新聞紙のコントラストを凌駕する高反射型表示デバイスの開発に成...

新聞紙のコントラストを凌駕する高反射型表示デバイスの開発に成功

株式会社船井電機新応用技術研究所(所在地:茨城県つくば市、代表取締役社長:小野 雅敏)は、ロイコ染料を用いた鮮明かつ高速の反射型表示デバイス(DynamicECD)を開発しました。従来の反射型表示に比べ、見た目が紙に近く、さらに、高速発色応答・省電力・低コストの全く新しい表示技術であり、FPD2008の発表には無かった3Cを実現しています。 ※3C:Clip(素早さ)、Contrast、Cost

デバイス構成及び作動原理
デバイス構成及び作動原理

■従来の反射型表示技術の課題
反射型表示方式として、液晶型、着色粉体移動型(電気泳動)など従来から種々開発・発表がなされています。これらの共通の課題は、普通の新聞紙と比べて白地の反射率が極めて低く、またコントラスト比も劣るため、ユーザの利用要件を満たしているとは言い難い点です。さらに現在主力の電子ペーパーの欠点は、しきい値特性がないため高速化には高価なTFT駆動が必要となる。一方、通常のバックライトを用いた液晶表示、プラズマ表示、EL表示等は、紙面を見る自然さに比べ眼の疲労を伴うなどの課題を持ちます。

■新反射型表示デバイス(DynamicECD)の概要
1.構造と動作原理
 (1)発色素子の構造
 ・上部の透明シートにITO透明電極を設け、下部に電極シートを対向させ、その間にロイコ染料を含む溶液を介在させる単純な構造。
 ・対向電極間のスペースは、画素の寸法に比べ充分小さく(50μ程度)薄くして、画素毎の電界強度を確保。
 (2)発色・消色の動作原理
 ・発色動作は、透明状態のロイコ染料溶液に通電して表面に発色。
 ・消色動作は、逆に通電して無色・透明の溶液に戻す。
 (3)新しい画素マトリックスの駆動原理
 ・ロイコ染料溶液と電極の間に深い電気的非線形現象を発見。
 ・この非線形現象を活用して画素マトリックスを個別・独立に駆動。

2.新しい技術の特徴
 (1)画素マトリックスを高速駆動
 ・構成素材を解明し、従来技術に比べ極めて高速(0.1ms)に発色。
 ・画像を0.1ms/ライン毎に重ね書きして所要の発色濃度に高速制御。
 ・高価なTFT駆動を要さずに画素マトリックスの高速駆動制御を考案。
 ・新しい高速駆動制御により、スムーズに紙質印刷のように表示。
 ・例えば、A6サイズ(3本/mm)を0.1秒以下で表示。
 (2)高反射率・高コントラスト比
 ・白地反射率が、従来の反射型表示より遥かに優れる。
 ・コントラスト比が、普通紙に記録するインクジェットと同程度。
 (3)低電力・低コストの薄型構造
 ・反射型表示でバックライトが不要であり、透過型液晶の1/100に省電力。
 ・汎用素材を用い、かつ製法が簡単なため安価。
 ・発色機構の構成部は、厚さ0.1mm以下であり、薄型化に最適。

■開発意義と用途
電子ペーパーの優れたコンセプトが誕生して久しい。しかし、従来の開発・実用化事例を見る限り、顧客の要求を満たしているとは言い難い。
当社は、「人間の目に優しい表示の実現」を目指し、原点に立ち戻り
1.最低限、新聞紙並みの明るいコントラスト表示であること、
2.画素マトリックスの駆動が単純で、かつ鮮明な画像が得られること、
3.液晶表示と比較して安価で省電力かつ薄い簡単な構造であること、
を大前提に開発を進め、制御が難しい化学材料を適切に選択組み合わせ、上記目標の達成に至りました。

本技術は、情報携帯機器など複雑化・多機能化する機器の入力支援表示モジュールとして、例えば、携帯電話・デジカメ・リモコン・翻訳機などの多くの商品類と新たに結合し、従来のコンセプトを抜本的に変革する「創造的破壊」技術として期待できます。

■今後の予定
・製品の要素技術を持つパートナーと連携して来年末の実用化を目指します。
・本技術をさらに磨き、「多色表示の開発」を目指し用途の拡大に備えます。

■用語の説明
・ECD(エレクトロ・クロミック・ディスプレイ)
 電圧によって物質の色が可逆的に変化する現象を応用した表示素子。
・ロイコ染料
 感熱紙等に汎用に用いられる電子供与性物質で通常は無色。感熱方式の顕色剤など電子受容性材料に接触・電子供与し発色する。感熱式プリンタに多用される。
・ITO
 酸化インジウム・スズ(Indium Tin Oxide)の薄膜。可視光の透過率が高く導電性を持つため、透明電極として使用される。


【会社概要】
社名   :株式会社船井電機新応用技術研究所
代表者  :代表取締役社長 小野 雅敏
本社所在地:茨城県つくば市千現2-1-6 つくば研究支援センターA37
資本金  :260,000,000円
事業内容 :新デバイス研究開発
TEL    :029-886-6500
FAX    :029-886-6511

カテゴリ:
技術・開発
ジャンル:
技術・テクノロジー
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