GfK Japan調べ:エコポイント制度1年経過  対象製品の販売動向

 ジーエフケー マーケティングサービス ジャパン株式会社(所在地:東京都中野区、代表取締役社長:朝比奈 進)は、エコポイント制度対象製品の家電量販店店頭における販売動向を発表した。

画像1:エコポイント対象製品(薄型TV、冷蔵庫、エアコン)数量前年比週次推移
画像1:エコポイント対象製品(薄型TV、冷蔵庫、エアコン)数量前年比週次推移

【概要】
 ・エコポイント制度開始前後52週間の数量前年比は、薄型TVが23.5%増から72.4%増へ大幅拡大、冷蔵庫は1.1%減から5.7%増へ一桁成長にとどまり、エアコンは冷夏の影響により3.1%増から5.2%減となった。
 ・エコポイント制度発表後、施行までは買い控えがみられたが、薄型TVでは制度開始直後から販売が急伸。
 ・薄型TVは、2010年3月に新基準対象外モデルを中心に駆け込み需要が起こり、3月は数量前年比170.4%増、3月22日週では278.3%増に達した。
 ・2010年の薄型TV市場は2,000万台に到達する可能性もあるが、エコポイント制度終了後の2011年はその反動が見込まれる。

【対象3製品内でもエコポイント効果に差異】
 エコポイント制度は2009年4月10日の正式発表後、同年5月15日から開始された。対象3製品(冷蔵庫、エアコン、薄型TV)のエコポイント制度開始前後52週間の販売動向をみると、冷蔵庫は数量前年比1.1%減から同5.7%増と一桁台の成長に止まり、エアコンは冷夏の影響により同3.1%増から同5.2%減となった。一方、薄型TVは同23.5%増から同72.4%増へと大幅な成長を遂げており、同制度が薄型TVの市場拡大に貢献した(下記 図1参照)。
 この背景として、付与ポイント数が冷蔵庫では最大10,000点、エアコンでは最大9,000点であることに対し、薄型TVでは最大36,000点と還元ポイントが多いことが挙げられる。さらに、薄型TVの同制度対象モデルはエコポイント制度開始時点(5月11日週)で93.2%(数量ベース)に達しており、冷蔵庫、エアコンよりも構成比が高く、制度の恩恵を広く受けたことも需要喚起につながった。加えて、2011年7月にアナログ放送の完全停波を控え、地上デジタル放送対応TVへの買換え気運が高まっていることも市場拡大を後押しした。
 また、エコポイント開始前後52週間で1台当たりの年間消費電力量を比較すると、冷蔵庫は449kWhから383kWhへ14.7%減、エアコンは1,129kWhから1,093kWhへ3.2%減、薄型TVは139kWhから108kWhへ22.3%減と各製品で年間消費電力量は減少した。特に薄型TVは20%を越える減少率で、エコポイント制度後の販売動向と考え合わせると、省エネ性能を大幅に向上させた製品が同制度によって急速に普及したといえよう。

図1: エコポイント対象製品(薄型TV、冷蔵庫、エアコン)数量前年比週次推移
URL: http://www.atpress.ne.jp/releases/14894/1_1.JPG

【薄型TV販売は制度開始直後から大幅に伸長】
 2009年年初以降の薄型TV市場の販売動向をみると、正式発表前である3月30日週までは数量前年比30.7%増と好調に推移していたものの、発表から開始までの5週間は同17.0%増に落ち込み、消費者の買い控えがみられた。しかしながら、制度開始直後から薄型TV市場は大幅に伸長、2009年5月11日週から2010年2月22日週までの数量前年比は59.7%増に達した。

【エコポイント制度対象外となる薄型TVへの駆け込み需要が発生】
 エコポイント制度は当初2010年3月末までと制定されていたが、2010年末までの延長が決定した。同時に2010年4月以降は薄型TVの省エネ基準が厳格化されることも決まり、エコポイント制度対象薄型TVの一部は、4月1日を境に同制度の対象外となり、エコポイントが付与されなくなった。

 3月に入ると各量販店は4月以降に対象外となるモデルの販促を活発に展開した。これが奏功し3月1日週以降は前年比が急速に上昇、3月22日週は数量前年比278.3%増にまで達した。
 4月以降対象外モデルの数量構成比は3月1日週の47.1%から4月5日週は8.6%と急減、これらモデルの在庫はほぼ一掃されたといえる(下記 図2参照)。加えて、この駆け込み需要は薄型TVの関連製品にも波及しており、DVD/Blu-ray Discレコーダーの数量前年比は2月の30.0%増から3月は58.3%増へ、ホームシアターは47.6%増から86.9%増へそれぞれ販売を伸ばした。

図2: 薄型TV エコポイント制度対象/対象外別 販売数量構成比
URL: http://www.atpress.ne.jp/releases/14894/2_2.JPG

 4月以降の薄型TV市場は、3月の駆け込み需要の反動はあったと考えられるものの、前年同時期がエコポイント制度発表後の買い控えで販売が落ち込んでいたこと、4月5日週時点で制度対象モデルの数量構成比が90.5%に達しており引き続き好調であったため、5月3日週までの数量前年比は42.5%増と堅調に推移している。

 年間を通してみると、エコポイント制度開始後52週間の薄型TVの数量前年比は72.4%増と、同制度開始前52週間の同23.5%増から48.9%ポイント増加しており、エコポイント制度が薄型TV市場の成長に大きく貢献したといえる。

【2010年薄型TV市場は2,000万台に到達の可能性】
 薄型TVに対する需要は引き続き底堅く、更に制度終了直前である年末商戦には3月を越える駆け込み需要が予想される。2010年の薄型TV市場は、国内TV史上初の2,000万台に到達する可能性も含んでいる。一方、2011年はその反落が見込まれるため、今後はLEDバックライト搭載機や3D対応機等の訴求により、買換え需要を喚起していくことが重要となろう。


≪GfK Japanのデータについて≫
 全国有力家電量販店より、毎日POSデータを収集。モデル別であらゆるカテゴリーの動向を調査している。多くの市場データが出荷時点を捉えているのに対し、販売時点で実需を細かく追っているのが特徴である。
 また、同様に総合量販店(GMS)や地域家電店、インターネットチャネルなどからも販売データを収集。家電以外にも、ゴルフ用品やDVDソフトウエアの販売データを構築している。

URL: http://www.gfkjpn.co.jp/

※弊社名を報道にて引用頂く場合は、正式社名のほか、「GfK Japan」、「ジーエフケー ジャパン」、「GfKジャパン」の略記でも結構です。

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