
奈良文化財研究所では、2020年より古代の盤上遊戯「かりうち」で遊ぶことを通じて、古代の遺跡に親しんでもらうための取り組み、「かりうちプロジェクト」を進めています。
▶かりうちプロジェクトWEBページ
https://www.nabunken.go.jp/research/kariuchi.html
文化財活用センターの協力により始まった「かりうちアウトリーチプログラム」も今年で3年目となり、全国の学校等教育機関、博物館、埋蔵文化財センター、図書館など延べ142機関に、プログラムを実施いただきました。(実施機関のみなさま、ありがとうございました!)
ここでは平城宮跡近隣での取り組みについてご紹介します。
わたしのまちの奈良時代

奈良市の小学校教育では、中学年から高学年にかけて社会科を中心に、平城宮跡について学ぶ機会が段階的に設けられています。3年生になると副読本『わたしたちの奈良市』、4年生では『奈良県のくらし』に沿って学び、5年生で『奈良大好き 世界遺産学習』、6年生でついに日本史で登場、という具合です。考古学的遺跡である平城宮跡を知るための前提として、発掘調査や復元整備についても併せて説明された充実の教育内容となっています。
かりうちアウトリーチプログラムで、私たちが講師となって学校等にうかがう際には、先生方と一緒にこどもたちの理解度を踏まえつつ、かりうちプロジェクトのモットー「遊びで育む」の精神を大切に、如何にして勉強している感なく、日常からは遠い奈良時代を身近に感じてもらえるか、苦心しています。
小学校中学年から高学年にかけては、興味関心の対象がぐんぐん広がる時期ではありますが、まだまだ「私の世界」は学校区内に留まる時期。平城宮跡は遠足などで足を運ぶ場所ではあっても、身近な場所=自分の行動範囲のなかにはありません。
そこで、こどもたちの地理感覚のなかに飛び込んで遺跡を紹介することを心掛けるようにしています。これまでに平城宮跡とも関係の深い、瓦や土器の生産遺跡である音如ヶ谷(おんじょがだに)瓦窯跡、中山瓦窯跡、生駒古窯群、かりうちを楽しんでいたかもしれない人物のお墓、太安万侶(おおのやすまろ)墓、美努岡萬(みののおかまろ)墓などを紹介する機会を得ました。
自分が知っている身近な場所が登場した時の、こどもたちの生き生きとした反応を見て、心の中でガッツポ―ズを決める私たちです。
平城宮跡近隣以外でも全国の古代の役所跡などの遺跡で、かりうちを活用いただいています。これまでのかりうちアウトリーチプログラムの実施状況を「五機七道令制国マップ」として公開しています。ご笑覧ください。
▶めざせ‼全国制覇 かりうち五畿七道令制国MAP
https://www.nabunken.go.jp/research/docs/kariuchimap202412.pdf
平城宮跡で、かりうち対戦!

2021年以来、毎年秋に実施してきた、かりうち対戦試合も今年で5回目。リピーターや本気で勝負を楽しみたい方向けの競技部門(事前申込制※定員に達しました)と、気軽に体験したい方向けのチャレンジ部門(当日受付)の2部門を設けています。
全国でのかりうちの広がりに、私たちも日々、平城宮跡でのかりうち全国大会の実現に向けて一歩一歩近づいていることを感じています。
この秋の対戦試合に参加して、ゲームを楽しみながら、かりうちプロジェクトを応援してください!
(文化遺産部遺跡研究室 室長 高橋 知奈津)
奈良時代を体験‼よみがえった古代のゲーム「かりうち」対戦試合2025
【日時】2025年11月24日(月・振)13:00~15:30(受付12:30~)
【場所】平城宮いざない館前芝生広場(雨天時は、平城宮いざない館多目的室)
※競技部門(事前申込制)は定員に達しましたので受付を終了しております。
※チャレンジ部門は当日受付にてご参加いただけます。
▶詳細はこちら
https://www.nabunken.go.jp/fukyu/event2025.html#kariuchimatch_2025

















