発達障害・グレーゾーン、ひきこもり……子どもの生きる力を育む間取りとは?

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    2022年3月25日 15:00
    発達障害・グレーゾーン、ひきこもり……子どもの生きる力を育む間取りとは?
    発達障害・グレーゾーン、ひきこもり……子どもの生きる力を育む間取りとは?

    クボデラ株式会社の窪寺伸浩社長は、発達障害・グレーゾーン、引きこもりなど、社会のなかで生きづらさを感じる子どもに対して、住環境からのアプローチで生きる力を育む方法を提案しています。

    その理由は、「人間は環境の影響を受ける生き物ですが、人間はその環境を自らつくり変えることができるから」と言います。

    窪寺社長の著書『間取りと素材で決まる 生きづらさを抱える子どもの生きる力を育む住まいとリフォーム』http://www.asa21.com/book/b599183.htmlより、間取りの工夫を2つ紹介します。

    人間関係をつくるキッチン

    家族の集まる場所はどこでしょうか? 昭和時代の漫画の『サザエさん』にも、ずっとあとの世代であるはずの『ちびまる子ちゃん』にも、現代住宅にあるキッチンも、ダイニングもありません。

    キッチンの日本語は、何でしょうか。台所でしょうか。
    ではダイニングは、何でしょうか。キッチン・台所に隣接しているから、本来は食堂なのでしょうが、「茶の間」的用素もあります。

    このキッチン・ダイニングを改善して、家族の人間関係を再構築することを考えてみます。

    まず、キッチンを、対面式に変えます。
    換気などを考えれば、窓側にキッチンがあった方がよいですが、家族との関係性を考えれば、対面式もよいでしょう。

    対面式キッチンが会話を生む
    対面式キッチンが会話を生む

    家事をしながら、家族の姿を見ることができる。
    家事をしながら、家族と会話ができる。
    人間関係をつくる上で、対面式キッチンは有効です。

    さらに、リビングにいる家族に、あるいは、いなくても、呼びかけて、家事の手伝いをしてもらうといいでしょう。
    一緒に家事をする。一見単純そうに見えますが、料理の手伝いをしてもらうだけでも、家族との共同作業になります。

    なにも子どもに、一つの料理を完成させることを求めなくてもいいのです。
    玉ねぎの皮むきでも、ニンニクの皮むきでもいいのです。
    そして次は、野菜を切ること。次は味つけをすること。味見をすること。

    料理づくりをするキッチンのなかで、会話がはずむはずです。

    そのためには、一人で窮屈になるキッチンスペースではなく、家族と一緒にいられるスペースがあればいいでしょう。

    お手伝いができるようにキッチンの幅は広く
    お手伝いができるようにキッチンの幅は広く

    キッチンは、料理をつくったり、洗いものをしたりする作業スペースです。
    だから、さまざまな食材や器材を収納するスペースが求められます。

    それゆえに作業スペースを圧迫するような収納スペースがありますが、これらを一カ所にまとめて、キッチンの背面にマグネットで貼れるようにして、作業の必要に応じて、背面に置いて作業する方法もあります。
    これは、新築にもリフォームにも使えるアイデアです。

    ひきこもりが解消される「家庭内引っ越し」

    家の中での引っ越しを実践することによって、ひきこもりが解消された例があります。私の友人で、共に住環境を研究する工務店の社長から聞いた話です。
    以下、友人の語りです。

    お子さんが、少し気弱で、家にひきこもりがちでした。
    そのお母さんから相談をうけて、そのお宅を訪ねることにしました。
    子ども部屋は北向きで、昼でも電気をつけていないと薄暗い感じがしました。
    私は、お子さんのひきこもりの原因が、この北窓のある部屋にある、と考えました。

    「お母さん、引っ越ししませんか」と言うと、お母さんは「何を言うんですか、最近、この家を買ったばかりなのに、引っ越しなんて」と不満顔です。
    「いやいや、家の引っ越しではありません。部屋の引っ越しですよ」といって、お宅をよくよく拝見させてもらうと、東南の角部屋が、単なる物置きになっているのに気づきました。一番いい場所が、単なる収納スペースになっているとは。
    「朝日は生命を感じるもの。たんすや本棚に朝の光をあてても何も変わらない」と心のなかでつぶやきました。

    東窓の部屋にあった家具などを北窓の部屋に移動して、子ども部屋を東窓の部屋に引っ越してもらいました。
    南面にも窓をつくり、内装は木を使いました。

    部屋の引っ越しをしてみると、いつも寝坊していた子どもが、朝早く目覚めるようになりました。
    東窓の部屋は、朝日が入る部屋です。そして南窓は昼の光の入る部屋です。

    太陽の光が、東窓から「朝だよ。朝だよ」と声掛けしてくれています。
    そして昼になると、南窓から太陽が「昼だよ。昼だよ」と声を掛けてくれる。

    自然光が生活リズムをつくる
    自然光が生活リズムをつくる

    子どもは、太陽の光の中で、規則正しく起きることから、徐々に、生活習慣を改めていって、ひきこもりから脱していったのです。
    私はやはり、環境が人間を変えることを、つくづく思いましたし、また人間は環境を選べるし、環境をつくり、変える力があるのだと思ったのです。

    これは私の友人から聞いた生の話です。
    家庭内引っ越し、つまり環境を整えていくことの重要性が、おわかりいただけたはずです。

    著者プロフィール

    窪寺 伸浩(くぼでら・のぶひろ)

    著者:窪寺 伸浩
    著者:窪寺 伸浩

    クボデラ株式会社代表取締役。
    昭和36年東京都生まれ。東洋大学文学部卒。昭和21年創業の老舗木材問屋の三男として生まれ、台湾、中国等からの社寺用の特殊材の輸入卸を行う。また、全国の志ある工務店、木材業者、設計士等によってつくられた「幸福(しあわせ)を生む住まいづくり」を提唱し、実践する環境研究グループ「ホーミースタディグループ」の中核メンバーでもある。東京都神社庁御用達。東京都神棚神具事業協同組合理事長。同社マルトミホーム事業部では、自然素材・無垢材にこだわった家づくりを40年にわたって行っている。

    書籍情報

    表紙
    表紙

    タイトル:間取りと素材で決まる 生きづらさを抱える子の生きる力を育む住まいとリフォーム
    著者:窪寺伸浩
    ページ数:200ページ 
    価格:1,650円(10%税込) 
    発行日:2022年3月11日
    ISBN:978-4-86667-370-7
    http://www.asa21.com/book/b599183.html

    amazon:https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4866673702/asapublcoltd-22/
    楽天:https://books.rakuten.co.jp/rb/17008957/?l-id=search-c-item-text-01

    目次

    第1章 住まいを生きる力を育む場に
    第2章 生きる力を育む間取り
    第3章 住まいのあるべき姿
    第4章 生きる力を育む素材選び
    第5章 住まいづくりをどのように進めるか

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    対面式キッチンが会話を生む
    お手伝いができるようにキッチンの幅は広く
    自然光が生活リズムをつくる
    著者:窪寺 伸浩
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