日本のポイントオブケア診断市場2025~2033年、市場規模・企業動向・分析レポートを発表
株式会社マーケットリサーチセンター(本社:東京都港区、世界の市場調査資料販売)では、「日本のポイントオブケア診断市場2025~2033年、英文タイトル:Japan Point-of-Care Diagnostics Market Research 2025-2033」調査資料を発表しました。本資料には、日本市場規模、企業動向、セグメント別予測、市場シェアなどの情報などが盛り込まれています。
■主な掲載内容
日本のポイントオブケア診断(Point-of-Care Diagnostics:POCD)市場は、2024年に8億3,204万米ドルに達し、2033年には19億2,562万米ドルまで拡大すると予測されている。2025~2033年の年平均成長率(CAGR)は9.8%で、市場データの対象期間は2022~2033年、予測期間は2025~2033年とされている。
ポイントオブケア診断とは、中央検査室や大規模病院の検査部門ではなく、患者が実際に診療を受ける場所またはその近くで実施される診断検査を指す。目的は、患者が別の施設へ移動したり、検査結果を長時間待ったりすることなく、迅速かつ信頼性の高い結果を得て、その場で診断や治療方針の決定につなげることである。診療所、病院のベッドサイド、薬局、在宅医療の現場など、従来より分散した場所で検査を行えるため、診断の迅速化、アクセス性向上、医療効率化に寄与する分野として急速に発展している。
日本市場を牽引する主要因の一つは、POCD技術そのものの急速な進歩である。医療システムが、中央の大規模検査施設へ検体を集約する方式から、より迅速で分散型の診療モデルへ移行する中で、POCD機器には高精度化、小型化、操作性向上、複雑な検査への対応などが求められている。日本は電子機器、ロボティクス、精密工学などに強みを持つことから、患者の近くで高い信頼性を確保しながら測定できる小型・高性能診断機器の開発に有利な環境を有している。
特に診断装置の小型化は市場成長に大きく貢献している。従来は検査室に設置されていた大型装置の機能を、携帯型やハンドヘルド型の機器へ移すことで、臨床現場だけでなく在宅などの非臨床環境でもリアルタイムデータを取得できるようになっている。高齢化が進み、地方では医療アクセスの格差も存在する日本において、病院外へ検査機能を持ち出せることは大きなメリットとなる。特に、高齢患者や慢性疾患患者が頻繁に医療機関へ通う負担を軽減できる点が重要である。
具体的には、携帯型血液分析装置、ウェアラブル型バイオセンサー、モバイル尿検査機器などが、糖尿病や腎疾患といった慢性疾患の管理に利用される機会が増えている。これらの技術を患者の自宅で活用すれば、日常的に状態を確認しながら必要な場合だけ医療機関を受診するような管理が可能になり、患者の通院負担を減らすと同時に、病院側の業務負荷も軽減できる。
技術革新の具体例として、QIAGENは2023年4月、QIAstat-Dxシンドロミック検査システムを日本で展開する計画を発表し、SARS-CoV-2を含む呼吸器病原体パネルを提供するとした。QIAstat-Dxは、1人の患者から採取した単一検体について複数の病原体を同時に検査できるシンドロミック検査プラットフォームであり、リアルタイムPCR技術を利用して迅速かつ高精度な結果を提供する。単一の病原体を一つずつ検査する方式に比べ、感染症の原因候補をまとめて調べられるため、臨床判断を迅速化しやすい。
日本では、高齢化と慢性疾患患者の増加という二つの課題が同時に進んでいるため、こうしたPOCD技術は今後の医療提供体制を維持するうえで重要性が高い。病院の検査室だけに依存せず、診療所や在宅環境で診断できれば、限られた医療資源を効率的に活用できる。また、感染症のように診断結果が治療開始や感染対策のタイミングに直結する疾患では、結果が出るまでの時間を短縮できるPOCDの価値は特に大きい。
一方で、日本市場の成長を妨げる大きな要因として、医療機器および体外診断用医薬品・機器に対する厳格で複雑な規制制度が挙げられている。日本では、POCD製品を含む医療機器や体外診断製品を市場投入するには、医薬品医療機器総合機構(PMDA)が定める要件を満たし、厚生労働省の承認など必要な手続きを経る必要がある。このプロセスは詳細で、時間と人的・資金的リソースを必要とするため、国内外のメーカーにとって日本市場への参入障壁となり得る。
日本での承認には、広範な臨床的妥当性の検証、安全性試験、文書作成などが必要になる場合があり、原文では米国やEUなど他の主要市場以上の要求となるケースもあるとされている。厳格な規制は、高品質で安全な診断製品を患者へ提供するうえでは大きな利点である一方、製品開発費用の増加や市場投入の遅延につながる可能性がある。POCDは技術革新のスピードが速い分野であるため、承認に時間がかかることは、企業にとって製品ライフサイクル上のリスクにもなり得る。
特に、資金や規制対応人材が限られているスタートアップや中小企業にとって、日本の承認制度への対応負担は大きい。高度な技術を持っていても、臨床試験、申請資料の作成、品質マネジメント、規制当局とのコミュニケーションなどに十分な資源を投入できなければ、市場参入が難しくなる。その結果、革新的な診断技術の導入が遅れたり、一部企業が日本市場への参入そのものを見送ったりする可能性がある。したがって、高水準の安全性を維持しつつ、革新的なPOCDをいかに迅速に実用化するかが市場拡大の重要な課題となる。
市場は、製品、技術、用途、エンドユーザーによって細分化されている。製品別では、感染症検査製品、血糖測定製品、血液ガス・電解質測定製品、尿検査製品、血液学検査製品、妊娠・不妊検査製品、腫瘍・がんプロファイリング製品、薬物乱用検査製品、その他に分類される。技術別ではラテラルフローアッセイ、免疫測定法、分子診断、マイクロ流体技術、その他が含まれる。用途別では感染症、循環器、腫瘍、内分泌、血液、神経、薬物検査、その他、エンドユーザー別では病院・クリニック、診断検査機関、在宅医療、外来手術センターなどに分類される。
このうち、製品別では感染症検査製品が最大の市場シェアを占めると予測されている。感染症検査製品は、患者検体から細菌、ウイルス、その他の病原微生物を直接検出し、感染症を早期に特定するための製品である。感染症の早期発見は、患者への適切な治療開始だけでなく、周囲への感染拡大を防ぐためにも重要であり、高齢者人口が多く、都市部の人口密度も高い日本では特に重要性が高い。
対象となる感染症や病原体は幅広く、インフルエンザ、SARS-CoV-2、Clostridium difficile、HIV、A群溶血性レンサ球菌、性感染症、ライム病などに対応する製品が市場に存在する。この中でも迅速診断検査は、数分程度で結果を得られるものが多く、患者の近くで検査して即座に医師が判断できる点が大きな価値となる。感染症では、検査結果が出るまで数時間から数日待つ間に治療開始や隔離判断が遅れることがあるため、短時間で結果を得られるPOCDの臨床的メリットは大きい。
日本では近年、製品イノベーションや技術進歩、新規製品の投入によって、感染症POCDの性能とアクセス性が向上している。特に、より高速、小型、携帯可能でありながら、複数の病原体を同時に検出できるマルチプレックス型検査への需要が強まっている。こうした製品は、大病院だけでなく診療所、薬局、在宅医療など分散型の医療環境で利用しやすく、検査機能を患者の生活圏へ近づける役割を果たす。
感染症検査市場の拡大には、迅速かつ正確な診断への需要、検査の分散化、早期診断の重要性に加えて、抗菌薬耐性への懸念も影響している。原因病原体を迅速に特定できれば、不必要な抗菌薬の投与を避け、より適切な治療へ早く移行できる可能性がある。そのため、POCDは感染症対策だけでなく、抗菌薬適正使用の観点でも重要性が増している。また、感染症流行や公衆衛生上の危機に備えて検査能力を強化しようとする政府の取り組みも、市場成長を支えている。
競争環境では、Becton, Dickinson and Company(BD)、Quidel Corporation、QIAGEN、Trinity Biotech、bioMérieux、Roche Diagnostics、Siemens Healthineers、Abbott Laboratories、Danaher Corporation、積水メディカルなどが主要プレーヤーとして挙げられている。市場には、迅速抗原検査、分子診断、免疫診断、血糖測定、血液分析など異なる領域に強みを持つ企業が存在し、単純な検査キットだけでなく、分析装置と試薬、データ管理まで含むシステムとしての競争も進んでいる。
関連する技術開発の例として、2023年6月にはSysmexが、抗菌薬耐性への対応に重要な抗菌薬感受性を迅速に検査する新しいシステムを欧州で発売したとされる。この製品は日本での発売事例ではないものの、日本企業が迅速診断と薬剤耐性対策の技術開発を積極的に進めていることを示している。抗菌薬感受性試験を迅速化できれば、患者に有効な抗菌薬をより早く選択できるため、将来的にはPOCD領域でも重要な技術テーマとなる可能性がある。
今後の日本市場では、分子診断とマイクロ流体技術の重要性がさらに高まると考えられる。分子診断は、病原体の遺伝子を直接検出できるため、従来の抗原検査などより高い感度や特異度を実現できる場合がある。一方、マイクロ流体技術は、少量の検体や試薬を小型チップ上で処理できるため、検査装置の小型化、高速化、自動化に適している。この二つを組み合わせることで、従来は大型検査室でしか実施できなかった高度な検査を、患者の近くで行える可能性が広がる。
また、POCDの成長は在宅医療や遠隔医療とも密接に関係している。患者が自宅で測定した血糖、尿、バイオマーカーなどの結果を医療機関へ電子的に送信できれば、通院回数を抑えながら慢性疾患を継続管理できる。高齢患者の増加や医療従事者不足を考えると、将来的には「検査する装置」単体ではなく、測定結果をクラウドへ送信し、電子カルテや遠隔診療システムと連携するデジタル診断プラットフォームとしての価値が高まる可能性がある。
同時に、POCDでは誰が検査を行っても一定の精度を確保できる設計が重要になる。中央検査室では専門の臨床検査技師が高度な装置を操作するが、POCDでは医師、看護師、薬剤師、介護スタッフ、あるいは患者本人が操作する可能性がある。そのため、操作工程を減らすこと、結果を分かりやすく表示すること、誤操作を自動的に検知すること、品質管理機能を組み込むことなどが、製品普及の重要な条件になると考えられる。
総合すると、日本のPOCD市場は、高齢化、慢性疾患の増加、感染症への備え、医療の分散化、在宅医療の拡大、診断機器の小型化、分子診断・マイクロ流体・ウェアラブル技術の進歩などを背景として、2033年まで高い成長が期待される。特に感染症検査は主要市場として成長を牽引し、迅速診断、複数病原体同時検出、抗菌薬耐性への対応などが重要な需要分野になる。
一方で、日本独自の厳格な医療機器・体外診断規制は、高い安全性と品質を保証する反面、製品開発コスト、市場投入までの期間、企業の規制対応負担を増大させる。特に中小企業や海外スタートアップにとっては参入障壁となるため、今後の市場成長では技術力だけでなく、PMDA対応、臨床検証、品質保証、保険償還、市場アクセスを含む総合的な事業能力が重要になる。
市場規模の面では、2024年の8億3,204万米ドルから2033年には19億2,562万米ドルへと2倍以上に拡大する見込みであり、9.8%という比較的高いCAGRが予測されている。感染症検査だけでなく、血糖測定、血液ガス・電解質、尿検査、血液学、妊娠・不妊、がん、薬物検査など幅広い分野で利用が進むため、POCDは単一疾患に依存しない多用途型の診断市場として成長余地が大きい。
この市場調査レポートでは、市場規模やセグメント分析に加え、開発中の製品・技術、臨床試験、今後の医療機器・医薬品の技術革新、製品性能、市場ポジショニング、成長可能性なども分析対象としている。また、リアルワールドエビデンス、医療従事者の製品選択、医療制度や病院再編の影響、規制・政策、新興技術、競合企業の市場シェア、新規参入企業、価格、償還、市場アクセス、新市場への参入・提携戦略なども扱うとしている。
さらに、サプライチェーンリスク、流通戦略、サステナビリティ、規制対応、市販後監視、薬剤経済学・医療経済、価値ベースの価格設定なども分析範囲に含まれている。POCDでは本体装置だけでなく、カートリッジ、試薬、センサーなどの消耗品を継続的に供給する必要がある製品も多いため、安定したサプライチェーンと流通網の確保も重要な競争要因になる。
レポートは126ページで構成され、42の主要な表と45以上の図表を収録している。想定読者は、製薬会社、医療機器メーカー、バイオ企業、受託製造企業、販売代理店、病院などに加え、規制・コンプライアンス担当者、政府機関、医療経済専門家、市場アクセス担当者、AI・ロボティクス企業、研究開発担当者、臨床試験責任者、ファーマコビジランス専門家、ヘルスケア投資家、ベンチャーキャピタル、製薬・医療関連企業の営業・マーケティング担当者、医療コンサルタント、業界団体、アナリスト、物流・サプライチェーン担当者、患者・患者団体、保険会社、大学・研究機関など幅広い関係者となっている。
※目次構成
- 市場の導入および調査範囲
レポートの目的
レポートの対象範囲および定義
調査範囲 - エグゼクティブインサイトおよび主要ポイント
市場ハイライトおよび戦略的示唆
主なトレンドおよび将来予測
製品別市場概要
技術別市場概要
用途別市場概要
エンドユーザー別市場概要 - 市場動向
市場への影響要因
成長要因
POC(ポイント・オブ・ケア)診断技術の進歩
高齢化の進展および慢性疾患の増加
XX
阻害要因
厳格な規制要件
高度診断技術に伴う高コスト
XX
市場機会
在宅検査の拡大
デジタルヘルスおよびモバイルヘルスとの統合技術の進展
XX
影響分析 - 戦略的インサイトおよび業界展望
市場リーダーおよび先駆的企業
新興の先駆的企業および主要プレイヤー
売上上位ブランドを有する有力企業
確立された製品を有する市場リーダー
経営層(CXO)の見解
最新動向および技術的ブレークスルー
ケーススタディ/進行中の研究
規制および償還制度の動向
ポーターの5フォース分析
サプライチェーン分析
特許分析
SWOT分析
アンメットニーズおよび市場ギャップ
市場参入・事業拡大に向けた推奨戦略
シナリオ分析:楽観・基本・悲観ケース予測
価格分析および価格動向
キーオピニオンリーダー(KOL) - 日本のPOC診断市場 — 製品別
はじめに
製品別市場規模分析および前年比成長率分析(%)
製品別市場魅力度指数
感染症検査製品*
はじめに
市場規模分析および前年比成長率分析(%)
血糖測定製品
血液ガス・電解質測定製品
尿検査製品
血液学検査製品
妊娠・妊孕性検査製品
腫瘍・がんプロファイリング製品
薬物乱用検査製品
その他 - 日本のPOC診断市場 — 技術別
はじめに
技術別市場規模分析および前年比成長率分析(%)
技術別市場魅力度指数
ラテラルフローアッセイ*
はじめに
市場規模分析および前年比成長率分析(%)
イムノアッセイ
分子診断
マイクロ流体技術
その他 - 日本のPOC診断市場 — 用途別
はじめに
用途別市場規模分析および前年比成長率分析(%)
用途別市場魅力度指数
感染症*
はじめに
市場規模分析および前年比成長率分析(%)
循環器領域
腫瘍領域
内分泌領域
血液領域
神経領域
薬物検査
その他 - 日本のPOC診断市場 — エンドユーザー別
はじめに
エンドユーザー別市場規模分析および前年比成長率分析(%)
エンドユーザー別市場魅力度指数
病院・クリニック*
はじめに
市場規模分析および前年比成長率分析(%)
診断検査機関
在宅医療・在宅ケア
外来手術センター(ASC) - 競争環境および市場ポジショニング
競争環境の概要および主要市場プレイヤー
市場シェア分析およびポジショニング・マトリクス
戦略的提携、M&A(合併・買収)
製品ポートフォリオおよびイノベーションに関する主な動向
企業ベンチマーキング - 企業プロファイル
10.1 Becton, Dickinson and Company(BD)*
企業概要
製品ポートフォリオ
製品概要
製品主要業績評価指標(KPI)
製品売上高の実績および予測
製品販売数量
財務概要
企業売上高
地域別売上構成比
売上高予測
主な動向
M&A(合併・買収)
主な製品開発活動
規制当局による承認など
SWOT分析
10.2 その他の主要企業
Quidel Corporation
QIAGEN
Trinity Biotech
bioMérieux SA
Roche Diagnostics
Siemens Healthineers
Abbott Laboratories
Danaher Corporation
SEKISUI MEDICAL CO., LTD.(積水メディカル株式会社)
※企業一覧は網羅的なものではありません。
- 前提条件および調査方法
データ収集方法
データ・トライアンギュレーション
予測手法
データの検証および妥当性確認 - 付録
当社およびサービスについて
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