柔軟・軽量な有機半導体の簡易な新規合成法を開発 ~フレキシブ...

柔軟・軽量な有機半導体の簡易な新規合成法を開発  ~フレキシブルデバイスの普及加速期待~

芝浦工業大学(東京都港区/学長 村上 雅人)応用化学科 田嶋 稔樹教授は、n型有機半導体を簡易に合成する新たな方法を開発しました(特願2019-081783)。特別な触媒や脱離基を必要とせず、電解還元することで煩雑な作業をなくし、無色透明のペルフルオロポリフェニレン(完全フッ素化導電性高分子)の薄膜を合成します。この手法は、多くのn型有機半導体開発に適用可能で、企業との共同研究を進め適用範囲を明らかにすることで、柔軟・軽量な特徴を生かしてフレキシブルデバイスなどに活用が可能です。より簡易に、より低コストでの製造が可能となるため、普及に向けた研究開発がいっそう加速することが期待されます。


図1 (左)合成前 (右)合成後


【ポイント】

●特別な触媒や脱離基を必要とせず、ヘキサフルオロベンゼンを電解還元することで炭素-フッ素結合が還元的に開裂し、ペルフルオロポリフェニレン(完全フッ素化導電性高分子)を簡易に合成可能

●種々のn型高分子半導体の合成に適用可能

●無色透明の薄膜を合成することに成功



【研究の背景】

無機半導体と比較して有機半導体は、柔軟かつ軽量といった特徴からフレキシブルデバイスなどへ活用が期待されています。半導体デバイスは、p型半導体とn型半導体を組み合わせて製造しますが、有機半導体としては、これまで主にp型半導体が作製されており、n型半導体は種類が非常に限られています。

今回合成に成功した、導電性高分子は有機半導体として有用で、これまでに多くのp型半導体が作製されています。n型半導体も、p型半導体に強い電子求引基であるフッ素を導入することで合成することが可能ですが、「完全にフッ素化された導電性高分子」は合成の煩雑さから安定した製造が困難でした。


▲図1 (左)合成前 (右)合成後


▲図2 (左)ペルフルオロポリフェニレンゲル(黄色)

   (右)ペルフルオロポリフェニレン膜(透明)


▲図3 ペルフルオロポリフェニレン膜の元素マッピング(緑色:フッ素)



【研究概要】

ヘキサフルオロベンゼンの電解還元重合(図1)により、簡易にペルフルオロポリフェニレン(完全フッ素化導電性高分子)ゲルを合成、さらにゲルを乾燥および洗浄(図2)することで無色透明の薄膜化に成功しました。

合成された薄膜の原子組成百分率は炭素60%、フッ素40%であることから、架橋が少なく柔らかなペルフルオロポリフェニレンであることが明らかです。さらに、元素マッピングで、フッ素が膜全体に均一に分布していることが確認されました(図3)。



【今後の展開】

出願番号 :特願2019-081783

発明の名称:ペルフルオロポリフェニレンゲル及び薄膜の製造方法

発明者  :田嶋 稔樹、伊藤 亘

特許出願人:学校法人芝浦工業大学

企業との共同研究により本手法の適用範囲を明らかにするとともに、ペルフルオロポリフェニレンゲルおよび薄膜をはじめとする得られた生成物の用途探索を行います。

報道関係者向け お問い合わせ先

お問い合わせの際はリリース番号「189839」を
担当にお伝えください。