ライソゾーム酸性リパーゼ欠損症(LAL-D)の小児および成人...

ライソゾーム酸性リパーゼ欠損症(LAL-D)の小児および成人における sebelipase alfaのピボタル第III相試験結果がNEJMに掲載

 この資料は、アレクシオン・ファーマシューティカルズ(米国コネチカット州チェシャー)が2015年9月9日(現地時間)に発表したプレスリリースの日本語抄訳で、参考資料として提供するものです。その内容および解釈については英文プレスリリースが優先されます。英文プレスリリースは http://www.alexion.com をご参照ください。

 なお、本プレスリリースの対象とする製品は日本では承認されておりません。このため本抄訳では、製品の一般名を使用しています。


 2015年9月9日、米国コネチカット州チェシャー -- アレクシオン・ファーマシューティカルズ(NASDAQ:ALXN)は本日、ライソゾーム酸性リパーゼ欠損症(LAL-D)の小児および成人におけるsebelipase alfaの安全性と有効性を評価するためのピボタルな第III相ARISE試験で得られたデータが、ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン(NEJM)の9月10日号に掲載されたと発表しました。この試験において、sebelipase alfaはプラセボと比較して、主要評価項目であるアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)の正常化を達成し(31% vs. 7%、p=0.03)、また同時に、6つの副次的評価項目も達成しました(参考文献1)。Sebelipase alfaは、あらゆる年齢のLAL-D患者さんに対する治療薬として欧州委員会(EC)で承認された革新的な酵素補充療法です。LAL-Dは、乳児、小児から成人にわたって複数の臓器に障害をもたらし早期死亡に至ることもある、遺伝性、慢性及び進行性の代謝性超希少疾患です。

 この論文の筆頭著者である、米ノースウエスタン大学フェインバーグ医学校の小児科教授(Professor of Pediatrics at the Northwestern University Feinberg School of Medicine)および シカゴのアン&ロバート・H・ルーリー小児病院の主治医(Attending physician at the Ann & Robert H. Lurie Children's Hospital of Chicago)のバーバラK.バートン医学博士(Barbara K. Burton, M.D.)は次のように述べています。「LAL-Dの患者さんは多くの場合、肝硬変と重篤な脂質代謝異常を若年齢で発症します。残念ながら、これまでの治療アプローチには、この疾患の深刻な経過を変えられるほどの効果はありませんでした。LAL-Dの小児および成人の患者さんを対象としたこの試験において重要なことは、酵素補充療法がプラセボと比較してALT値の低下およびその他の疾患関連性脂質異常や肝機能異常に有意な改善をもたらしたことです。」

 LAL-Dの原因である遺伝子変異により、複数の体内組織でライソゾーム内のLAL酵素活性が著しく低下または消失するため、肝臓や血管壁、その他の組織にコレステロールエステルやトリグリセリドが慢性的に蓄積します。LAL-D患者さんには生命を脅かす症状が急速に発現することが多く、多数が重症化するまで無症候です。(参考文献2、3)

 アレクシオンの最高経営責任者であるデビッド・ハラールは次のように述べています。「LAL-Dは、小児および成人の半数が3年以内に肝線維症、肝硬変または肝移植を要するまでに進行するという深刻な超希少疾患です。現在、多くのLAL-Dの患者さんが正確に診断されておらず、診断されている患者さんも深刻な結果に直面しています。アレクシオンは、希少疾患の世界的なリーダーとして、LAL-Dの患者さんとそのご家族がいかに危機的な状況に瀕しているかを認識しています。ピボタルな第III相ARISE試験で得られたデータがNEJMに掲載されたことで、大いに不足していた医療関係者によるLAL-Dの認知度が高まり、患者さんが正確かつ迅速に診断を受けられるようになることを期待しています。」


 NEJMに続き、Journal of Pediatric Gastroenterology & Nutritionにも、小児および成人のLAL-D患者さんの最大規模の長期的レビューが最近掲載されました。この観察研究では、90%以上の患者さんにおいてALT値が上昇し、約65%の患者さんにLDLコレステロール値の異常(平均値202.9mg/dl)、また、40%以上の患者さんにHDLコレステロール値の異常が認められ、全ての患者さんにおける肝移植率は13%でした。脂質低下薬を服用している患者さんのLDL値の低下は概して小幅でした(参考文献4)。この研究から、既存の支持療法を受けていても、LAL-Dの患者さんには大きな負担が課せられていることが確認されました。

 2015年9月1日、アレクシオンは、ECがあらゆる年齢のLAL-D患者さんの治療薬としてsebelipase alfaを承認したと発表しました。Sebelipase alfaの欧州製品概要(SmPC)には、ARISE試験のデータに加え、乳児期LAL-D患者さんの12カ月を超える生存率に有意なベネフィット(67%、9名中6名)がみられたのに対し、未治療の歴史的コホートでは21例中0例であったとの別の試験から得られた臨床データ(参考文献5)が含まれています。


■ARISE試験について(参考文献1)
 LAL-Dの小児および成人の患者さんを対象とした多施設共同、無作為化、プラセボ対照試験であるARISE(Acid Lipase Replacement Investigating Safety and Efficacy)試験は、20週間の二重盲検期および進行中の非盲検期で構成されています。この試験には66例の患者さん(4歳から58歳)が登録され(36例にsebelipase alfa、30例にプラセボを投与)、65名が非盲検期に移行しました。66例の患者さんの大部分(47/66例)が18歳未満であり、全ての患者さんのベースラインにおけるALT値は上昇していました(正常値上限の1.5倍以上)。有効性の主要評価項目はALT値の正常化で、有効性の副次的評価項目には、その他の肝機能の生化学的マーカー、血清脂質値、肝脂肪量、臓器体積、一部の患者さんを対象とした肝臓の組織病理学的所見の評価が含められました。ベースライン評価では、試験参加母集団の病状がかなり深刻であることが明らかになりました。

 有効性の主要評価項目については、sebelipase alfaの投与により、プラセボと比較して有意に多くの患者さんでALTの正常化が認められました(31% vs. 7%、p=0.03)。また、sebelipase alfaによる治療を受けた患者さんは、LDLコレステロールの変化(-28.4% vs. -6.2%、p<0.001)、non-HDLコレステロールの変化(-28.0% vs. -6.9%、p<0.001)、ASTの正常化(42% vs. 3%、p<0.001)、トリグリセリドの変化(-25.5% vs. -11.1%、p=0.04)、HDLコレステロールの変化(19.6% vs. -0.3%、p<0.001)、MRIで評価した肝脂肪量変化(-32.0% vs. -4.2%、p<0.001)の副次的評価の6項目において、プラセボとの比較で有意な改善を示しました。LDLコレステロールの低下は、ベースラインにおける脂質低下薬の使用状況と無関係に見られました。また、ALT平均値のベースラインからの低下幅は、プラセボと比較してsebelipase alfaの投与において有意に大きく(-58 U/L vs. -7 U/L、p<0.001)、sebelipase alfaによる治療を受けた全患者さんでALT値の低下が認められました。

 肝脂肪量の減少を示した被験者は、プラセボ群よりもsebelipase alfa群で高頻度でしたが、両群間の頻度に有意差はありませんでした。Sebelipase alfa群の患者さんはプラセボ群の患者さんよりも肝臓の体積の減少幅は大きかったものの、事前に定めた仮説検定によりこの副次的評価項目の有意性は棄却されました。

 20週間の二重盲検期に3つの重篤な有害事象が報告されました。2つはsebelipase alfa群で、そのうちの1つは治療との因果関係は否定できないと判断されました(投与時反応が重篤と判断されました)。投与時反応はまれな有害事象でした。Sebelipase alfa群においてプラセボ群よりも頻度が高かった最も一般的な、治療との因果関係が否定できないと判断された有害事象は、頭痛(28%)、発熱(25%)、口腔咽頭痛(17%)、鼻咽頭炎(11%)、無力症(8%)、便秘(8%)、悪心(8%)でした。

 さらに、非盲検期の中間結果が今回の論文に発表されており、その結果によると、LDLコレステロールとnon-HDLコレステロールに更なる改善が認められました。二重盲検期にATLとLDLコレステロールの値が持続的に上昇していたプラセボ群の患者さんが、非盲検期に移行しsebelipase alfaによる治療を開始したところ、ALTとLDLコレステロールの値が顕著に低下しました。非盲検期におけるsebelipase alfaの安全性プロフィールは、二重盲検期で認められたものと同様でした。


■ライソゾーム酸性リパーゼ欠損症(LAL欠損症、LAL-D)について
 LAL-Dは深刻な病態や早期死亡に関連する、遺伝性、慢性および進行性の代謝性超希少疾患です。LAL-D患者さんでは、遺伝子変異によりLAL酵素活性が低下するため、重要臓器や血管、その他の組織にコレステロールエステルやトリグリセリドが著しく蓄積します。その結果として組織の線維化、肝硬変、肝不全、急速に進行するアテローム性動脈硬化症、心疾患やその他の深刻な疾患を含む、複数の臓器への進行性の障害をもたらします(参考文献2、3)。

 LAL-Dはあらゆる年齢の患者さんに影響を及ぼし、乳児期から成人期にわたって臨床症状が現れ、突発的かつ予想不可能な臨床的合併症が現れる可能性があります。乳児の患者さんでは、深刻な成長障害、肝線維症、肝硬変、死亡(死亡年齢中央値3.7ヵ月)がみられます(参考文献6)。
 ある観察研究によると、小児および成人のLAL-D患者さんの約50%が3年以内に組織の線維化、肝硬変、肝移植に至っています(参考文献7)。LAL-Dの発症年齢は5.8歳(中央値)であり、簡易血液検査で診断できます(参考文献4,8)。


■Sebelipase alfaについて
 Sebelipase alfaはLAL-Dの根本的な原因に対処すべくデザインされた、革新的な酵素補充療法です。Sebelipase alfaは肝臓を含む体内組織のライソゾーム内における基質の蓄積の減少を図り、それにより重要臓器への障害、早期死亡を防ぎます。

 Sebelipase alfaは欧州連合であらゆる年齢のLAL-D患者さんの治療薬として承認されています。FDAは乳児のLAL-Dを適応としてsebelipase alfaをブレークスルー・セラピー(画期的治療薬)に指定し、sebelipase alfaのBLAの優先審査を受理しました。さらに日本では、厚生労働省にNDAを提出しています。


■アレクシオンについて
 アレクシオンは、重篤な希少疾患を抱える患者さんの生活を一変させる治療薬の開発と提供に注力するグローバルなバイオ製薬企業です。アレクシオンは、致命的な2つの超希少疾患である発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)および非定型溶血性尿毒症症候群(aHUS)の治療薬として初めてかつ唯一承認されている補体阻害薬ソリリス(R)(エクリズマブ)を開発し、製造販売しています。また、アレクシオンは、ライソゾーム酸性リパーゼ欠損症(LAL-D)に対するsebelipase alfaと低ホスファターゼ症(HPP)に対するストレンジック(R)(アスホターゼ アルファ)を含む最先端のグローバルな代謝性希少疾患フランチャイズも構築しています。さらに、アレクシオンは、複数の治療領域にわたる極めて革新的な製品候補を擁し、バイオテクノロジー業界において最も強固な希少疾患パイプラインを進展させています。補体阻害領域におけるグローバルリーダーとして、アレクシオンはその他の重篤な超希少疾患領域におけるソリリスの潜在的適応の評価など、広範なプラットフォーム全体において補体阻害薬ポートフォリオの強化と拡大を進めています。本プレスリリースとアレクシオン関する詳細については http://www.alexion.com (英語)をご覧ください。


■将来予測に関する記述
 本プレスリリースには、LAL欠損症(LAL-D)に対するsebelipase alfaの潜在的な医学的ベネフィット、FDAの審査プロセスに関する予測、FDAのレビュー結果ならびに2015年の予想財務結果に関するガイダンスに関する記述など、将来予測に関する記述が含まれています。将来予測に関する記述は、諸要因による影響を受け、これらの要因により将来予測に関する記述がアレクシオンの結果および計画と異なる可能性があります。これらの要因として、LAL欠損症の治療薬としてのsebelipase alfaの上市に関する販売承認または重大な制限に関する規制当局の決定、LAL欠損症の治療薬としてのsebelipase alfaに対しての十分な製造能力の手配と商業インフラの確立の遅れ、臨床試験の結果からより広く多様な患者集団でのsebelipase alfaの安全性と有効性に関する結果が予測できない可能性、第三者の支払者(政府機関など)がsebelipase alfaの使用に対して容認できる比率で償還金を支払わないかまったく支払わないリスク、sebelipase alfaを使用する患者数の推定とsebelipase alfaを使用する患者の疾病の自然史に関する所見が不正確なリスク、ならびに米国証券取引委員会にアレクシオンが提出した報告書の中で適時記載したさまざまなリスクなどがあります。このリスクにはアレクシオンの2015年6月30日に提出されたFrom 10-Q四半期報告書に記載したリスクに限定されません。アレクシオンは、法律に基づき義務が生じた場合を除き、この将来予測に関する記述を見直し、本プレスリリースの発表後に発生した事象または状況を反映する予定はありません。


■参考文献:
1.Burton BK, Balwani M, Feillet F, et al. A phase 3 trial of sebelipase alfa in lysosomal acid lipase deficiency. N Engl J Med 2015; 373:1010-20.

2.Bernstein DL, et al. Cholesteryl ester storage disease: review of the findings in 135 reported patients with an underdiagnosed disease. J Hepatol. 2013;58:1230-43. doi:10.1016/j.jhep.2013.02.014.

3.Reiner Z, et al. Lysosomal acid lipase deficiency ? an under-recognized cause of dyslipidemia and liver dysfunction. Atherosclerosis. 2014;235:21-30. doi:10.1016/j.atherosclerosis.2014.04.003.

4.Burton et al. Clinical Features of Lysosomal Acid Lipase Deficiency - a Longitudinal Assessment of 48 Children and Adults. Journal of Pediatric Gastroenterology & Nutrition (2015). doi:10.1097/MPG.0000000000000935

5.Kanuma Summary of Product Characteristics.

6.Jones S, et al. Severe and rapid disease course in the natural history of infants with lysosomal acid lipase deficiency. MolGenet Metab. 2014 Feb;111(2):S57-58.

7.Data on file. Study LAL-2-NH01.

8.Hamilton J, et al. A new method for the measurement of lysosomal acid lipase in dried blood spots using the inhibitor Lalistat 2. Clin Chim Acta. 2012;413:1207-10. doi:10.1016/j.cca.2012.03.019.

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