2023年7月からデータは警告していた!バブル化する中古マンションマーケット

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    2025年5月2日 17:00
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    近年、首都圏の中古マンション市場が大きな転換期を迎えています。

    新築マンション価格の高騰や投資需要の変化を背景に、中古マンションの価格も過去にない水準まで上昇しています。特に東京都心部では高価格帯物件の売買が活発化し、価格の二極化も進行中です。

    この記事では、最新のデータや専門家の分析をもとに、首都圏中古マンション市場の価格高騰の背景や市場動向について詳しく解説します。

    首都圏中古マンション市場の現状

    結論から言うと、首都圏の中古マンション価格は歴史的な高騰を見せています。

    その理由は、新築マンションの価格上昇や都心部への需要集中、資材費や人件費の高騰など、複数の要因が重なっているためです。

    2025年1月の成約価格がバブル期超え

    2025年1月、首都圏の中古マンション成約価格は、1990年バブル期を超える水準となりました。

    これは過去30年以上で最も高い価格帯です。理由としては、都心部の人気物件への需要が非常に強く、価格を押し上げる結果となったことが挙げられます。

    具体例として、東京都23区の平均成約㎡単価は80万円台を突破し、前年比で10%以上の上昇となっています。そのため、今後の価格動向や金利の変化にも十分注意する必要があります。

    新規登録価格と成約価格の異常現象

    グラフ1:首都圏中古マンション価格推移(出典:東日本不動産流通機構のデータを福嶋総研が加工)
    グラフ1:首都圏中古マンション価格推移(出典:東日本不動産流通機構のデータを福嶋総研が加工)

    中古マンション市場では、通常、「新規登録価格(売主が設定する希望価格)」が「成約価格(実際に売れた価格)」より高くなるのが一般的です。しかし、2023年7月から2024年7月までの約1年間は、成約価格が新規登録価格を上回るという異常な現象が発生しました。

    福嶋総研では、2023年7月以降の成約価格が新規登録価格を上回る現象を「需給の異常バランスによる局所的な価格バブル」と見ています。特に都心部では、実需を超える投資的需要が価格を押し上げており、今後の金利上昇や経済動向によって急速な調整リスクもはらんでいます。

    通常と異なる価格逆転の仕組み

    この逆転現象の仕組みは、需要が供給を大きく上回ったことにあります。

    具体的には、買い手が多く売り出された物件がすぐに売れてしまうため、売主が設定した価格よりも高い金額で成約するケースが続出しました。これは、物件の希少性や人気エリアへの集中が背景にあります。

    成約価格が新規登録価格を上回った理由

    成約価格が新規登録価格を上回った主な理由は、東京都心部を中心に高価格帯(㎡単価の高い)物件が多く売れたこと、そして市場全体の価格上昇スピードが売主の想定を上回ったことです。

    このような状況は過熱感の高まりを示すサインともいえるため、今後の住宅市場で最も警戒すべきは「価格の高騰によって需要が萎縮し、売れない高値の物件が市場に溢れる」ことです。

    福嶋総研は、2025年前半を「分水嶺」と位置づけ、これまでの過熱相場が一部エリアで調整局面に入る可能性を指摘しています。

    地域別の中古マンション価格動向

    グラフ2:首都圏中古マンション成約㎡単価推移(出典:福嶋総研)
    グラフ2:首都圏中古マンション成約㎡単価推移(出典:福嶋総研)

    首都圏全域で価格が一様に上昇しているわけではありません。東京都心部の価格上昇が顕著である一方、神奈川・千葉・埼玉では横ばいまたは緩やかな上昇にとどまっています。

    都心5区が市場の価格上昇をけん引

    東京都では、特に都心5区(千代田区・中央区・港区・新宿区・渋谷区)を中心に、成約価格が大きく上昇しています。こうしたエリアは交通や生活利便性が高く、資産価値も維持しやすいため、購入希望者が集中する傾向にあります。

    都心5区の高価格帯物件へ集中と二極化

    グラフ3:「都心5区」と「都心5区以外の区部」 中古マンション成約㎡単価推移(出典:福嶋総研)
    グラフ3:「都心5区」と「都心5区以外の区部」 中古マンション成約㎡単価推移(出典:福嶋総研)

    都心5区では、特に高価格帯の物件に売買が集中しています。

    その結果、都心部と郊外エリアの価格差が拡大し、市場の二極化が進行しています。これは、都心の資産価値やブランド力が評価されている証拠ですが、今後は郊外エリアの割安感にも注目が集まる可能性があります。

    2024年8月以降の市場変化と今後の見通し

    グラフ4:首都圏中古マンション価格推移(出典:東日本不動産流通機構のデータを福嶋総研が加工)
    グラフ4:首都圏中古マンション価格推移(出典:東日本不動産流通機構のデータを福嶋総研が加工)

    2024年8月以降は、中古マンションの成約価格が高止まりし、新規登録価格が再び成約価格を上回る「通常の状態」に戻りつつあります。しかし、新規登録価格自体は依然として高い水準を維持しています。

    成約価格高止まりと売主期待の高まり

    成約価格の高止まりは、売主側の「まだ値上がりするのでは」という期待感が背景にあります。そのため、売り出し価格が強気に設定される傾向が続いています。

    今後は、買い手の動向や金利の変化次第で市場が調整局面を迎えることも想定されるため、注意が必要です。

    新規登録価格の高騰が続く背景

    新規登録価格の高騰が続いている背景には、売主の期待感だけでなく、建築コストや土地価格の上昇、そして新築物件の供給減少も影響しています。

    こうした状況下では、購入希望者は価格の妥当性を慎重に見極めることが重要です。

    マンション再販市場の企業動向と変化

    グラフ5:東京23区:再販物件を扱う会社数の推移(出典:福嶋総研)
    グラフ5:東京23区:再販物件を扱う会社数の推移(出典:福嶋総研)

    中古マンションの再販市場でも大きな変化が起きています。2020年から2023年にかけては、再販物件を取り扱う企業が急増しました。これは、中古マンションの価格上昇やリノベーション需要の高まりが背景にあります。

    2020〜2023年の再販事業者数急増

    再販ビジネスに好条件が揃い、多くの企業が参入しました。リノベーション済み物件の人気が高まり、資産価値を高めて再販する動きが活発化しています。これにより、市場全体の流動性も高まっています。

    2023年以降の売主企業減少と理由

    しかし、2023年以降は仕入れ価格の上昇や市場環境の変化により、再販物件を扱う企業数が減少しています。
    この動きは、不動産のプロが市場の過熱感を警戒し、慎重な姿勢へと転じていること、そしてリスク管理を強化していることの現れと言えるでしょう。

    まとめ

    2025年の首都圏中古マンション市場は、成約価格が高水準で推移し、価格上昇トレンドが継続しています。
    特に都心5区では高価格帯物件の取引が活発化し、市場の二極化が進行しています。

    売却を検討している方へ

    今の価格水準は、エリアによっては「売り時のピーク」に達している可能性があります。

    特に都心5区に物件を保有している方は、需要の高さを活かして好条件での売却が期待できる状況といえるでしょう。

    ただし、今後の金利や景気動向によっては成約価格の伸びが鈍化する恐れもあります。売却を検討する際は、最新の市況データや不動産会社のアドバイスを参考にし、ご自身のライフプランや資産状況に合わせて慎重にご判断ください。

    購入を検討している方へ

    購入を検討されている方にとっては、現状の高値相場が「適正価格」かどうか、また「将来的な資産価値がどのように推移するか」を見極めることが非常に重要です。 都心部の物件は依然として強気の価格設定が多く、割高感を抱く方もいらっしゃるかもしれません。

    一方で、郊外エリアには割安な掘り出しもの物件も存在しており、将来的な資産価値と生活利便性のバランスを重視して比較検討することが大切です。また、住宅ローン金利や今後の市況変化にも目を向けて、慎重に判断されることをおすすめします。

    今後の市場を見るうえでの注目point

    1.売却件数と在庫数の変化(需要減少の兆候)
    2.金利の動向(住宅ローン返済額への影響)
    3.都心以外のエリアにおける価格調整の有無

    価格上昇の勢いがやや鈍化する兆しも見られますが、依然として高値が続く見通しです。そのため、購入・売却を検討する際は以下に注目し、市況を十分に見極めることが重要です。

    ▼本リリースに関するお問い合わせ
    マンションリサーチ株式会社 すみかうる編集部
    担当:石井・瀬倉
    メール:media@mansionresearch.co.jp

    不動産オウンドメディア「すみかうる」https://t23m-navi.jp/magazine/

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    グラフ2:首都圏中古マンション成約㎡単価推移(出典:福嶋総研)
    グラフ3:「都心5区」と「都心5区以外の区部」 中古マンション成約㎡単価推移(出典:福嶋総研)
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