JMDC、健康状態・生活習慣と仕事のパフォーマンスの相関関係を 大規模データ分析で確認

    ~ BMI区分や睡眠休養感が、仕事のパフォーマンスと関連する可能性を示唆 ~

    調査・報告
    2025年12月22日 15:30

    株式会社JMDC(本社:東京都港区、代表取締役社長兼CEO:野口 亮、以下「JMDC」)は、2025年6月にPHRサービス「Pep Up」のユーザー向けに、幸福度や仕事のパフォーマンスについて尋ねる「ウェルビーイングに関するアンケート」を行い、個人の主観データを取得しました。医療データと個人の主観データをID単位で紐づけて取り扱えるPep Upの分析基盤を活用し、健康診断結果・レセプトデータと掛け合わせた分析をしたところ、身体的な健康や生活習慣と、パフォーマンスや幸福度との関係に一定の傾向が確認されました。本リリースでは、確認された傾向のうち一部の内容を取り上げています。



    ■背景

    現代の働く人々の健康課題は深刻化しています。長時間労働等による生活習慣の乱れが肥満や睡眠不足等につながり、更にはそうした状態が仕事のパフォーマンスにも影響する可能性が指摘されています。しかし従来は、保険者が管理しているレセプトデータや健康診断で分かる情報と、企業で管理しているメンタルヘルスやワーク・エンゲージメント、仕事のパフォーマンス等は分断して管理されがちであり、直接的な関係性を分析することが困難でした。

    しかしこの度、医療データと個人の主観データをID単位で紐づけて解析できるPep Upの分析基盤を使った分析により、それらのデータの間に一定の関連性が確認されました。


    なお、本結果はあくまで仮説生成を目的とした探索的分析であり、因果関係を示すものではありません。今後、学術的な検討や論文化を行う際には、より精緻な分析を実施する予定です。



    ■分析結果

    1. BMI※1とプレゼンティーイズム※2・幸福度の関連性

    <普通体重を維持できている人は、生産性が高い>

    普通体重の群は、仕事の生産性を表すSPQ※3を90以上と回答した人の割合が37%と最も高い結果になりました。特に低体重の群では、SPQを90以上と回答した人の割合が32%と最も低く、肥満への対応に加え、やせの状態にも配慮が必要であることが示唆されました。


    ※1 「BMI」:BMI(Body Mass Index:体格指数)は、体重(kg)÷身長(m)^2で算出される体格の指標。本リリースでは、BMI18以上25未満を「普通体重」、18未満を「低体重」、25以上を「肥満」と定義している

    ※2 「プレゼンティーイズム」:何らかの疾患や症状を抱えながら出勤し、業務遂行能力や生産性が低下している状態のこと

    ※3 「SPQ」:SPQ(Single-item Presenteeism Question)は、健康上の問題による仕事の生産性低下を、自己評価で測定する指標。0~100点で回答し、点数が低いほど健康影響による生産性低下が大きい状態


    BMIとプレゼンティーイズムの関連性

    BMIとプレゼンティーイズムの関連性


    <普通体重を維持できている人は、幸福度が高い>

    続いて、普通体重の群は、幸福度を10点満点で自己評価するスコアが平均6.92と最も高く、低体重や肥満群のユーザーは普通体重のユーザーに比べてスコアが低い結果になりました。このことから、適正体重の維持が主観的な幸福度と関連している可能性が示唆されます。


    BMIと幸福度の関連性

    BMIと幸福度の関連性


    2. 睡眠と生産性の関連性

    <十分な睡眠が取れている人ほど生産性や幸福度が高い>

    睡眠休養感「あり」と答えた群※4は「なし」と答えた群と比べて、プレゼンティーイズム(SPQ)・アブセンティーイズム※5・幸福度のいずれもが良好な結果となりました。

    このことから、従業員の睡眠改善を促進する支援は、従業員のパフォーマンスアップとして効果的な投資になり得る可能性が示唆されます。


    睡眠と生産性の関連性

    睡眠と生産性の関連性


    ※4 健康診断の問診の「睡眠で休養が十分とれている」という設問で「はい」と答えた方

    ※5 「アブセンティーイズム」:病気や体調不良等を理由として、欠勤や遅刻・早退が生じ、労働時間や業務遂行が失われている状態を指す。当アンケートでは、昨年1年間に自分の病気で何日仕事を休んだかを回答



    ■今後の展開

    今後も引き続き、JMDCは国内最大級の医療ビッグデータを用いたエビデンスの創出とPHRを軸とした企業の健康経営ソリューションの提供により、企業の健康投資の推進と人的資本経営の実践を強力に支援し、「社会課題に対しデータとICTの力で解決に取り組むことで、持続可能なヘルスケアシステムの実現」というJMDCの描く未来の実現と、「データの社会実装」に資する取組を推進してまいります。



    【アンケート概要】

    ●アンケート期間:2025年6月5日~6月20日

    ●対象者    :Pep Upユーザー

    ●回答総数   :35,514名

    (分析対象:企業正社員27,357名、うち健診データ連携あり:25,370名、連携率92.7%)



    【株式会社JMDCについて】

    医療ビッグデータ業界のパイオニアとして2002年に設立。独自の匿名化処理技術とデータ分析集計技術を有しています。15億7,300万件以上のレセプトデータと7,600万件以上の健診データ(2025年3月時点)の分析に基づく保険者向け保健事業支援、医薬品の安全性評価や医療経済分析などの情報サービスを展開しています。また、健康度の単一指標(健康年齢)や健康増進を目的としたWebサービス(Pep Up)など、医療データと解析力で健康社会の実現に取り組んでいます。

    URL: https://www.jmdc.co.jp/



    【Pep Upについて】

    Pep Up(ペップアップ)は、JMDCが健康保険組合向けに開発・提供しているPHRサービスです。Pep Upユーザーにおいては、スマートフォンアプリ等の手元の健康診断の結果や医療費のデータから自らの健康状態に関する気づきをご提供することができ、活動量計や様々な健康増進メニューによる意識変容や行動変容を促進しております。また、保険者においては、紙や対面で実施してきた業務の負荷軽減に貢献しています。

    URL: https://stories.jmdc.co.jp/pepup

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