矢樹純『夫の骨』(祥伝社文庫)が 第73回日本推理作家協会賞...

矢樹純『夫の骨』(祥伝社文庫)が 第73回日本推理作家協会賞・短編部門受賞!

~小説家デビューから「野良作家」を経て9年目にして受賞~

作家のエージェンシー、アップルシード・エージェンシー(東京都新宿区・鬼塚忠代表)契約作家の矢樹 純(やぎ じゅん)氏が2020年7月9日に発表された第73回日本推理作家協会賞 短編部門を受賞しました。
受賞作は祥伝社から2019年4月に刊行された短編集『夫の骨』の表題作「夫の骨」です。
7月10日に行われたリモート記者会見で、京極夏彦代表理事の代読により発表された、北村薫立会理事からの報告によると「最初から高得点だった。文章に無駄がなく読みやすい、展開に無理がない、などの賛辞が寄せられた(一部抜粋)」との評をいただきました。
矢樹氏の小説家デビューは2012年。デビュー作が売れなかったため、次作を出すことができず、本人いうところの「野良作家」として世に発表する当てのない作品を書いていたうちの一つが受賞作となりました。受賞した短編集『夫の骨』は、書店員や読者の口コミでじわじわと売れ、5回の重版を重ねている作品集です。受賞の報を受けて矢樹氏は自身のブログで下記のように心境を綴っています。

「緊急事態宣言で選考会が延期になるなど大変な状況の中で、様々な調整をしながらこのように作品を選んでいただけたことに、心から感謝いたします。本当にありがとうございました。
自分はデビュー作が売れなかったために最初の版元では次作を出すことができず、その後数年は野良作家として、出す当てのない状態で小説を書いていました。
初めに長編を書き上げて、ある出版社の方に読んでもらったのですがうちでは出せないというお返事で、その時に「短編を書いて力をつけた方がいい」というアドバイスをいただき、短編を書き始めました。「夫の骨」はその頃に、月に1本書くと決めて約1年間書き続けた短編のうちの一つです。
出す当てのない状態で小説を書くというのは、一度作家としてデビューしている身としては、結構つらかったです。「なんでこんなことになったのか」と、デビュー作が売れなかったことやその他諸々の運命を呪いました。
そんな中、本当に書くほどに力がついていくことと、自分の書く作品が面白いと思えたことだけが救いでした。これはいつか、絶対に形になる、世に出せると信じて書き続けました。」
矢樹氏の次作は、今年10月末に、新潮文庫より新作刊行を予定しています。
■「夫の骨」あらすじ
昨年、夫の孝之が事故死した。まるで二年前に他界した義母佳子の魂の緒に搦め捕られたように。血縁のない母を「佳子さん」と呼び、他人行儀な態度を崩さなかった夫。その遺品を整理するうち、私は小さな桐箱の中に乳児の骨を見つける。夫の死は本当に事故だったのか、その骨は誰の子のものなのか。猜疑心に囚われた私は…(『夫の骨』)。短編集『夫の骨』には家族の“軋み”を鋭く捉えた九編を収録。家族と分かり合えないことや、積み重なっていく日常のすれ違いから生まれる思いもかけない事件を描いている。
■矢樹純(やぎじゅん)プロフィール
1976年青森市生まれ。漫画原作者/作家。
実の妹とコンビを組み《加藤山羊》の合同ペンネームで2002年「ビッグコミックスピリッツ増刊」(小学館)にてデビュー。
2012年、第10回「このミステリーがすごい!」大賞大賞の隠し玉として『Sのための覚え書き かごめ荘連続殺人事件』(宝島社)でデビュー。他の著書に『がらくた少女と人喰い煙突』(河出文庫)がある。漫画原作に、テレビドラマ化された『あいの結婚相談所』(小学館)、15万部超のヒット作『バカレイドッグス』(講談社)(電子書籍版を含む)など。プライベートでは3人の子どもの母親でもある。
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