ウズベキスタンのミルジヨーエフ大統領は記念すべき第80回国連総会で演説し、世界の国々に対して連帯と開かれた対話、緊密なパートナーシップを訴えました。
大統領は、国際機関の役割の弱体化、紛争や戦争の増加、社会・技術格差の拡大、経済・人道危機の深刻化など、世界的に増大する課題について言及しました。この点に関連して、大統領は妥協点を見出すための主要なプラットフォームとしての国連の重要性を強調し、開発途上国の利益を考慮して、安全保障理事会の構成の拡大を提案しました。
国連総会で演説するミルジヨーエフ大統領
■「新生ウズベキスタン」の成果と目標
ミルジヨーエフ大統領は、ここ数年で貧困率は35%から6.6%に下がり、教育の普及が大幅に拡大し、「グリーン」エネルギーやイノベーション産業が飛躍的に発展しているなど国内で実施されている大規模な変革の成果について詳しく説明しました。また、2030年までにウズベキスタンが世界銀行の所得グループの分類のうち、高中所得国に入ることを目標としていることを強調しました。
そして、大統領はウズベキスタンで「専門教育世界サミット」、小児がん対策の国際イベントを開催すること、「アジア女性フォーラム」を定期開催の行事としていくことを提案しました。
■地域協力と安全保障
大統領は、国境の開放、貿易と投資の拡大、共同インフラプロジェクトの実施など、中央アジアで前向きな変化が起きていることを特に強調し、中央アジアにおける地域パートナーシップと統合の推進を支援する決議を国連総会で採択するよう提案しました。
世界および地域の安全保障に関する問題については、アフガニスタンの状況に触れ、アフガニスタン国民が望んでいる平和で平穏な生活の実現を支援するため、国際社会の結束を呼びかけるとともに、同国を孤立させてはならないと強調しました。
ウズベキスタンは、アフガニスタンで大規模な経済・インフラプロジェクトを実施することを計画しており、大統領はアフガニスタン領内を通過する国際輸送・エネルギー回廊の開発に関する国連特別決議の採択を提案しました。
人道危機が深刻化しているガザ地区については、軍事行動の停止と政治交渉の継続を呼びかけ、国連決議による「二国家解決」の原則の実現を強く支持すると述べました。
ウクライナ情勢については深刻な懸念を表明する一方、外交的手段による解決に向けたハイレベルな対話が始まったことを歓迎しました。
■気候と持続可能な発展
大統領は、アラル海の環境問題による深刻な影響について国際社会の注意を喚起しました。近年、水が枯渇した湖底200万ヘクタールが植林され、2030年までに80%を緑地化する計画です。
大統領は、ウズベキスタンで世界水フォーラムを開催し、水資源の危機を克服するためのグローバルな「ロードマップ」を策定することを提案しました。また、気候変動による移住対策に関する国際条約の採択を呼びかけ、AI技術を共有するための国際メカニズムの創設を提唱しました。
■若者と文化遺産
大統領は特に若者を大切にしており、「世界の若者」運動を立ち上げ、タシケントに本部を置くことを提案しました。また、文化・人道分野では、イスラム文明センターを開設し、中央アジアの偉大な思想家や科学者たちの豊かな遺産を国連に紹介するという意向を示しました。
■終わりに
最後に、ミルジヨーエフ大統領はウズベキスタンは引き続き、世界のすべての国々との連帯、開かれた対話、パートナーシップを支持し、民族、文化、文明間の信頼強化に貢献していくと強調しました。