JESMA-日本エステティックサロン経営学院-

    そもそもエステティックって、何を意味する言葉?

    ■ 前回のお話

    「ソワン」という言葉から考える、美容だけではないエステティックの役割

    1.「エステティック」と聞いて、何を思い浮かべますか?

    「エステティック」と聞いて、多くの方がまず思い浮かべるのは、フェイシャル、痩身、美肌、脱毛といった、外見を美しく整えるサービスではないでしょうか。

    もちろん、それもエステティックが担ってきた大切な役割のひとつです。

    けれど、そもそも「エステティック」という言葉は、外見を変えることだけを意味するものだったのでしょうか。

    2.日本のエステティックは、どのように育ってきたのか

    日本のエステティックは、ひとつの流れだけで形づくられてきたわけではありません。

    1970年代初頭には、国際機関であるCIDESCOとの交流や日本エステティシャン協会(現在の日本エステティック協会)の設立などを通じて、専門教育の体系化が進みました。その一方で、化粧品メーカーなども日本のエステティックの発展に大きく関わり、欧州の美容技術や考え方を取り入れながら、化粧品、美容教育、サロンを通じて日本独自のエステティック文化がかたちづくられていきました。

    さらに、米国で発展した美容電気脱毛を基盤とする技術・教育の流れなど、別の系統も合流しています。心身を総合的に捉える美容の考え方や、専門技術を軸とした教育など、複数の流れが重なり合いながら、日本のエステティックは発展してきたのです。

    3.「ソワン」という言葉に込められているもの

    その歴史の中で大切にされてきた考え方のひとつに、フランス語の「soin(ソワン)」という言葉があります。

    soinには、「手入れ」「ケア」「心遣い」といった意味があります。

    肌を整える。身体に触れる。話を聞く。日々の生活について、一緒に考える。

    こうした行為の根底にあるのは、単に「外見を変える」ということだけではありません。その人に心を配り、手をかけてケアするという考え方です。

    私自身、まだ駆け出しのエステティシャンだった頃、専門誌を通じて「ソワン」という言葉に出会いました。そこから理論や技術をじっくり学べる場所へとたどり着き、多くの学びを得ることができました。
    私にとって「ソワン」は、辞書の中だけにある言葉ではなく、実際の学びを通じて、人から人へと手渡されるように受け継いできた考え方でもあります。

    4.なぜエステティックには「三面美容」という考え方があるのか

    そして、日本のエステティックで大切にされてきた考え方のひとつに、「三面美容」があります。

    三面美容とは、外面・内面・精神面という三つの側面から美容を捉える考え方です。

    外面的ケアはサロンでの施術やホームセルフケアを、内面的ケアは生活習慣や食生活を、精神的ケアはストレス軽減やリラクゼーションを指します。つまり、身体の外観だけではなく、生活習慣や精神面まで含めた、包括的な美容ケアという考え方です。

    私が学んできたエステティックの中にも、心と身体を分けず、「人をまるごと見つめる」という考え方が、ずっと息づいていたのだと、今になって思います。

    エステティックは、肌だけを見ていたわけではなかったのです。

    5.では、なぜ「エステティック=見た目を変える場所」というイメージが強くなったのか

    人を総合的に捉える考え方も大切にされてきた一方で、現在は「痩せる」「小顔」「美肌」「脱毛」といった、見た目の変化を提供するサービスとして認識される傾向が強くあります。

    なぜなのでしょうか。

    広告や集客の場面では、「見た目の変化」はもっとも伝わりやすい価値です。業界自身も、そうした価値をこれまで前面に打ち出してきました。今の「エステティック=外見を変える場所」というイメージをつくってきた一因は、エステティック業界自身にもあるのかもしれません。

    6.美容医療が発展した今、改めて「エステティックとは何か」を考える

    美容医療の選択肢が広がり、美容を目的とした医療技術も発展を続けています。

    では、エステティックも「どれだけ大きく見た目を変えられるか」という同じ方向だけを目指すべきなのでしょうか。

    美容医療とエステティックは、そもそも目的も法的な位置づけも異なります。美容医療は医学的知識・医療技術に基づく医療行為であり、エステティックは非医療領域の美容・リラクゼーション等を担うものです。どちらが優れているという話ではなく、「治療・医療」と「日常に寄り添う美容ケア」という、役割そのものの違いです。

    そのうえで、エステティックだからこそできることがあります。

    継続して人に向き合うこと。手で触れること。話を聞くこと。日常生活に寄り添うこと。自分自身を大切にする時間を提供すること。

    7.エステティックの未来は、「原点回帰」なのかもしれない

    これからエステティックが、美容以外のまったく新しい役割を持つようになる、という話ではありません。

    むしろ、エステティックの社会的役割を広げていくことは、まったく新しいことを始めることではなく、本来大切にしてきたものを、現代の社会でもう一度捉え直すことなのではないでしょうか。

    ソワン。三面美容。人そのものを見るという姿勢。そして、エステティシャンマインド®。

    JESMAが掲げる「エステティシャンマインド®」も、新しく社会的役割を付け加えた概念というより、エステティックの中で大切にされてきた「人に寄り添う姿勢」を、現在のサロン経営や人材育成の中で改めて言語化したものです。

    エステティックは、見た目を変えるためだけのものではありません。

    人に触れ、心を配り、その人が自分自身を大切にする時間を支える。それは、忙しい日常の中で後回しにされがちな「自分を大切にする」という行為に、あらためて向き合う時間でもあります。

    肌の変化はわかりやすく、目に見えます。けれど、サロンで過ごすひとときが、本当に支えているのは、その先にある、その人自身の心と暮らしなのかもしれません。

    話を聞いてもらえた。触れてもらえた。誰かが自分のために時間を使ってくれた。そうした一つひとつの積み重ねが、見た目には映らない安心感や、自分自身を大切にする感覚を支えることもあるでしょう。

    「ソワン」という言葉をたどっていくと、これからのエステティックに求められるものは、実はその原点の中にあるのかもしれません。

    技術が進化し、選択肢が広がる時代だからこそ、「人に寄り添う」という原点に立ち返ることが、エステティックならではの価値を、あらためて際立たせてくれるはずです。



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    ゆうプランド株式会社 
    https://youplando.com/
    電話番号:06-6371-7321
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