【アジアのノーベル賞 マグサイサイ賞受賞】眼科医 服部匡志 著『人間は、人を助けるようにできている』 ”はじめに”を公開【治療にかける思いとは】

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    2022年12月1日 11:00
    アジアのノーベル賞 マグサイサイ賞受賞の眼科医・	服部匡志著『人間は、人を助けるようにできている』はじめに公開
    アジアのノーベル賞 マグサイサイ賞受賞の眼科医・ 服部匡志著『人間は、人を助けるようにできている』はじめに公開

    アジアの平和や発展に尽くした個人や団体をたたえ、「アジアのノーベル賞」とも呼ばれるマグサイサイ賞の授賞式が、11月30日にフィリピンで行われ、日本の眼科医、服部匡志さん(58)に賞が贈られました。

    ベトナムでの長年の無償治療が評価され、今回の受賞となりました。
    (出典:2022年11月30日 NHKニュ―スより https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221130/k10013909141000.html


    服部匡志さんの著者『人間は、人を助けるようにできている』http://www.asa21.com/book/b216654.htmlは、およそ20年にわたり日本とベトナムを往復し、現地の人たちに白内障などの手術を無償で行ってきた服部匡志医師の現地での情熱にあふれたエピソードと、思いが詰まった一冊です。

    今回は、その本書より服部先生のベトナムでの治療にかける思いが詰まった「はじめに」を公開します。

    ※以下、本文より抜粋

    はじめに

    患者さんとその家族は人生を懸けて僕のところにやって来る。

    だから僕も人生を懸けて手術に挑む。結果、患者さんの眼に光が戻り、笑顔がよみがえる。

    心からあふれる最高の笑顔。けっしてお金では買うことのできない、その笑顔が僕に生きる勇気と力を与えてくれる。

    ベトナムでの無償の医療活動を続けて八年になる。

    僕は現在、開業せず、どこの大学や病院にも属さないフリーの眼科医だ。一カ月の半分は、北は盛岡から南は鹿児島まで約十カ所の病院を渡り歩いて診察と手術を行う毎日。

    残りの半分はベトナムの首都ハノイと地方へおもむき、貧しい人たちへの無償の活動をしている。

    自宅で丸一日過ごせるのは年に一日か二日。忙しい毎日だ。

    日本で得た収入で家族の生活とベトナムでの活動費用をすべてまかなう。

    ベトナムでは、患者さんからはいっさいの金銭を受け取らず、渡航費、滞在費、医療品代などもすべては持ち出しで活動を続けている。

    僕の生き方に疑問を持つ人や、いぶかしがる人もいる。

    「なぜ、そんなことをしているのか?」とよく聞かれるが、なぜだろう、その答えは僕にもいまだにわからない。

    ただ、目の前に困っている人たちがいる。

    失明の危機にさらされているのに手術を受けられない人たちがいる。彼らを放っておくわけにはいかない。

    自分の技術で彼らを救うことができるなら、遠慮せずに助けたい。その思いだけだ。

    僕は眼底(網膜硝子体もうまくしょうしたい)という、眼の中ではもっとも難しい部位が専門だ。

    カメラでいうなら水晶体はレンズで、眼の奥にある網膜はフィルムにたとえられる。

    瞳から入った光や色は網膜で映像として感知される。網膜は再生が利かず、人工物に取り替えることができない。

    だから網膜のキズは致命傷になる。少しでもキズがつくと景色はぼやけ、光はゆがんでしまう。

    普段、多くの人は眼の大切さを意識しない。見えることが当たり前だと思っているからだ。

    でも、想像してほしい。もし眼が見えなくなったとしたら、こんなに怖いことはない。

    この恐怖に直面し、闘っている人が現実に大勢いる。

    「ベトナムの赤ひげ先生」と呼ばれることがあるが、僕は何も特別な存在ではない。

    多くの人に支えられながら、がんばれていることに感謝したい。

    ボランティアは崇高なものでも、格好いいものでもない。とても地味な活動の連続だ。

    今回、この本を通じて世の中にはまだまだ自分の知らない世界があることを 知ってもらえたら、そして健康な身体で眼が見えて、毎日美味しいごはんを食べられることがどれほど幸せなことかを感じてもらえたら、こんなにうれしいことはない。

    そして、ひとりでも多くの人が生きる勇気とよろこびを受け取ってくれること を願っている。

    世界は広い。そして人間はすばらしい。

    2010年12月吉日
    服部 匡志

    著者プロフィール

    服部匡志(はっとり・ただし)

    著者:服部匡志
    著者:服部匡志

    1964年大阪生まれ。フリーの眼科医。父親の入院中の心ない医師の言葉がきっかけとなり、「患者の痛みをわかる医者になる」と決意。京都府立医科大学卒業後、日本各地の病院で経験を積む。2002年よりベトナムのハノイ国立眼科病院で最先端の内視鏡を駆使して網膜剥離や糖尿病網膜症などの治療、指導を始める。その技術は世界トップレベルで、誰もが認める凄腕。ベトナムでは報酬をいっさい受け取らず、日本で稼いだアルバイト代で旅費、滞在費、治療費などをまかなっているため、「ベトナムの赤ひげ先生」と呼ばれることも。2003年に発足したアジア失明予防の会(木下茂理事長)の活動をサポートしている。2005年に当時の町村外務大臣より感謝状が贈呈される。2006年に宮沢賢治「イーハトーブ賞」を受賞。2007年にベトナム保健省より「人民保健勲章」を受章。2008年に全国日本学士会より「アカデミア賞」、(財)世界平和研究所より「中曽根康弘賞」奨励賞を受賞。現在も精力的に活動を続けている。
    (情報は刊行当時のものです)

    書籍情報

    表紙
    表紙

    タイトル:人間は、人を助けるようにできている
    著者:服部匡志
    ページ数:216ページ 
    価格:1,540円(10%税込) 
    発行日:2015年7月2日
    ISBN:978-4-86063-435-3
    書籍紹介ページ:http://www.asa21.com/book/b216654.html

    amazon単行本:https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4860634357/asapublcoltd-22/
    kindle版:https://www.amazon.co.jp/dp/B010SIC1QE
    楽天:https://books.rakuten.co.jp/rb/6916601/?l-id=search-c-item-text-01

    目次

    はじめに
    第1章 ベトナムへ
    第2章 親父の死
    第3章 幸せ物質
    第4章 お前はどうしたいんだ?
    第5章 毎日が宝物
    第6章 行けるところまで
    第7章 瞬間を生きる
    おわりに

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    著者:服部匡志
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