メンタル不調による休職者の離職率が60% ~若年層の休職・離職傾向と健康経営の効果を分析~
近年、精神疾患による休業、傷病手当金の増加及び休業後の離職は、企業及び保険者にとって重要な課題となっております。
全国健康保険協会京都支部(以下、「協会けんぽ京都支部」という。)では、精神疾患を理由とした傷病手当金※データ(以下「メンタル傷手」という。)を分析し、休職者の特徴や受給終了後の離職傾向について調査を行いました。分析の結果から、精神疾患による休業および離職の抑制に向けた効果的な方策について考察、弊協会主催の調査研究フォーラムで2026年5月13日に公表しました。
※傷病手当金は、休業中の被保険者とその家族の生活を保障するために設けられた制度で、被保険者が病気やケガのために会社を休み、事業主から十分な報酬が受けられない場合に支給されます。
出典:全国健康保険協会京都支部「2020年4月~2024年3月支給分の傷病手当金データ」
▼第12回協会けんぽ調査研究フォーラム
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/disclosure/statistics/forum/no12/
■分析結果のポイント
(1)20~30代のメンタル傷手申請件数が多数
(2)メンタル傷手の受給中、または受給終了後3か月以内の離職率が約60%
(3)健康経営の取組がメンタル不調による離職防止につながる可能性が示唆
■使用データ
・2020年4月~2024年3月支給分(4年分)の傷病手当金データのうち、傷病名がICD10分類の「F(精神及び行動の障害)」である申請書が対象(約9,000人)
・加入者(性別・年齢)、事業所データ(事業所規模・健康宣言の有無)については、2024年度末時点の情報
■分析項目
・「メンタル傷手の1,000人当たり申請件数(以下、「申請件数」)」
・「メンタル傷手受給中又は受給終了後3か月以内の資格喪失率(以下、「喪失率」)」
※性別、年齢階級別、業態別、事業所規模別、健康宣言の有無別に集計。
※喪失率については、健康宣言の有無別にカイ二乗検定調整済み残差分析を行うとともに、メンタル傷手受給中又は受給終了後3か月以内の資格喪失有無を従属変数に、性別、年齢、健康宣言の有無、事業所規模(50人未満・以上で分類)を独立変数として多重ロジスティック回帰分析(SPSS Statistics Ver26)を実施。
(1)20~30代の申請件数が多数
年齢階級別の申請件数では、男女ともに20~30代が最多となっており、若年層のメンタル不調が深刻な課題となっています。
入社直後やキャリア形成期にあたるこの年代は、職場の人間関係・業務過多・役割の変化などがストレス要因になりやすい傾向があります。
年齢が上がるにつれて申請件数は減少しますが、50~60代においても一定数の申請が継続しています。

【年齢階級別申請件数(1,000人当たり)】
(2)受給中又は受給終了後3ヶ月以内の離職率は男女ともに約60%
メンタル不調による傷病手当金受給者のうち、受給中~受給終了後3ヶ月以内に資格喪失(離職等)した割合は男性54.2%・女性59.9%にのぼります。休職中や復職後も見据えた継続的な復職支援体制づくりが重要です。
年齢階級別の離職は、若年層と高齢層で多く、40~50代で少ない傾向が確認されました。

【年齢階級別 受給終了後3か月以内の喪失率】
(3)健康経営が離職防止につながる可能性
健康宣言事業所※では、男女ともメンタル傷病手当金受給中または受給終了後3か月以内の資格喪失率が、未宣言事業所と比較して低い(P<0.05)傾向が確認されました。
さらに、性別や年齢、支給日数、事業所規模などを調整した多重ロジスティック回帰分析においても、健康宣言事業所の資格喪失率は有意に低く(P=0.017)、健康経営への取り組みがメンタルヘルス不調者の離職防止や復職支援につながる可能性が示唆されました。
※健康宣言事業所…協会けんぽ加入事業所の中で、健康経営に取組むことを事業主が宣言した事業所。京都支部においても、健康宣言事業所向けに様々な健康経営サポートを行っております。

【健康宣言の有無別 受給終了後3か月以内の喪失率】
【全国健康保険協会京都支部 概要】
名称 :全国健康保険協会京都支部
代表者 :支部長 守殿 俊二
所在地 :〒600-8522
京都府京都市下京区四条通麩屋町西入立売東町28-2
大和証券京都ビル2階

















