、カナダ国サイモン・フレーザー大学経営学部助教授。90年慶應義塾大学総合政策学部助教授、98年同大大学院経営管理研究科助教授・教授、01年一橋大学大学院商学研究科教授を経て、2017年から学習院大学教授、2018年から副学長を兼務。厚生労働省労働政策審議会委員、財務省独立行政法人評価委員、経済産業省産業構造審議会臨時委員、経営行動科学学会長などを兼任。  

著書に『人材マネジメント入門』、『人材の複雑方程式』(共に日本経済新聞出版社)、『人事と法の対話』(有斐閣)などがある。



■調査概要

・実施期間:2018年2月26日(月) ~2月28日(水)および3月28日(水)~3月30日(金)

・調査対象:過去5年以内に従業員数300名以上の企業に正社員・正職員として中途入社された方

・回答数 :5,378名

・調査方式:webを使用したアンケート



■回答者の属性



■本調査の分析手法

・分析に当たっては、ロジスティック回帰モデルを使用。「パフォーマンス」「離職意向度」をそれぞれ目的変数として、中途入社後に受けた各受入れ施策を説明変数とした。説明変数ごと有意水準5%で帰無仮説「母係数値=0」を棄却でき、かつ、符号が逆転していない、説明変数のみのオッズ比を提示。


・パフォーマンス(現在、周りと比べて、高い評価を受けている方だと思いますか。)および離職意向度(現在、今の会社を3か月以内に辞めたいと思っていますか。)について、回答が「非常にそう思う」または「どちらかといえばそう思う」であれば「1」、「どちらともいえない」または「どちらかといえばそう思わない」または「全くそう思わない」であれば「0」に加工。


・各受入れ施策(歓迎会など非公式イベント、中途入社者同士のコミュニティづくり、導入研修、入社数か月後の集合研修、定期的な人事との面談、定期的な上司との面談、定期的な入社後アンケート調査、教育・支援担当制度(メンター・ブラザー・シスター)、労働組合からの説明、その他)について、回答がありであれば「1」、なしであれば「0」に加工。


・オッズ比とは、ある変数に着目した場合の目的変数への影響度である。例えば「パフォーマンス」に対する「定期的な人事との面談」のオッズ比が1.51であることの意味は、定期的な人事との面談をした方がそうでない場合と比べて1.51倍「現在、周りと比べて、高い評価を受けている」と思う傾向にあることを意味する。



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