汎用ネットワークでリアルタイムに接続し、複数種のロボットを連...

汎用ネットワークでリアルタイムに接続し、 複数種のロボットを連携させる基礎実験に成功

~さまざまなロボットをつなぐためのプラットフォーム構築を目指す~

芝浦工業大学(東京都港区/学長 村上雅人)機械機能工学科の松日楽(まつひら)信人教授と産業技術大学院大学(東京都品川区/学長 川田誠一)産業技術研究科の成田雅彦教授は、複数拠点に置いたロボットやデジタルサイネージをネットワーク(RSNP※1)でつなぎ、ロボットアンケートラリーを実施する実証実験を2016年12月23日、24日に深川資料館通り商店街(東京都江東区)で行いました。

カフェでの実験の様子
カフェでの実験の様子

同教授らの研究室では、ロボットが街のさまざまな場所でどのように役立つかを研究しており、RSNPという規格を用いた汎用性のある通信プラットフォームの構築を行っています。ロボット同士のネットワークが活用できると、アンケートによるリアルタイムの情報収集だけでなく、ロボットならではのセンサー(例:顔認証)を活用した、行動履歴による子どもや高齢者の見守り、観光案内(複数言語対応可)などにも役立てることが出来ます。
今回は商店街内の6か所をつなげた初めての屋外(実環境)実験でした。次回は、人の動線検出やさらに多くのロボットによる実験を夏頃に実施する予定で、実用化に向けた研究を進めていきます。


■ポイント
(1) 今まで各々の研究者が独自に開発していたロボットの通信規格を、RSNPという公開規格でデザインすることで、ロボットの種類を問わず、複数台接続でき、実装するアプリ自体も簡単にカスタマイズできる。

(2) ロボットへ回答する代わりに、スマートフォンを近づけると画面上にロボット(スマホロボ※2)が現れ回答できるなど、特定の形態にとらわれず、システムを運用できる。

(3) 人が複数のロボットへ接触することによって、巡回ルートや移動時間といった行動履歴を取得できる。
また、個人認証により、過去や現在の情報をもとに、利用する先々で個人にマッチしたサービスの提供も将来可能。


■実施内容
今回、深川江戸資料館、カフェなど6か所の協力を受け、卓上型市販ロボット「ロボコット」とスマホロボを呼び出すQRコードを設置。6体のロボコットやスマートフォン上のスマホロボをネットワークで接続しました。各個人に与えられたIDを入力して回答する形式(ロボコット)と、スマートフォンでQRコードを読み込むと表示されるアンケートロボ(スマホロボ)に直接回答する形式で実験しました。
今回はスタンプラリーのように、4か所以上をまわると深川江戸資料館でカメラマンロボット「コンシェルジュ」が記念写真を撮ってくれるという内容で実証実験を実施。買い物客にアンケートへ答えてもらうことで、どのようなことに興味を持っているのか、ロボット同士のネットワークを使ってアンケート収集が可能なのかを把握するための基礎実験として行いました。


■技術について
インターネット接続にはRSNPというRSi(※3)が開発したサービスロボット用の標準プロトコルを使用し、アンケートはその上に実装されたアンケートアプリを使用しました。このアプリは、簡単にカスタマイズが可能で、利用者ごとにIDを付与することで、利用者の状況に合わせて異なるアンケ―ト設問を提示することができるようになりました。また、今回新たに導入したロボット「ロボコット」でも、RSNPにより正常に通信を行えることが確認出来ました。


■今後の展望
これまでも、2015年の「国際ロボット展」、2016年の「Japan Robot Week」で実験を重ね、実用化に向けた研究開発を進めてきましたが、今回は初めて、実環境である商店街を使用した実験となりました。次回は人の動線検出やさらに多くのロボットによる実験を夏頃に実施する予定です。


■補足事項
※1 RSNP(ロボット・サービス・ネットワーク・プロトコル)
通信規格。サービスロボット開発用に公開されており、このパッケージを使って簡単にロボットのネットワーク化を実施することができる。

※2 スマホロボ
スマートフォンを利用した、人などの顔を模した表情を持つロボット。イベント会場や公共施設に設置されたQRコードを読み取ることで、来場者のスマートフォンにスマホロボが現れ、案内、リアルタイムの会話やモニターなど、移動ロボットやタブレットベースのサイネージロボットと同等のサービスを行うことができる(産業技術大学院大学内 ネットワークサービスプラットフォーム研究所(所長:成田雅彦教授)とPBLプロジェクトで開発)。アンケートの回答では、周りを気にせず、混雑時にも容易に回答できることや、席に座って回答ができる点などの特徴がある。移動ロボットやサイネージロボットが呼び込みを行い、スマホロボでアンケートに回答するなど、これらと共存できる。移動型のロボットやサイネージロボットに比べてより安価なシステムを提供できること、来場者のスマートフォンへ一時的にしか使わないアプリをインストールする必要はないことも大きな特徴である。顔のパターンは用途に応じて入れ替えられる。

※3 RSi(ロボット・サービス・イニシアチブ)
RSiはパーソナルロボットによる通信ネットワークを活用した魅力あるサービス(ロボットサービス)を簡単かつ便利に利用できる社会を目指し、相互運用性のあるロボットサービスについて関連団体と協力・連携しながら仕様の作成・公開、実証実験、普及促進を行うことを目的とした任意団体で、一般社団法人日本ロボット工業会内に事務局がある。


なお、今回の実証実験は「ベイエリアおもてなしロボット研究会」の活動の一環であり、深川資料館通り商店街、タケロボ株式会社、RSiのご協力により実施できたものです。

<概要>
東京ベイエリア地区に拠点を持つ機関の研究会。地域の課題解決を目標にし、互いに連携を取りながら、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会も視野に入れ、ロボットの研究開発および新規市場の創出に向けて取り組んでいる。

<研究会メンバー>
・芝浦工業大学(機械機能工学科 松日楽信人 教授)
・産業技術大学院大学(産業技術研究科 成田雅彦 教授)
・首都大学東京(システムデザイン学部 山口亨 教授)
・東京都立産業技術研究センター(ロボット開発セクター 坂下和広 セクター長)
・産業技術総合研究所(人工知能研究センター 本村陽一 首席研究員)
・東京海洋大学(海洋工学部 近藤逸人 准教授)

<協力>
ロボット・サービス・イニシアチブ(RSi)

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