【岡山理科大学】恐竜の内臓の進化に新説提唱 ~「胃石」のカタチが語る胃の歴史~

    調査・報告
    2026年7月23日 10:10

     岡山理科大学恐竜学科の髙崎竜司助教を中心とした国際研究グループは、恐竜化石とともに見つかる「胃石」に注目し、その摩耗度合いによって、恐竜類がどのようにして食べ物を消化、吸収していたのかという恐竜の胃の進化過程に迫る仮説を提唱する論文を発表しました。現生動物の胃石とも比較し、恐竜たちはグループごとに異なる方法で食べ物を利用していたとみられることが判明。今後、歯やあごの形の特徴などと組み合わせることで、恐竜が食べ物をどのように処理していたのかを、より多角的に明らかにできると期待されます。

     研究グループによれば、恐竜の内臓は化石として残っている例がほとんどなく、食べ物を体内でどのように消化・吸収していたのかは、推定が難しい問題。この研究では「胃石」に注目し、現生の鳥類とワニ類における胃石の形、食べ物、胃の筋肉量のデータをまとめて解析した結果、角の取れた胃石は、植物をすり潰すための筋肉質な胃の中で摩耗した結果、丸みを帯びた可能性が示されました。

     要するに、丸い胃石を持つ種には強力な胃をもつ植物食、角張った胃石を持つ種には昆虫なども含む肉食性の傾向が見えました。この結果を恐竜の化石記録に応用すると、歯を失った獣脚類(鳥類に至るグループ)の多くは丸い胃石を持っており、体内で植物をすり潰して消化していた可能性が見えてきました。これは、ニワトリなど現代の鳥類が「砂肝」と呼ばれる強力な胃を使って植物をすり潰す仕組みと同じです。
     一方で、恐竜たちはみな同じように食べ物を消化していたわけではありません。歯で処理するもの、胃で処理するもの、腸内で時間をかけて処理するものなど、グループごとに異なる消化戦略、そして胃の進化過程をもっていた可能性が見えてきました。

     獣脚類が進化の初期から繰り返し筋肉質な胃を獲得した一方、他の植物食性の恐竜類は異なる消化戦略をもっていた可能性も見えてきました。有名なトリケラトプスの遠縁であるプシッタコサウルスや、体⾧ が20メートルを超える超巨大恐竜、竜脚類からは多くの胃石が見つかっていますが、その多くが角張っており、 筋肉質の胃をもっていなかったと考えられます。これらの恐竜では発達した歯や顎、⾧い消化管の中で時間をかけて植物を発酵させるといった、筋肉質な胃と胃石に依存しない消化システムをもっていた可能性があります。
     
    論文名: Gastrolith shape as an indicator of digestive function and its implications for dinosaurian digestive strategies
    著者名: 高崎竜司(岡山理科大学)、 小林快次(北海道大学)、 アンソニー・フィオリロ(ニ ューメキシコ自然史科学博物館)、 ツクトバートル・チンゾリグ(ノースカロライナ州立博物館)、グレゴリー・ファンストン(ストーニーブルック)。
    雑誌名: Paleobiology
    DOI: DOI: https://doi.org/10.1017/pab.2026.10112

    恐竜類の胃石写真の接写。DはCを拡大した部分(タルボサウルス)
    恐竜類の胃石写真の接写。DはCを拡大した部分(タルボサウルス)
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