JMDCと住友生命、リアルワールドデータを用いた 「新型コロナウイルス実態調査レポート」を公表
株式会社JMDC(本社:東京都港区、代表取締役社長兼CEO:野口 亮、以下「JMDC」)と住友生命保険相互会社(本社:大阪府大阪市、取締役 代表執行役社長:高田 幸徳、以下「住友生命」)は、健康・生活習慣と新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)の関係性および治療実態を示す調査を実施し、その結果をまとめた「新型コロナウイルス実態調査レポート」を公表※いたしました。
「新型コロナウイルス実態調査レポート(以下「本レポート」)」は、2023年5月8日に新型コロナが感染症法上「五類感染症」に移行した後も感染の波が繰り返されている現状を踏まえ、新型コロナの発症および重症化予防・治療実態に関するエビデンスを提供することを目的としています。
本レポートは、約1,000万人の医療ビッグデータを用いた分析であり、リスク因子として、高血圧などの生活習慣病および歩行や睡眠などの生活習慣を用いています。新型コロナの重症度を診断、投薬、入院、ICU(集中治療室)入院の4段階で定義している点、家族人数別の家庭内感染率を解析している点、およびインフルエンザとの比較により新型コロナの治療実態を明らかにした点が本レポートの特徴です。
※ 「新型コロナウイルス実態調査レポート」全編は下記URLよりご参照ください。
https://www.jmdc.co.jp/terms/covid19_report_202508.pdf
1. 調査結果の概要
a. 100人中約13人が新型コロナの診断を受ける
・2024年の新型コロナの診断発生率は12.98%と、100人中約13人が新型コロナ診断。
・投薬の発生率は診断発生率の約10分の一の1.26%。
重症度別の新型コロナの発生率
b. 2024年の診断発生率は流行初期よりも増加
・新型コロナの流行は、オミクロン株によって爆発的に拡大し、その後は収束傾向と言われるが、診断発生率は五類感染症への移行など社会全体が検査や診療を受けやすい環境へと変化したことなどの影響からか、流行初期である2020年~2022年平均と比べると増加している。
・また、投薬件数も治療薬の普及に伴い増加傾向にある。
感染ピーク時との発生率の比較
c. 生活習慣病は新型コロナ感染時の重症化リスクを高める
・降圧薬使用者は使用していない人に比べて診断発生率は1.11倍、投薬発生率は1.64倍、入院発生率は2.40倍、ICU入院発生率は3.36倍高い。
・糖尿病治療薬使用者は使用していない人に比べて診断発生率は1.01倍、投薬発生率は1.74倍、入院発生率は2.60倍、ICU入院発生率は4.11倍高い。
・脂質異常症治療薬使用者は使用していない人に比べて診断発生率は1.12倍、投薬発生率は1.54倍、入院発生率は1.57倍、ICU入院発生率は1.18倍高い。
d. 歩行習慣や睡眠休養感がないと、新型コロナのリスクは高まる
・歩行習慣がない人は歩行習慣がある人に比べて、診断発生率は1.07倍、投薬発生率は1.12倍、入院発生率は1.25倍、ICU入院発生率は1.36倍高い。
・睡眠休養感がない人は睡眠休養感がある人に比べて、診断発生率は1.12倍、投薬発生率は1.18倍、入院発生率は1.16倍、ICU入院発生率は1.01倍高い。
新型コロナのリスク因子と相対リスク
e. 家族の人数が増えると、家庭内感染率は増加し、免疫力が低い家族がいる場合、感染の影響が深刻化する可能性家族の人数が増えると、家庭内感染率は増加する
・家族の人数が増えると、家庭内感染率(家族内で誰かひとりが感染した場合に他の家族が1人以上感染する確率)は増加する傾向にある。免疫力が低い家族がいる場合、感染の影響が深刻化する可能性がある。
家族人数別の家庭内感染率
f. 新型コロナ患者数は1,500万人超と、インフルエンザ患者数を超える
・2024年日本人口を用いて拡大推計(75歳以上の患者数は70~74歳有病率で推計)すると、新型コロナ患者数は1,500万人超、インフルエンザ患者数は約1,200万人。
代表的な感染症との比較
g. 新型コロナ患者で治療薬が処方されている人は10人に一人
・新型コロナ治療薬全体の使用率は約9.7%、抗ウイルス薬に限定すれば使用率は約7.5%。
治療薬の使用率
2. 今後の展開
今後も引き続き、JMDCが有する国内最大級の医療ビッグデータを活用した各種調査を通じ、「社会課題に対しデータとICTの力で解決に取り組むことで、持続可能なヘルスケアシステムの実現」というJMDCの描く未来の実現と、「データの社会実装」に資する取り組みを推進してまいります。
【株式会社JMDCについて】
医療ビッグデータ業界のパイオニアとして2002年に設立。独自の匿名化処理技術とデータ分析集計技術を有しています。15億7,300万件以上のレセプトデータと7,600万件以上の健診データ(2025年3月時点)の分析に基づく保険者向け保健事業支援、医薬品の安全性評価や医療経済分析などの情報サービスを展開しています。また、健康度の単一指標(健康年齢)や健康増進を目的としたWebサービス(Pep Up)など、医療データと解析力で健康社会の実現に取り組んでいます。
【住友生命保険相互会社について】
住友生命は、身体的、精神的、社会的、経済的に満たされた「一人ひとりのよりよく生きる=ウェルビーイング」を支えるWaaS(Well-being as a Service)をエコシステムとして展開することで、未来に続く住友生命ならではの価値の実現を目指しています。具体的には、中核となる“住友生命「Vitality」”の推進に加え、病があっても幸せに、齢を重ねても幸せにという観点からオープンイノベーションを推進しています。今後は、「Well-Aging」も含めた価値提供範囲の拡大を通じ、ウェルビーイング価値をお届けするお客さまを増やしていきます。