ならまち 華厳宗元興寺(塔跡)

    奈良・元興寺、寺宝「八雷神面」返還へクラウドファンディング実施中

    無住となった寺院再生の第一歩、信仰と営みを次代へ

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    2025年12月18日 09:50

    華厳宗元興寺(所在地:奈良県奈良市、住職:池田圭誠)は、奈良国立博物館に寄託されている寺宝「八雷神面」を、本来の信仰の場である元興寺へ迎え戻すため、クラウドファンディングを開始しました。

    2023年に無住となった元興寺では、寺域や建物の維持が困難な状況にあります。本プロジェクトは、寺宝返還を起点として、信仰と行事を再生し、寺院の営みを次代へつなぐための第一歩と位置づけています。

    寺宝「八雷神面」。中世以降、厄除け・疫病除け・雷除けの信仰対象として崇敬されてきた神面。
    寺宝「八雷神面」。中世以降、厄除け・疫病除け・雷除けの信仰対象として崇敬されてきた神面。

    日本仏教発祥の地が直面した存続の危機

    元興寺は、飛鳥寺(法興寺)を前身とし、奈良時代には国家安寧を祈る七大寺の一つとして栄えた、日本仏教の源流に位置づけられる寺院です。
    718年の平城京遷都に伴い建立され、かつては五重大塔や観音堂を擁する広大な伽藍を誇っていました。

    幕末の1859年の火災により主要伽藍は焼失しましたが、八雷神面をはじめとする文化財は焼失を免れました。その後、他所での保管を余儀なくされました。昭和初期に再建が進められましたが、2023年に再び無住となり、寺域や建物の維持が困難な状況に陥っています。

    こうした中、池田圭誠住職が地域住民やボランティアとともに整備活動を再開し、「元興寺の信仰と営みをこの地に取り戻す」復興に取り組んでいます。

    池田住職は、奈良・東大寺で1270年以上続く不退の行法「修二会(お水取り)」に15年にわたり携わり、令和8年度も参籠される予定です。

    地域住民やボランティアとともに進めている境内整備の様子。無住となった後も、元興寺の営みを絶やさぬよう活動が続けられている。
    地域住民やボランティアとともに進めている境内整備の様子。無住となった後も、元興寺の営みを絶やさぬよう活動が続けられている。

    寺宝「八雷神面」返還を起点とする復興プロジェクト

    八雷神面は、中世以降、厄除け・疫病除け・雷除けの信仰対象として崇敬されてきた神面です。2024年、奈良国立博物館の特別展「超国宝」に展示されたことを契機に、その存在と歴史的価値が改めて注目されました。

    今回のプロジェクトでは、八雷神面を迎え戻すための環境整備として、

    ● 本堂の安置環境整備
    ● 防犯・セキュリティ対策
    ● 庫裏(控室・休憩機能)の設備改善

    などを行い、適切な保存と奉安の体制を整えます。

    八雷神面の返還は、将来的な寺宝返還や行事の復活、発掘調査へつながる復興プロジェクトの第一段階です。元興寺では、段階的な復興計画のもと、信仰と歴史を次代へと受け継いでいくことを目指しています。

    本プロジェクトは開始直後から多くの反響を呼び、目標金額の約30%を達成しています。支援の広がりを受け、返還後の安置環境整備や関連授与品の制作など、具体的な準備も段階的に進められています。

    クラウドファンディング概要

    ● 目標金額:1,215万円
    ● 支援募集期間:2026年1月31日まで
    ● 返還予定時期:2026年3月末までに八雷神面返還を実現
    ● プロジェクトURL:https://readyfor.jp/projects/gango-ji01

    集まった資金は、八雷神面安置のための本堂環境整備、セキュリティ対策工事、ホームページ制作、関連授与品の開発、トイレ増築、空調設備導入などに活用される予定です。

    華厳宗元興寺について

    名称:華厳宗元興寺
    所在地:奈良県奈良市芝新屋町12
    住職:池田圭誠
    創建:718年(平城京遷都に伴う法興寺別院として)
    特徴:奈良時代の七大寺の一つ。五重大塔の礎石十七基が現存し、国史跡に指定
    主な寺宝:八雷神面、国宝薬師如来像、重要文化財十一面観音像など
    (現在は一部を奈良国立博物館に寄託)

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