CEATEC AWARD2015グリーン・イノベーション部門準グランプリ受賞 世界初※、新素材開発により白金を使用せず、 500℃以上の高温に対応する「煤(すす)センサ」を開発

京セラ株式会社(代表取締役社長:山口 悟郎)は、ディーゼル車向けの煤センサを新たに開発しました。煤センサは、全世界で環境規制が高まる中、ディーゼル車の排ガス中に含まれる煤を検知するために必須となる部品です。現在、各社が同センサを開発中とされていますが、一般的な開発品では、耐高温酸化性に優れる白金(貴金属)が導体として使用されています。しかし、排ガスが500℃以上の高温になると、白金と煤が触媒反応を起こし、検知対象である煤が燃えてしまい、煤の排出を正しく検知できない恐れがあります。
そこで、京セラは白金を使用せずに、同等レベルの耐高温酸化性を有する卑金属(合金)の導体材料を開発しました。白金を使用せず同等の特性がある卑金属の耐酸化性導体を採用した、500℃以上の高温でも検知可能な煤センサは、世界で初めてです。

煤センサのセンサ部分
煤センサのセンサ部分

◆京セラ製煤センサの特長
1.高温においても煤の測定が可能
京セラが世界トップシェア(約7割)を誇るセラミックパッケージの開発において培ってきた、金属導体の材料技術を活かすことで、一般的に採用されている耐高温酸化性がある貴金属の白金を使用せずに、同等の特性を有する新開発の卑金属の耐酸化性導体を世界で初めて開発しました。この新材料は、白金で課題だった煤との触媒反応が起こらないため、500℃以上の高温においても測定が可能です。更に京セラ製の煤センサは、セラミックスと新材料である卑金属の耐酸化性導体を多層同時焼成することにより、高信頼性を実現しています。

2.大気汚染物質の抑制に貢献
煤センサは、排ガス規制の基準値以上に煤を排出させないために、排ガス中の煤を測定するための部品です。現在、各社が開発中ですが、本製品が実用化されれば、地球環境問題の課題の一つである大気汚染物質の抑制に貢献します。

3.コスト面でのメリット
貴金属の白金を使用しないため、コスト面でのメリットも期待できます。

◆開発時期・商品化時期
開発時期 :2014年1月 ~  2016年12月(予定)
商品化時期:2017年1月(予定)

◆市場背景と今後の業界動向

世界の車両生産量約8,300万台(2014年時点)において、ディーゼル車は全体の生産量の約3割を占めており、現在も飛躍的に生産量が伸びています。その背景には、ディーゼルエンジンが、地球温暖化の原因となっているCO2の排出量がガソリンエンジンよりも少ないことや、高出力、高耐久性などの特性が欧州を中心に評価されていることがあります。

ディーゼル車の需要が特に高まっている欧州では排ガス規制「ユーロ6」が施行されるなど、排ガス規制強化の動きが広がっています。
こういう動きの中、現在の排ガス規制(ユーロ5)においても、すでにディーゼル車には、DPF(ディーゼル・パティキュレート・フィルタ:排ガス中の煤を捕集するフィルタ)などの汚染制御装置の搭載が義務付けられています。このDPFの故障を検知するために車載故障診断(OBD)には煤の排出量の規制値が定められていますが、まず、DPFの故障を検知するためには、排ガスの中の規制対象物質を検知するセンサが必要となります。
しかし、排気ガスは500℃という高温であるため、耐高温酸化性が求められるのですが、白金導体のセンサ(一般的な開発品)は、白金と煤が触媒反応を起こし、500℃以上で煤を正しく検知できない恐れがあることから、現在、各社が開発中のため、規制自体が先送りになっています。そのため、煤センサの製品化が急務となっているのが現状です。

今後、煤センサが実用化され排ガス中の煤規制が施行されれば、まずは規制対象地域にて、生産される全てのディーゼル車の煤センサ搭載が義務付けされることとなり、将来的には全世界で生産される全てのディーゼル車に煤センサの搭載が義務付けられる可能性があります。そのため、煤センサは、今後重要な基幹部品となると考えられています。

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