倉敷芸術科学大学生命科学部環境生命科学科の楢村友隆教授(腎臓内科学、臨床工学)が、株式会社イチネン製作所(東京支社:東京都港区芝浦四丁目2番8号)と共同で、人工透析施設における安全管理体制の強化を目的とした「透析施設専用塩素ガス検知装置」を開発しました。
本装置は、透析関連装置および透析液配管系統の洗浄・消毒工程において発生する可能性のある塩素ガスを、安価かつリアルタイムに測定できる革新的なモニタリングシステムです。透析医療現場における事故リスクの低減と、患者および医療従事者の安全確保への貢献が期待されています。
透析医療を支える「洗浄・消毒」の重要性と潜在的リスク
腎臓の機能が低下もしくは廃絶し、人工透析治療を必要とする患者数は国内で約33万人、腎臓の機能を代替する人工透析治療を行っている病院・診療所(以下、透析施設)は国内で約4,500施設に上ります。
透析施設では、透析液が流れる配管系統の衛生状態を維持するため、日常的に洗浄・消毒が行われています。その工程では、洗浄・消毒剤として次亜塩素酸ナトリウム溶液などの「塩素系薬剤」と酢酸・過酢酸などの「酸系薬剤」の両者が使用されており、透析医療の安全性を支える重要な役割を担っています。
一方で、これらの薬剤は取り扱いを誤ると重大な事故につながる危険性を有しています。近年、透析施設において、塩素系薬剤と酸系薬剤の誤混合による塩素ガス発生事故が相次いで報告されており、これまで潜在的なリスクとして認識されていた課題が現実のものとなっています。
塩素ガスは、濃度や曝露時間によっては呼吸器障害や重篤な健康被害を引き起こす有毒ガスであり、高濃度環境下においては生命を脅かす危険性もあります。そのため、塩素ガス発生の有無を迅速かつ正確に把握し、早期対応につなげる仕組みの構築が透析医療現場における喫緊の課題となっていました。
「見えない危険」を可視化する新技術
こうした課題を受け、人工透析治療の専門家であり臨床工学技士でもある倉敷芸術科学大学の楢村友隆教授と株式会社イチネン製作所は、透析施設における安全管理の新たなソリューションとして、微量な塩素ガスをリアルタイムで測定可能な検知装置を共同開発しました。
本装置は、従来の測定方法と比較して導入しやすい低コストを実現しながら、高い応答性を備えていることが特長です。透析液を製造する機械室や施設内の空気環境を常時監視し、微量な塩素ガスの発生を即座に検知することで、異常発生時には迅速な対応や避難判断、避難誘導を可能にします。
これにより、患者、医療従事者、施設関係者、さらには近隣住民への塩素ガス曝露リスクを最小限に抑え、安全な医療環境の維持に大きく寄与することが期待されています。
また、本技術は透析施設に限らず、塩素系薬剤や酸系薬剤を併用して取り扱う医療機関、研究施設、産業分野など幅広い領域への応用可能性を有しており、今後の展開にも大きな期待が寄せられています。
学会展示で初公開
本装置は、2026年6月19日(金)から21日(日)まで神戸市で開催される「第71回日本透析医学会学術集会・総会」で展示される予定で、透析医療の安全性向上に向けた新たな取り組みとして、多くの医療関係者から注目を集めることが予想されています。
楢村友隆教授の談話■
透析医療の現場では、透析液の高度な衛生管理が日々実践されています。その一方で、薬剤の取り扱いに伴う化学的リスクへの対応も重要な課題となっています。本装置は、塩素ガスという“見えない危険”を可視化し、治療を受ける患者様や現場で働く医療従事者の安全確保に貢献することを目指して開発しました。本装置が、安全で質の高い医療環境の実現に寄与することを期待しております。
【製品名】
・透析施設専用ガスバスター GB-CL-2(右写真)
【主な特長】
・微量な塩素ガスをリアルタイムに検知しブザーで警告
・常時監視による迅速な異常検知
・避難判断、避難誘導を支援
・導入しやすいコスト設計と、どこにでも設置可能なコンパクト設計
・透析施設の安全管理体制強化に貢献

【製造元】
・株式会社イチネン製作所(東京支社:東京都港区芝浦四丁目2番8号)
【総販売元】
・大阪佐々木化学株式会社(本社:大阪府大阪市中央区道修町一丁目5番12号)
【第71回日本透析医学会学術集会・総会】
・2026年6月19日(金)~21日(日)
・会場は神戸ポートピアホテル、神戸国際会議場、神戸国際展示場ほか
・本装置は神戸国際展示場の旭化成メディカル株式会社展示ブース内で展示されます。
■本リリースに関するお問い合わせ先
倉敷芸術科学大学 入試広報部 沖本
Mail: koho@kusa.ac.jp
Tel:086-440-1113


















