データセンターの省電力化・高速大容量化に貢献する 「オンボード光電気集積モジュール」を開発 世界初※ 512Gbpsの伝送帯域を実現

    技術・開発
    2022年9月29日 17:15

     京セラ株式会社(代表取締役社長:谷本 秀夫)は、データセンターなどのサーバー内のプリント配線板に搭載し、電気信号を光信号に変換して送受信する、「オンボード光電気集積モジュール」を開発しましたのでお知らせいたします。本開発品は、小型化を実現することでプリント配線板の中でもプロセッサ付近に搭載することが可能です。これにより、プロセッサから出力する電気信号をより早い段階で光信号に変換し、電気信号で送受信する際に発生する配線損失を減らすことが可能となります。さらに京セラは、512 ギガビット/秒(Gbps)の伝送帯域を世界で初めて※実現し、データセンターやスーパーコンピュータなどの省電力化・高速大容量化に貢献します。

    ※拡張インターフェース規格PCIe gen5の対応製品において(2022年9月 京セラ調べ)


    ■オンボード光電気集積モジュールの開発に関する動画

     https://www.youtube.com/watch?v=8vAe3ExWZSI


    ■開発背景

     現在、AI・IoTなどの活用や5Gなど新たな通信規格の普及拡大に伴いインターネットの通信量は急激に増加しており、データセンターの高速大容量化が求められています。しかし、それに比例してデータセンターでは多くの電力が消費され、省電力化も大きな社会課題となっています。

     京セラがこのたび開発したオンボード光電気集積モジュールは、サーバー内のプロセッサ付近に搭載が可能な小型サイズを実現し、信号伝送を早い段階で光配線化するため、省電力な信号伝送が可能です。また、512Gbpsという伝送帯域を実現したため、データセンターの高速大容量化に貢献します。

     今後、自動運転やメタバースなどの通信に対応するには、タイムラグが発生しないよう、ユーザー端末の近くに分散配置したサーバーで処理をする必要があり、様々な場所にデータセンターを敷設しなければなりません。本製品は、高速大容量化はもちろん小型化も実現したことで、省スペース化にも貢献。都心など限られたスペースでのデータセンターの敷設に寄与します。

     

    ■開発品の特長

    【特長1】省電力化

    通常、電気信号の送受信には銅製の配線を使用しますが、信号損失が大きく、実際に送信できるデータ量以上の出力が必要でした。オンボード光電気集積モジュールを搭載することで、プロセッサから送られる信号をすぐに損失の少ない光配線化することができ、また受信の際もプロセッサに届く直前まで光信号で受信することができます。そのため、配線損失および出力が少なく済み、消費電力を抑えることが可能となります。


    【特長2】高速大容量化

    現在商品化されている既存のオンボード光モジュールは、100Gbpsを伝送できる製品が最速でしたが、このたびの京セラが開発したモジュールは512Gbpsの伝送帯域を、世界で初めて※実現いたしました。実装用の基板には、当社の低温焼成形セラミック基板(LTCC)を用いており、微細配線、低誘電率、多層化に優れている基板特性を活かし、512Gbpsの伝送帯域を実現しました。


    【特長3】省スペース化に貢献

    基板サイズ43.5×30×8.1mmの小型化を実現。また、512Gbpsの伝送帯域を実現したため、限られたスペースでも大容量伝送が可能となり、データセンターの省スペース化に貢献します。


    ■「オンボード光電気集積モジュール」概要

    伝送容量
    32Gbps/チャネル × 16チャネル、
    計512Gbpsの光送信と受信
    サイズ    
    43.5 × 30 × 8.1 (mm)
    (4組の光ファイバアレイを除く)  
    電気インターフェース
    電源配線と信号線を接続する高速高密度コネクタプラグを裏面に搭載  
    光インターフェース    
    4組の8チャネルマルチモード光ファイバ、
    各4チャネルの光送信と受信
    消費電力    
    9W、18mW/Gbpsに相当
    信頼性
    Telcordia GR-468-CORE準拠


    ■今後の展開

    京セラは今後、各社との実証実験を重ね、本開発品の早期の社会実装を目指してまいります。また、絶え間なく進化するデジタル社会の課題解決に貢献するため、今後も様々な研究開発に取り組んでまいります。