リアルワールドデータを活用した治験候補患者抽出の技術検証を完了 ~電子カルテデータ等を活用した候補患者抽出の有効性を確認、業務効率化と実用化を加速~

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    2026年5月25日 13:00
    取り組み概要図
    取り組み概要図

    株式会社NTTデータ(以下、NTTデータ)と近畿大学病院腫瘍内科(以下、近畿大学病院)は共同で、リアルワールドデータ(注1)を活用した治験・臨床試験候補患者抽出(以下、候補患者抽出)に関する技術検証を完了しました。本検証は、近畿大学病院が参加する次世代医療基盤法認定事業「千年カルテ®」(注2)が蓄積する電子カルテデータ等と、近畿大学病院で過去に実施された医師主導型の治験・臨床試験実施計画書(以下、実施計画書)における適格・除外基準を用いて実施しました。その結果、リアルワールドデータ活用による候補患者抽出の有効性を確認しました。
    本取り組みは、治験プロセスの効率化および迅速化による、日本の治験環境の包括的な改善を目的とした画期的な試みです。従来、医師や治験コーディネーター(以下、CRC)(注3)の手作業に依存していた患者スクリーニング(注4)業務に対し、実診療で蓄積されたデータを活用することで効率化が期待され、治験開始までの期間短縮に寄与します。また、医療現場の負担軽減や、患者への適切な治験機会の提供にもつながります。本検証の結果は、2026年秋に予定されている学会で詳細を公表予定です。

    【背景】
    製薬業界において、治験や臨床試験を円滑に推進するためには、実施計画書で定められた適格基準を満たす患者を迅速に組み入れることが重要です。一方で、治験における患者スクリーニング業務は、医師やCRCによるカルテ確認等の手作業が中心であり、時間と労力を要する点が課題とされています。また、適格基準に合致する患者を網羅的に把握できないことが、治験開始の遅延要因の一つとなっています。
    本取り組みでは、治験プロセスの効率化という業界課題の解決に向け、実診療の中で蓄積される医療ビッグデータ「リアルワールドデータ」を活用した検証を実施しました。

    【概要(特長)】
    NTTデータと近畿大学病院は共同で、リアルワールドデータを活用した候補患者抽出における技術検証を完了しました。本検証では、近畿大学病院で過去に実施された実施計画書における適格基準を基に、「千年カルテ」が蓄積する電子カルテデータ等を解析しました。その結果、対象集団を大幅に絞り込める可能性が示され、データに基づき候補患者を抽出する手法の有効性を確認しました。

    実施計画書における適格基準に基づく候補患者の抽出にあたっては、プログラムを用いた解析手法を採用しました。これにより、従来は医師やCRCの手作業に依存していた患者スクリーニングを、機械的かつ迅速に実行することを可能にしました。

    NTTデータは、次世代医療基盤法に基づき、認定匿名・仮名加工医療情報作成事業者である一般社団法人ライフデータイニシアティブのもと、認定医療情報等取扱受託事業者として認定されています。NTTデータはこれまで「千年カルテ」二次利用サービスにおける匿名加工医療情報等の豊富な提供実績を通じて、非構造化データ(注5)を含む医療情報の取り扱いや分析に関する知見を蓄積してきました。これらの知見と近畿大学病院が有する臨床知見を活用することで、実診療データの特性を踏まえたプログラム設計および検証の実施に寄与しました。

    本取り組みにより、患者スクリーニング業務に要する時間の短縮や、適格・除外基準に合致する患者の把握プロセスの効率化および医療現場における業務負担の軽減も期待されます。
    なお、本検証の詳細な評価結果については、2026年秋に予定されている学会にて公表する予定です。

    【今後について】
    近畿大学病院とNTTデータは本検証成果を踏まえ、候補患者抽出および組み入れプロセスの効率化に向けた取り組みを継続し、実運用における適用性の向上を図ります。

    また、NTTデータは、これらの取り組みを基に、医療機関および製薬企業との連携を通じた関連サービスの検討を進め、2026年6月以降の実用化をめざします。さらに、大規模言語モデル(LLMs)(注6)などの技術の活用も視野に入れ、抽出プロセスの高度化に向けた検討を進めます。これにより、国内における治験の迅速化と質の向上に貢献していきます。
    【注釈】
    1.リアルワールドデータ:医療機関における日常診療や医療提供など、実臨床環境下の過程で蓄積される医療・健康関連データの総称。
    2.次世代医療基盤法認定事業「千年カルテ」:「医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報及び仮名加工医療情報に関する法律」(次世代医療基盤法)に基づき、一般社団法人ライフデータイニシアティブと株式会社NTTデータが、国から認定を受けて実施している事業の名称。医療機関等から取得した医療情報を統計処理または匿名・仮名加工したうえで利活用者に提供し、健康・医療分野における先端的な研究開発や新産業創出に資することを目的としています。「千年カルテ」は日本国内における一般社団法人ライフデータイニシアティブの登録商標です。その他の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。
    3.治験コーディネーター(CRC:Clinical Research Coordinator):医療機関において、医師の指示のもと、被験者対応や治験実施に関する調整・支援業務を担う専門職。
    4.患者スクリーニング:治験や臨床研究において、定められた適格基準に基づき、対象となり得る候補者を特定するプロセス。
    5.非構造化データ:定型的な項目や形式をもたないデータ。医療分野では、医師の所見記載、診療経過記録、紹介状、入退院時のレポートなどの自由記述テキストデータや画像データが該当します。
    6.大規模言語モデル(LLMs:Large Language Models):大量のテキストデータを学習し、文章生成、要約、分類などを行う人工知能技術。自然言語処理分野を中心に、データ解析や業務支援への応用が進められています。

    【関連リンク】
    近畿大学病院
    https://www.med.kindai.ac.jp/

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