アジア各国のホワイトカラー人材紹介市場の動向2017年1月~...

アジア各国のホワイトカラー人材紹介市場の動向 2017年1月~3月

[2017年4月24日 東京・シンガポール]
世界10ヵ国で人材紹介事業を展開し、東南アジアでは最大級の規模(※)を誇るジェイ エイ シー リクルートメント グループ(CEO:田崎 ひろみ)は、この度、2017年第1四半期のアジア各国のホワイトカラー人材紹介市場の動向を纏めましたので、お知らせいたします。

※ 以下のリンクより、より読みやすいPDF版のプレスリリースをご参照ください。
https://www.atpress.ne.jp/releases/127129/att_127129_1.pdf


■■マレーシア■■
求人数は前四半期比29%増、前年同四半期比でも約3%増と高スキル人材のニーズが高い
特に日系企業の求人数は前年同四半期比で12%増と活発な動き
(対前四半期の求人数 29%増)
JAC Recruitment マレーシア法人社長 大西 信彰

3月にVistage-MIER(マレーシア経済研究所)が発表したCEO Confidence Index (経済動向信頼感指数-CEO回答数は532)によると、第1四半期は81.1ポイントと2016年第4四半期の72.9ポイントから8.2ポイント上昇し、2016年の第1四半期に比べても14.2ポイント上昇し改善が見られます。ただし、100ポイントを超えた2013年第3四半期以降、継続して閾値である100を下回っています。同指数によると回答したCEOの53%は今後売上が増加することを予想しており、これは43%であった2016年第4四半期より改善しています。今後、製造業の高度化を目指すプロジェクト「Industry 4.0」に対応するにあたり、高度な分析能力を持つ人材の確保が鍵であると感じていると回答したCEOが68%いるのは注目すべき点です。
政府の政策転換により、今後は外国人労働者の人件費上昇や採用難が見込まれることから、地場ゴム手袋製造大手のトップ・グローブ社が進めているような、生産性向上のための省力化設備やファクトリーオートメーション導入の動きが出始めています。

【企業の採用動向】
当社への求人数は対前四半期比で29%増、対前年四半期比で3%増といずれも増加した中、基本給7千リンギ(課長-Manager職)以上の層は69%増と大きく伸張しています。特に経理・人事などの管理部門、生産・品質管理、海外営業などの分野のニーズが高いです。
また、この半年の傾向として、日系・外資系企業がマレーシア国外で就業させる目的でマレーシア人を採用するケースが増えています。日系大手化学品メーカーがマレーシア人の新卒を採用し、日本のR&D部門に派遣、将来的に当地でのR&D中核人材として活躍してもらうために育成するケースや、日系大手塗料メーカーが他国での国際営業要員としてマレーシア人を採用するなど、「多様性」に対応する企業が増加傾向にあります。

【求職者の動向】
●旧正月の1月末以降、求職者の活動が活発になったことから、第1四半期の登録者数は対前四半期比で27%増、対前年同四半期比でも25%増となりました。中でも、40代後半の製造業技術系登録者が増加傾向にあります。これは、外国人労働者の雇用をストップしたことで、稼働率が下がっている工場が増えていることから、良い条件を求め求職者が転職活動を行っているためです。
●マレーシアでは、20代前半の若手人材は将来のキャリアの方向性が定まらず転職を繰り返す傾向があることから、若手の失職者(大卒)の登録がこの1年で増加傾向にあります。30代以上の即戦力を求める企業が増えているのは、このような動向を反映した結果となっています。


■■シンガポール■■
外国人就労ビザ審査基準の厳格化により、企業からの需要が多様化
(対前四半期の求人数 10%増)
JAC Recruitment シンガポール法人社長 早瀬 恭

シンガポール金融管理局は、2017年の1人当たりの国内生産量(GDP)成長率の見通しを1.7%から1.5%に下方修正しました。旧正月が明けても消費が活性化せず、苦戦する企業が増加傾向にあります。金融政策の緩和を含め、今後の政府の動向に注目が集まっています。

【企業の採用動向】
シンガポールでは外国人就労ビザ審査の基準を厳格化する政策が打ち出されたものの、日本人採用の需要は減らず昨対比でほぼ横ばいです。一方、(1)配偶者・扶養者ビザ、永住権保持者 (2)日本語ができるローカル人材 (3)日本人駐在員から現地採用人材への切り替えなどの需要が増加傾向にあります。また、ミャンマー、カンボジア、フィリピンといった新興国向けの人材をシンガポールで採用する活動が一般化しつつあり、海外で就業可能な人材採用の需要が増加しています。

【求職者の動向】
旧正月明け以降、求職者の動きが活発になっています。特に製造業を中心とする産業では、例年より採用意欲が旺盛で、求職者も製造業を希望する方が増加傾向にあります。一方で、金融関係は企業採用、求職者動向ともに昨年と比較しても鈍化傾向にあります。


■■タイ■■
国王崩御後の自粛状態が終了し、景気回復へ
企業の採用、転職者の転職意欲も高い
(対前四半期の求人数 35%増)
JAC Recruitment タイランド法人社長 山下 勝弘

70年間国民の尊敬を集め続けた国王の崩御による消費活動の自粛が収束しつつあり、徐々に低迷していた景気に回復の兆しが出てきました。日系企業の経営者によるDI(景気動向指数)によると、2017年上期は回復することが予想されています。

【企業の採用動向】
長期に及んだ国王崩御の自粛状態がほぼ収束したことで、新年度の新しい年間採用計画の下、企業が戦力の増強を図り始めたことにより、2017年1月~3月期の新規求人数は前期比で35%増と大幅に伸張しました。自動車や電機業界だけでなく、公共工事やコンドミニアム・ショッピングセンターの建築が進んでいるバンコク地区では、建設系の求人も安定して増加しています。

【求職者の動向】
景気低迷が長期化したため、数年間0%台だった失業率は1%を越えたものの、依然として周辺各国よりは低いため売り手市場であることは変わりありません。ボーナス支給直後に転職活動を開始した求職者たちの転職活動は一巡したものの、昨年末の国王崩御後に就職・転職活動をストップした人材は継続して活動を行っています。


■■インドネシア■■
2017年から海外投資、国内投資が好調
人材は依然不足状態が続く
(対前四半期の求人数 43%増)
JAC Recruitment インドネシア法人社長 小林 千絵

年始に安倍首相がインドネシアを訪問され、日本がインドネシアのジャワ高速鉄道、パティンバン港、石炭・地熱・水力発電など質の高いインフラ投資の促進を目指すことを約束されたことにより、インド、中国に続く今後のマーケットの成長に投資家が関心を寄せています。日本からの新規投資の問い合わせも、昨年より増加傾向にあります。

【企業の採用動向】
日系企業の市場にとって重要な自動車販売は、1月、2月とも前年を上回ったことで、製造業からの求人が増加しました。日系企業による海外事業の拡大やビジネスの現地化などの動きにより、日本語力を持つ人材のニーズは依然として高い状態が続いています。市場では電力の他、インフラ関係の人材ニーズが引き続き好調です。一方、昨年急成長したeコマース業界は、現在、市場の動向を見ながら今後の方針を立てていることにより、停滞状態となっています。

【求職者の動向】
優秀な人材は依然として不足している状態です。優秀な人材が企業から内定を受けた後、現職の企業からカウンターオファー(引き留め)を受けたり、退職願が受理されないなどのケースも発生しています。優秀な人材は20%程度の給与アップを見込んだ転職ができるほど、売り手市場となっています。


■■ベトナム■■
インフレ抑制による経済安定の課題と米国のTPP離脱の影響により、2017年は厳しい景況感に
(対前四半期の求人数 19%減)
JAC Recruitment ベトナム法人社長 加藤 将司

昨年はインフレ率が比較的高かったにもかかわらず(12月は前年同月比4.7%増)、今年は近年でも実質賃金の上昇率が非常に低い状態のため、国民生活への影響に鑑み、物価上昇の抑制が不可欠な状況となっています。インフレ率が年20%を超えた2008年と2011年の教訓を生かし、これ以上物価を上げないための政策が最重要課題となっています。また、米国がTPP離脱を表明した影響により輸出減、ドン安の影響を受け成長率が下がり、海外からの直接投資が減少する可能性があることから企業は慎重になっています。

【企業の採用動向】
人材の採用と定着率の向上に苦戦する企業が多い状況にもかかわらず、より語学力と経験を有する高スキル人材を採用する傾向が高くなっています。特にサービス業、小売業の外資企業とローカル企業大手で人材の獲得競争が激化しています。規模の拡大よりもサービスの質向上へと方針を転換するローカルの大手企業は、海外留学から帰国したベトナム人新卒人材を採用するためのイベントやセミナーなどを積極的に開催しています。また、人材を採用、定着させる為に、家族保険や学資保険など福利厚生を手厚くする企業も増加傾向にあります。

【求職者の動向】
若手人材は積極的に転職活動を行っていますが、マネージャー層になると内需の景気減速のイメージを考慮して慎重な動きを見せています。日本語力を有するマネージャー層の人材は自身の市場価値を理解しているため、より高い給料と職責を求める傾向が強くなっています。


■■中国(上海・北京・広州)■■
春節が明け、企業の採用動向は幹部候補採用を中心に活発に
(対前四半期の求人数 41%増)
JAC Recruitment 中国法人社長 蓮子 哲也

就労ビザ取得要件の法律改正に伴い、外国人就労者のランク付け(A類(ハイレベル人材)、B類(専門人材)、C類(一般))制度が導入されたほか、無犯罪証明書の提出なども義務付けられるなど、外国人材の就労規制が強化されています。まだこの影響は大きくは出てはいないものの、中国への駐在員の配置に慎重な姿勢を見せる企業が増加傾向にあります。

【企業の採用動向】
主に機械、設備、FA(ファクトリーオートメーション)関連業界の積極的な設備投資により、関連の求人が増加しています。また、華南地域を中心に自動車メーカーが好調であることから自動車部品関連の求人が増加し、対前年同期比で30%増となっています。上海等の都市部では、主に日系企業は今までeコマース運営会社を通して間接販売を行っていましたが、最近では自社での運営を進める傾向が強くなっており、顧客管理・需要予測強化の動きから、関連の人材ニーズが出始めています。
また、まだ数は少ないものの、日本勤務目的の中国人の幹部候補人材の求人といった、国を跨いで採用を行う企業が着実に増加傾向にあります。これは、日本の商習慣や企業文化の習得をさせるために日本で数年間育成を兼ねて本社勤務の経験を積ませた後、中国現地の幹部候補として駐在または現地採用することを目的としています。

【求職者の動向】
景気回復の兆しを受け、求職者の転職意欲も上昇傾向にあります。春節以降特に活発に活動をしており、各業種で一定数の採用が決定しています。国内の転職のみならず、日本勤務や東南アジア勤務といった、中国国外での就業を希望する若手の現地候補者も増加傾向にあります。


■■香港■■
春節が明け、転職マーケットが最盛期を迎える
(対前四半期の求人数 18%増)
JAC Recruitment 香港法人社長 蓮子 哲也

各機関では今年の実質GDP成長率の予測平均はプラス1.8%と、昨年より景気拡大のペースが若干加速することを見込んでいます。また物価上昇率についてはIMFではプラス2.6%と予測しています。政府が公表している企業の景況見通しを示す翌期業況判断D.I.は第一四半期ではマイナスを見込んでいましたが、金融・保険・運輸・倉庫・宅配でプラスとなり、雇用が拡大しました。

【企業の採用動向】
春節明けに採用ニーズが一気に伸張しました。特に日系企業における2月の新規求人数が昨年同月比で約3割増となり、さまざまな業界から求人の依頼を受けましたが、求人の7割は欠員補充目的です。求められる人材像としては20代~30代前半の若年層のニーズが高くなっていますが、日本人対象の求人の動向に大きな変化はありません。

【求職者の動向】
企業と同様に求職者も春節明けに一斉に活動を開始しました。香港では、春節明けは年間を通して一番求職者が活発に動く時期ですが、緩やかな景気回復による採用ニーズの上昇により、今年は例年以上に動きがあった印象です。


■■韓国■■
5月の大統領選を前に数々の課題を抱え、先の見通しが立たない状況
(対前四半期の求人数 2%減)
JAC Recruitment 韓国法人社長 土山 雄一郎

サムスングループの事実上トップである李在鎔(イ・ジェヨン)サムスン電子副会長の逮捕に続き、収賄などの容疑による朴槿恵(パク・クネ)前大統領の逮捕やTHAAD(高高度防衛ミサイル)などの問題が経済に影響を与えています。また、朝鮮半島情勢も厳しい状態になっており、外交の課題も山積みで、韓国経済の見通しは全く立っていない状況です。

【企業の採用動向】
全般的には2016年の第4四半期の状況と大きく変わらず、欠員補充による人材の依頼が中心となっています。長引くTHAAD問題により、中国企業と取引を行っている企業のビジネスに影響が出始めており、採用を行う予定だったポジションが見合わせになるケースも出始めています。

【求職者の動向】
依然として求職者の活動は鈍化しています。韓国内での就職が厳しいため、日本語が堪能な新卒者は日本での就職も視野に入れ活動を行っていますが、今後は経験者でも日本での就業・転職活動を行う可能性があることを見込んでいます。


■■インド■■
昨年に引き続き、インドの企業は約10%の昇給を提示
昇給の時期終了後の5月以降に求人増加の見込み
(対前四半期の求人数 14%減)
JAC Recruitment インド法人社長 筧 裕樹

3月に行われた州選挙では、不正資金根絶を目的に高額紙幣を廃止したことが評価され、モディ首相率いる国政与党インド人民党がウッタル・プラデーシュ州を制し圧勝しました。
インドの政界では、「ウッタル・プラデーシュ州(※)を制する者は天下を制する」といわれており、同州の議会は州別で最多の議席を持ち、上院での議員枠でも最大の比重を占めています。
(※ 世界の国々の人口規模の順位で6位に位置づけされる程人口が多く占める州。同州の人口は約1.9億人。)

【企業の採用動向】
全体の求人数は年末年始に企業の活動が停滞したことで対前四半期では減少しましたが、製造業を中心に営業、管理部門の求人が増加傾向にあり、特にインド人の求人が増えています。インドの企業は3月の年度末の昇給時期に退職者が増えることを見込んで求人を出し始めるため、5~7月頃に求人は増加すると見込んでいます。また、年収100万ルピーを超える管理職ポジションの依頼も増えており、これも上記の理由に関連しています。なお、インドの多くの企業では昨年に引き続き、約10%の昇給を提示しています。

【求職者の動向】
日本の大学卒業後にインドでの就職を希望する日本人の新卒者と20代前半の日本人の登録が増えています。背景としては、シンガポールのビザ規制が強化されたことにより、同じ英語圏であるインドでの就職を希望する日本人の若者が増えているためです。昇給の時期が終わった後に転職を希望するインド人は、現職での年収の増減を確認後、転職先候補の企業に対し給与交渉をする傾向があります。


■■日本■■
景気の先行きに不透明感がある中でも、求人意欲は更に旺盛
(対前四半期の求人数 15%増(日本企業の海外関連要員))
JAC Recruitment(日本) 海外進出支援室 室長 佐原 賢治

米国の貿易政策や英国のEU離脱決定に伴う不安感からか、日系大手各社トップの年頭所感には、先行きに対して「不透明感」という言葉が目立ちました。一方、製造業、建設業、小売・サービスなど幅広い業種で「人手不足」が大きな問題となっており、これは都市部と地方、また大手と中堅中小企業の共通課題となっています。

【企業の採用動向】
人手不足が課題であることから、求人も依然として勢いがあり、当社の1~3月の求人数は前年同期比で5%増となりました。中でも、海外事業関連の求人数は対前期比で15%増、前年同期比で27%増と大きく伸張し、日系企業による「ヒトと組織の国際化」の課題を反映した結果となりました。特に、機械、部品、化学など輸出関連の要員(海外営業)の求人が増加しました。また内閣府による「地方創生」の取組みもあり、地方都市の製造業でグローバルビジネスの専門家を採用するケースも目立ちました。

【求職者の動向】
1~3月の当社の新規求職者(当社登録ベース)は、対前期比で12%増となりました。中でも、海外勤務の経験を有する人材の新規登録が30%増加し、グローバルビジネスの経験を積極的に活用しようという求職者側の意欲が高まっています。一方、これらの人材には複数の企業から内定を得られることが多く、多くの人材が現職中であるため、転職に対する意思決定には慎重さが感じられます。


ジェイ エイ シー リクルートメントは、1975年に日系企業の海外進出を人材採用面で支援する企業としてイギリスで設立以来、1987年にシンガポール、1988年に日本とビジネスを展開し、現在では世界10ヵ国、26拠点で、国内および海外で成長を目指す企業に対し人材採用面で支援を行っています。当社は今後も優秀な人材の紹介を通じて、企業の成長に貢献してまいります。

(※)自社調べ(アジアで人材紹介事業を展開する同業他社の売上規模を比較)


◆ジェイ エイ シー リクルートメント グループについて◆
1975年英国で創業。1987年にシンガポールへの進出を皮切りに、1988年に日本、1994年にマレーシアと事業を拡大し、現在ではアジアを中心とする10ヵ国、26拠点で人材紹介事業を展開しています。2012年には、JAC Recruitment Asia Ltdをホールディング・カンパニーとして、英国とアジア8ヵ国(シンガポール、マレーシア、インドネシア、タイ、中国・香港、韓国、ベトナム、インド)に展開する各社を統合。JAC Recruitment Asia Ltdと日本の株式会社 ジェイ エイ シー リクルートメント(東証一部 2124)は、主要出資者を共通とする兄弟会社の関係にあります。

日本 : http://corp.jac-recruitment.jp (コーポレートサイト)
     http://www.jac-recruitment.jp (転職サイト)
アジア: http://www.jac-recruitmentasia.com/

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